俺はいつも拾われている

つちやながる

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これが俺の生きる道

14 人は狙って墓穴を惚れない

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「…これって公国」
「そうだな。貴族上位で支配体制が独特だ。古い時代のままで内部抗争も減らない。大陸の悩みの種だ」
「帝国とか君主制も一緒じゃ」
「いい事いうな。まあ権力抗争も減って実力社会だな。階級も貧富の差は出来るが、それでも改善傾向だ。貴族も血筋を残そうとする程度だ。爵位があっても若い者は他国へ行き、家を継がず職も自由だったりな」
「…ふ~ん。過渡期ね」
「レオは本当賢いな」
「然様です」
「書庫で本読んだ。あとルースの教え方も分かり易い」
「そうか」

 フィルとバル爺が俺を見る。何か変な事言ったか。今日も午前の書類整理に勤しむ。知らなかった今の世界情勢も知れるから面白い。

 フィルが手を休めて俺をまた見てる。

「…なに」
「俺の歳とか聞いてもレオは変わらないな」
「…長生きって大変だね」

 正直な感想だ。俺だって永い間転生しまくってるから分かるし。フィルとバル爺が一瞬止まったと思ったら大笑いし始めた。え。なんで?

「これはこれはアンフィル様。逸材ですよ」
「くっ…腹が痛い。は、はは。参ったな」
「…どういう意味」

 レオは首を傾げた。

 相手の立場が自分より上だと分かると豹変する者は多い。千年生きる古の魔人だと聞けば、普通は畏怖したり態度が変わるものだった。それを知らなかったとはいえ、一相手の立ち位置で感想を一言で済ませた。

 フィルとバルモンクは今までこんな反応は聞いた事が無かった。驚くと共にレオへの好感度を更に増幅させたのだった。

「これは本契約ですな」
「ああ、そうする。連れて帰るぞ」
「え、ほんと何?説明しろよ」

 レオは溺愛に執着要素も付加させた。転生スキルが上がった。転生パターンというより、いつも自分で墓穴を掘っているのに気がつかないのだった。

「…なんか寒気」
「昨日から調子が優れませんね」
「今日はもう部屋で休んでろ」
「え。大丈夫なんだけど」
「書類は片付きましたよ。仕事は終わりです」
「じゃあ部屋まで一緒に行こうか」
「え」

 執務席を立つフィルはレオの横に来て手を繋ぐ。

 中身は我が強くて年相応だとしても。元気になって見た目は可愛く普通に子供だとしても。フィルの脳裏には常に拾ったときの痩身すぎる痛々しいレオがいた。脆弱なイメージが頭から離れなかった。暫くは俺が守ってやらないと。俺が少しくらい甘やかしたっていいだろう。そう思うのだった。そう思うのに…。

「いたたた…レオ、なんで手をつねるのかな」

 この子は一筋縄ではいかない。ああ、楽しい。

「なんで手を繋ぐ」
「手を繋いで街中歩いた仲じゃないか」
「…アレとコレは違う」

 元気になっても、なんでこう構うかな。フィルはやっぱり変態だな。俺は半目で冷ややかな視線を向けた。

「あ、そうか。主として命令もありか。レオ、手を繋いで部屋に行こうか」
「な…それパワハラじゃないか」
「パワ…?どこの言葉だ。聞いた事が無い。意味は何だ」
「…なんでも無い。俺の田舎の方言」
「そうなのか?ほら、行こう」
「…手は無しで」
「抱き上げようか」
「…手で」
「はははっ」

 はははじゃねぇ。何なんだ。ブツブツと口を尖らし拗ねた顔になっているのに気付かないレオ。

 フィルはそれを見て満足そうに部屋まで手を繋いで行くのだった。
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