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未来へと歩む道
12、私情と事情
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「ふふふ……ココどこだよ!」
ちょっと転んだけど木を掴み、石には矢印書きながら割とスムーズに下山出来た。だけど登山道とは位置が真逆なのか、周りは緑で山間の浅い小川に出た。明らかに裾野平地だし小川の向こうに道も見えた。川か下る方へ道を進めば平野部には出る。でもそれは駅へ続くという確性は無い。太陽は真上で元の方角も不明だった。
「……手詰まり。待機決定」
自分が泥塗れなのに気付き、小川で手足の泥を洗い流し、思い切って汚れた服を脱いで洗い固く絞って届く枝に干す。シャツは湿ってるけど着ることにした。
雨は小雨になってから止み、雲の切れ間から日が射して来た。
カバンの中から水筒をだしゴクゴクと水分を摂り、甘味から飴を選んで口にぽいっと放り込む。染み渡る甘さだった。
「うま」
泥濘も無い木の下の草地にカバンを置き、その上に座って木にもたれた。晴れてきて気温が上がると冷えた身体にちょうど良かった。
「ちょっとだけなら休んでいいよね」
レオは疲れて微睡み始めた。
スンスンと鼻息の様な音が聞こえ、湿った鼻先が当たってるのを感じて眠っていたと気付いた。
これヤバイかも。ここは山間部で獣だっているのを忘れてたよ。
「おいおいマジか」
ワンッ!
人の声に犬?助かったー。てゆか人だよ人!駅に行けるとレオは飛び起きた。そこにいた人を見てぽやんと口が開く。無精髭に体格のいい男は数日前会ったばかりだった。
「ノールさん?」
「おー。アンフィルはどこだ。ひでぇな、顔擦りむいてるぞ。触るけど動くなよ」
ノールは屈んでゆっくりとレオの頬や首、腕に手をあてがうと、ほんのり温もりが伝わるから治癒術だとわかる。その上湿ったシャツも乾いていく。
「あ、有難うございます。滑って落ちて、降りてきたんで」
「……他に怪我ないか?服は、そこか」
「はい」
枝にかかるズボンを取りレオに渡す。これも魔術を使ったのか乾燥していた。
ノールが手を拳に握り広げると青い鳥が現れた。どこかで見たような気がした。
「行け」
ワンッ
鳥は無音で羽ばたき、旋回してから飛んで行く。真っ黒な犬はそれを追い掛け山に入って行った。
「犬は?」
「飽きたら帰ってくるさ。伝鳥飛ばしたからここで待ってろ。あいつが迎えに来る」
「迎えに」
「来るだろ」
ノールは狩りをしていたのか小獣を数体縛った物を持ち上げ歩き始めた。それを見たレオは慌てて声を出す。
「どこ行くんですか?」
「あー?帰るんだよ。狩りも済んだしな」
「俺ここで一人待つんですか」
「獣が出ても中型までだ。蹴りでも入れたらいい……。蹴り、な」
ノールはレオの細い身体を改めてジロジロと見て確認した。これは無理だと判断したのかすっかり晴れた空を仰ぎ見た。
「身体は」
「怪我はもう無いです」
「ズボンをさっさと履け。治癒の礼でもしてくれるつもりか?見た目はいいんだよなあ」
「は?」
ノールはニヤリと笑むと、レオの太腿を撫でてたかと思えば、そのまま押し倒した。
「わっ、や、俺何もしませんよ」
「アンフィルと恋人だって?ふざけてるな。お前も本気だって言うのか。どう見てもガキだろお前。あれか、金目当てか。それでなくとも噛んだなんて嘘だろ。二人して旧時代の調べ物ったあ、何企んでる」
「何も企んでません」
「……執事も、」
「俺は正式な執事です」
「……ふーん?」
何言ってんだ。この人好意的にウインクしたり、フィルと仲良くなとか言ってなかった?
完全に足の上乗られてるし、咄嗟に腕掴んだはいいけどこれ逃げれないんじゃないか?
「こういう接待が得意って噂だろ」
「そんな事してません」
フラッグさんに続いて次のターンなの?治癒とか優しくしといてこの展開って何なんだ。フィルと友達じゃないのかよ。って、キスとか嫌だし、これどーしたらいいんだよ。
レオは掴んだ腕を押して、のし掛かる体重に非力でも抵抗し、迫る顔から逃げるように右を向いた。
「おいおい。従僕が高位の者に逆らうのは良くないって教わらなかったのか」
「それ位知ってます」
「口のきき方もなってねえな」
まただ。身分だ貴族だ鬱陶しい。フラッグさんもこの人も純血種って言ってた。フィルは強引だけど身分に煩くない。エリアルさんだってラルフ総監も貴族なのに、優しいのに。
「アンフィルの側仕えだから皆にちやほやされて勘違いしてねえか?アンフィルがいるから皆が優しいってか、ははっ」
「そんな事、」
「アンフィルの執事じゃなかったら?農家の出だろ?誰も雇うなんてしねぇな。その可愛い顔で買われるのは有りか。とにかくあいつと何か探してんだろ。吐けよ」
「言い掛かり止めてもらえますか」
何も知らない癖に。こんな中傷染言われ続けて聞き慣れた筈なのに胸に刺さる。フィルの側仕えじゃなかったら確かに皆が優しくないかもしれない。ただの従僕なら今の様な人脈もないかもしれない。強ち間違いじゃない気がして悲しくなってきた。
なけなしの抵抗でしか無いけど、もう睨むしか出来なかった。
「おいおい、人の忠告は聞いてるか?それは不敬だか反逆だって」
くくっと笑いながら肩を押さえ付けられて、シャツのボタンが数個飛ぶのが見えた。首筋に顔を埋めるのもわかった。
この異世界って性に自由だし犯される?
悔しい。非力だ。何も出来ない。
フラッグにもわきまえろって言われたばかりだ。でもフィルは?フィルは執事だけど俺は俺でいいって言っくれた。俺はフィルを信頼してる。フィルだってそうだ。
主の立場を考えるのが従僕。
でもその前に俺は俺だから、揉みくちゃになろうと抵抗して反撃したっていいよね。こんなの嫌だ。フィルだってわかってくれる。
ここで大人しくしてるなんて俺じゃ無い。
ちょっと転んだけど木を掴み、石には矢印書きながら割とスムーズに下山出来た。だけど登山道とは位置が真逆なのか、周りは緑で山間の浅い小川に出た。明らかに裾野平地だし小川の向こうに道も見えた。川か下る方へ道を進めば平野部には出る。でもそれは駅へ続くという確性は無い。太陽は真上で元の方角も不明だった。
「……手詰まり。待機決定」
自分が泥塗れなのに気付き、小川で手足の泥を洗い流し、思い切って汚れた服を脱いで洗い固く絞って届く枝に干す。シャツは湿ってるけど着ることにした。
雨は小雨になってから止み、雲の切れ間から日が射して来た。
カバンの中から水筒をだしゴクゴクと水分を摂り、甘味から飴を選んで口にぽいっと放り込む。染み渡る甘さだった。
「うま」
泥濘も無い木の下の草地にカバンを置き、その上に座って木にもたれた。晴れてきて気温が上がると冷えた身体にちょうど良かった。
「ちょっとだけなら休んでいいよね」
レオは疲れて微睡み始めた。
スンスンと鼻息の様な音が聞こえ、湿った鼻先が当たってるのを感じて眠っていたと気付いた。
これヤバイかも。ここは山間部で獣だっているのを忘れてたよ。
「おいおいマジか」
ワンッ!
人の声に犬?助かったー。てゆか人だよ人!駅に行けるとレオは飛び起きた。そこにいた人を見てぽやんと口が開く。無精髭に体格のいい男は数日前会ったばかりだった。
「ノールさん?」
「おー。アンフィルはどこだ。ひでぇな、顔擦りむいてるぞ。触るけど動くなよ」
ノールは屈んでゆっくりとレオの頬や首、腕に手をあてがうと、ほんのり温もりが伝わるから治癒術だとわかる。その上湿ったシャツも乾いていく。
「あ、有難うございます。滑って落ちて、降りてきたんで」
「……他に怪我ないか?服は、そこか」
「はい」
枝にかかるズボンを取りレオに渡す。これも魔術を使ったのか乾燥していた。
ノールが手を拳に握り広げると青い鳥が現れた。どこかで見たような気がした。
「行け」
ワンッ
鳥は無音で羽ばたき、旋回してから飛んで行く。真っ黒な犬はそれを追い掛け山に入って行った。
「犬は?」
「飽きたら帰ってくるさ。伝鳥飛ばしたからここで待ってろ。あいつが迎えに来る」
「迎えに」
「来るだろ」
ノールは狩りをしていたのか小獣を数体縛った物を持ち上げ歩き始めた。それを見たレオは慌てて声を出す。
「どこ行くんですか?」
「あー?帰るんだよ。狩りも済んだしな」
「俺ここで一人待つんですか」
「獣が出ても中型までだ。蹴りでも入れたらいい……。蹴り、な」
ノールはレオの細い身体を改めてジロジロと見て確認した。これは無理だと判断したのかすっかり晴れた空を仰ぎ見た。
「身体は」
「怪我はもう無いです」
「ズボンをさっさと履け。治癒の礼でもしてくれるつもりか?見た目はいいんだよなあ」
「は?」
ノールはニヤリと笑むと、レオの太腿を撫でてたかと思えば、そのまま押し倒した。
「わっ、や、俺何もしませんよ」
「アンフィルと恋人だって?ふざけてるな。お前も本気だって言うのか。どう見てもガキだろお前。あれか、金目当てか。それでなくとも噛んだなんて嘘だろ。二人して旧時代の調べ物ったあ、何企んでる」
「何も企んでません」
「……執事も、」
「俺は正式な執事です」
「……ふーん?」
何言ってんだ。この人好意的にウインクしたり、フィルと仲良くなとか言ってなかった?
完全に足の上乗られてるし、咄嗟に腕掴んだはいいけどこれ逃げれないんじゃないか?
「こういう接待が得意って噂だろ」
「そんな事してません」
フラッグさんに続いて次のターンなの?治癒とか優しくしといてこの展開って何なんだ。フィルと友達じゃないのかよ。って、キスとか嫌だし、これどーしたらいいんだよ。
レオは掴んだ腕を押して、のし掛かる体重に非力でも抵抗し、迫る顔から逃げるように右を向いた。
「おいおい。従僕が高位の者に逆らうのは良くないって教わらなかったのか」
「それ位知ってます」
「口のきき方もなってねえな」
まただ。身分だ貴族だ鬱陶しい。フラッグさんもこの人も純血種って言ってた。フィルは強引だけど身分に煩くない。エリアルさんだってラルフ総監も貴族なのに、優しいのに。
「アンフィルの側仕えだから皆にちやほやされて勘違いしてねえか?アンフィルがいるから皆が優しいってか、ははっ」
「そんな事、」
「アンフィルの執事じゃなかったら?農家の出だろ?誰も雇うなんてしねぇな。その可愛い顔で買われるのは有りか。とにかくあいつと何か探してんだろ。吐けよ」
「言い掛かり止めてもらえますか」
何も知らない癖に。こんな中傷染言われ続けて聞き慣れた筈なのに胸に刺さる。フィルの側仕えじゃなかったら確かに皆が優しくないかもしれない。ただの従僕なら今の様な人脈もないかもしれない。強ち間違いじゃない気がして悲しくなってきた。
なけなしの抵抗でしか無いけど、もう睨むしか出来なかった。
「おいおい、人の忠告は聞いてるか?それは不敬だか反逆だって」
くくっと笑いながら肩を押さえ付けられて、シャツのボタンが数個飛ぶのが見えた。首筋に顔を埋めるのもわかった。
この異世界って性に自由だし犯される?
悔しい。非力だ。何も出来ない。
フラッグにもわきまえろって言われたばかりだ。でもフィルは?フィルは執事だけど俺は俺でいいって言っくれた。俺はフィルを信頼してる。フィルだってそうだ。
主の立場を考えるのが従僕。
でもその前に俺は俺だから、揉みくちゃになろうと抵抗して反撃したっていいよね。こんなの嫌だ。フィルだってわかってくれる。
ここで大人しくしてるなんて俺じゃ無い。
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