俺は帰りたいんですが。

つちやながる

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ひかる町とひかる魔狼

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地下に降りるという道は馬車も通れるよう敷き詰められた煉瓦で整備され、幅も天井も十分な広さの通路だった。これは歴史がありそうだ。どういう仕組みだか灯りも常備されている。飛ぶ光は魔法なのだろうか。何にせよ懐かしい地下街に来ている気分になる。

先頭は馬車、クロウ、そしてクルフェルと魔狼の俺が続く。車輪の音も有るし先頭と離れている今のうちに聞いておこう。頭の中は質問だらけだ。

「おい、地下に土竜族がいると知ってたか」

クルフェルにヒソヒソ話し掛けた。

「聞いたこと、あるだけ。許可人以外入れない、かったはず?地下、初めて」
「そうか。緊急措置的なものかな。で、魔王とはなんだ」

これは大事だ。住処に帰れる前に勇者対決世界大戦になったりしたら困るからな。

「あー?魔族の中で、魔力強いと、なれるやつ、王様みたい位置」

それは聞かなくても予想がつく。聞きたいのはこれだ。

「魔王は討伐するのか。世界滅ぼすとかするのか」
「はあ?何?魔族、魔術使う始祖一族。魔術師が勉強するとこ、知り合い」
「そうなのか」

そう言うとまたパピヨン耳がしなりと寝た。
知り合いでも嫌そうだな。ありがちな悪の頂点とか人間の敵という位置じゃないって事か。いや、町一つ消した時点で魔王は破壊神だろう。このクルフェルでさえ苦手そうなら余計関わらないほうがいい。

暫く歩いて見えてきた仄かに明るい街に驚いた。

お、おおおお!完全地底大都市じゃないか!

くり抜かれた様な天井や建物の上に幾つもの淡い光の玉が飛び交っていた。あの光は生き物らしい。地下水なのか壁からは滝が水飛沫を上げている。その周りは木々が茂る緑が見えた。土色の建物が奥が見えない程並び、町の手前には畑も有るようだった。そこにも淡い光は幾多もゆっくりと舞っていた。

「お前さん方ー、詳しくは門番にきけよー。俺は向こう行くでなー」
「はい。ありがとうございました」

クロウが笑顔で見送る。

「すごー。やばー。キレー。知らなかったー」

クルフェルは尻尾をぶんぶん振り回して興奮を表す。俺も正直、意外過ぎて驚いた。凄いじゃないか。

「ループス、折角なので一泊してもいいですか」

お前も目が興奮で瞳孔散大してヤバイ事なってるな。コレばかりは仕方がない。こんな街は観光したくなるのも理解できる。

「そうしろ」
「どうもです!」

なんだその新しい返答は。

「わたしもー、泊まってから、帰ろー」

まあいいか。段々俺も感化されて来たってことだな。そうだこれでいい。気楽に行くとする。


門番の男は土竜族らしく、白いところがない真っ黒な目だった。光に弱い人種という意味らしい。またケモナーだと身構えてた分、肩の力が抜けた気がした。

「許可証です。避難民と旅人を分けてます。出るとき必ず提出して下さい。光球虫は貴重です。捕獲持ち出し禁止厳守して下さい。罰則があります。臨時解放のため所々に注意書きが掲示されてます。目を通して貰えますか」
「はい」
「おおー」

俺にも有るのか。首に巻いたバンダナの上からタグ付き紐がかけられた。

「先に宿確保します。真っ直ぐ進んで中央通りに屋台街、その向かい側が時計台がある大きな広場らしいです。そこで集合しましょう。では後ほど」

クロウは決めたらテキパキと進行する。クイッと顎で視線を投げたクルフェルは俺を見た。

「あー、魔術使えない、帰るの、面倒ー」

あ、そうか。魔法使えないか。まさか次の町について来るとか言わないだろうなオバさん。

「魔王、会いたくない、先いく。魔狼、気をつけろ」

は?何に気をつけるとか詳細は無いのか?

俺は走り去って行くパピヨン獣人を首を傾げて見送っていた。

要は集合場所さえ間違えなければいいんだ。一人、いや一頭の時間を満喫する事にした。
真っ直ぐ進んで中央通を目指す。土色の建物はよくみると煉瓦で作られ、いい家は三階まであった。出歩く人達は目を見ればすぐ区別がつく。目の高さでも光球虫が舞い、淡い光は心を穏やかにする。元々交流があったらしいから人種関係なく賑わいを見せていた。雰囲気がいい地下都市だった。

外に関心を持とうとキョロキョロ観光していた魔狼。何故か身体に光球虫が沢山とまり、歩くイルミネーションと化していた。人々が指差し囲み出すまで魔狼は気付かないのであった。


「おい。そこの犬」

・・・またなんか来たぞ。犬は言葉がわかりません。スルーに決まってる。止まりません。

魔狼は知らぬ顔して背後からの声を無視して歩いて行く。

「おい。犬もどきの魔物。止まれ」
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