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第二章 勇者召喚
さいあくなニオイ
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全身嫌な色の草木に覆われたバイソン体型は、初めて見る牛獣だった。
森を抜け街道に出る直前の遭遇。
群れで数十大小いるが、大きい者だけ鼻が曲がる腐臭と共に突進してくる。単純な攻撃は横に避けるだけでいい。
「……これくらいか」
ドンッ
バキバキポキッ
「ブモーーッ!」
エルンカを分断したより弱めに、側面からの魔力当身だけで骨の砕ける音が聞こえ絶命する。重さを感じる音を聴かせて地に倒れる仲間の姿に興奮して次がくるという繰り返しだった。これはもう単純作業。
「……飽きた」
ブチブチッ
「ブモッ!?」
嫌々ながらクサイ草木を鷲掴みにした。汚物色の腐汁が飛び、千切れる音を聞きつつ魔力をそれに込めて群れに思いっくそ投げた。
豪速球とも言える速度でぶっ飛んだ獣は群れを薙ぎ倒し、跳ね上げ木々に当たった者はひしゃげるか変形してこと切れた。パニックになった生き残る獣は自ら激突し脚を折る。これで息があれど衰弱死するだけ。
秘技ローリング・スマッシュボーリング!
内心技の名をつけてみたが古臭い。センスの無さと、ひと暴れの運動としても物足りなさを感じたが、服も汚れず時短討伐完了だ。よしとする。
「鼻が曲がる」
手と顔を洗おうと川辺に戻る。後方をライバが狩る音に声、獣の鳴き声もしたが助けには行かない。魔力があるから大丈夫だろう。だって臭すぎるからもう嫌だ!バシャバシャと臭気を洗浄した。
臭いってのはな、その粒子が嗅覚に直接作用してるんだ。つまりだ。直接それが自分に付くってことだ。ウンコが鼻の中に付いてんだ。そう自分で思ってムカムカした。
「気分悪い」
森林の香りを感じて嘆息して座り込み、コートの内側から角ウサギの食べかけを出し喰いちぎる。
クロウのくれたマッキントッシュコートは魔術が組み込まれ、裏地は異空間の収納保存ができる。物語で存在するマジックボックスを話したら、師匠と作り上げてしまった。アイツら変人なのに腕が良い。ホント凄い。
アクセサリーの類に小型化はまだ無理で、装飾品に興味がないから服になった。
魔力を使うとき服は汚れない。回路だが原理は聞いても理解不能だった。軽く魔法耐性結界も施されている優れものだ。エルンカの粘液は完全油断。
数日前の日常が遠く感じたが、風に乗る匂いに顔を顰めた。
「くさっ!」
「な、なんで寛いで!しかも無傷!?」
林間から出てきたのはライバ。腐汁を被り汚物色に染まるイケメン。フードマントやズボンに溶けたような穴が空き、汚物の臭気に包まれていた。
「寄るな、ウンコエルフ!クソ臭い!」
「な、なんで、酸で無傷だよ!?」
「は?酸なんかあったか」
「納得いかねえ!お前何者だよ!」
「知らんわ。お前は今ウンコだ。寄るな!」
振り回す長弓から滴る腐汁を避け、ライバに怒るより洗えと言った時だった。
「うわあああっ!」
「きゃーーっ!!」
「腐森牛だーーっ!」
悲鳴がした方角は半キロ程先の街道。ライバは頭をガシガシと掻いて呟いた。
「数頭逃した」
「二次被害」
「だな」
「……」
「……」
二人して無言で目を閉じ腕を組む。あの獣はウンコ。ウンコ牛なんだ。いや、ここにもウンコ臭いエルフがいる。どっちにしろウンコ。連呼するのも臭い気がしてきた。天を仰ぎ、このクソRPG展開に舌打ちをする。
「そこで洗浄魔法でもしてろ。矢を二本貰うぞ。行ってくる」
「あ?そ、任せた」
悪びれる事なく軽い返事を後に、街道に向け駆け出した。
荷車が腐汁を被り倒れ荷が散乱していた。周りにの人は恐怖で座り込むか、立ったまま硬直して動けない。運悪く体当たりされたのか蹲る人達がいた。
「ひ、昼に、森から出てくるなんて」
「おぃ、動くなよ」
「ぉ、お前、冒険者だろ、狩れよ」
「あれ中級クラス!俺初級なんだよ!」
「と、突進したら避けるんだ」
「避けれるならなぁこうならねえよぉ」
「ブモーーッ!」
「ブモッ」
興奮した腐森牛は二頭。人の多い方へ同時に並んで地を蹴った。
「うわぁぁあっ!」
「キャーっ!」
「おまえ退けっ」
「逃げろっ」
ドッ!ドスッ!
ドンッ
「ブモッ」
「モッ」
腐森牛は鈍い音がして寄り添うように密着して脚を止めた。自分の体の異変に首を傾げて足踏み、オタつき始めたのがみてとれる。
「え」
「な、なんだ」
「あっちに逃げるべっ」
「今のうちだっ」
「頭を狙ったが。外れたか」
ワラワラと散る人達の中から、さっき迄そこに居なかったはずの男がぼやく。
艶やかな軽く波打つ黒髪、薄い褐色の肌に見るものを魅了する金の双眸。黒いコートは銀の刺繍で品がある。タイトなボトムに皮の長ブーツ。全身黒に近いが雰囲気に華がある人化した魔狼。
人々の目は突如たる存在に釘付けになる。
腐森牛は首を振り回し、腐臭のする酸化したどす黒い血をぼたぼたと垂らす。肩口は矢が貫通し二頭を縫い付けていたが、激しい首振りにポキと音がした。
「折れたか。もう多少力がいるな」
鼻息荒く前に立つ魔狼に狙いをつけた腐森牛は頭を低く突進した。
闘牛を知っているなら牛の首振り脚蹴り、急旋回にジャンプの勇猛果敢な姿が浮かぶだろう。しかし、人には腐森牛がそれ以上に危険だった。唾液は酸を含み火傷を負うし、強い酸を持つ個体は物を融解し、噛まれると毒素が回る。
しかし、魔狼には最早ウンコでしかない。
避けず動かず更にぼやく。
「クサイ」
ドンッ!!
魔狼は魔力を込めた矢を振り下ろし、骨をも貫通して脳をひと突きした。直ぐさま抜くと、向かい来る二頭目に翻り、同様に突き刺した。
グラッ
ドッ!
ドドッ!
腐森牛二頭は動きが急に止まり、ゆっくりした速さで崩れ落ちた。
「は?」
「な、何が起こった?」
「いや、頭に矢が刺さっとるぞ!?」
「あの人動いた?」
「み、見えんかった」
「すげえ」
周りのざわめきに気付き、目立つ事をしたと後悔しても遅い。既に容姿で惹きつけていたのだから。
ふと怪我をしている人に崩れた荷に目が行った。
「あー、騒がせたな」
そこまで責任持てない。獣は倒したが一帯が汚物臭がするのは変わりなかった。さっさと退散しようと踵を返すと一人の老婆が進路を塞ぎ立った。
「あっ、アンタ!待ちなされ!」
「……何だ」
「これじゃ!これアンタじゃろ!」
ガサガサと歳の割にふくよかな胸の谷間から紙を出し広げて見せた。それは似顔絵だった。
「孫から精霊の加護を受けた勇者様が来たと都で持ちきりじゃと聞いてなあ。あんたコレに瓜二つじゃ!黒髪といえばそうじゃろ!魔王を倒しに行くんじゃろ!」
「は?」
似顔絵は似ていた。周りに字らしきものが沢山書いてあるのは新聞か、おふれなのか。
「勇者?」
「勇者なら強いのもわかるな」
「本物かぁ?」
「怪我人はそこの冒険者に任せての、ほれ、御礼にウチで飯でもくっていかんか。勇者様に会えたと孫にも自慢したいしの。ように男前よなあ。こっちじゃこっち!ほれ!」
「……え、おい」
老婆は魔狼のコートをぐいぐい引っ張り出したが長弓がすっと間に入った。
「先を急ぐ。遠慮して貰おう」
フードを目深に被る男はライバ。魔法で服も直し身綺麗になっている。気配もなく忽然と現れて老婆はあんぐりと口を開けた。助け舟と乗ることにして老婆に声をかけた。
「連れがいるし急ぐ。すまないな」
ライバと街道に足を向ける。
老婆は『魔王倒すからのう』と納得したようだ。羨望の眼差しが背にチクチクと突き刺さるのにイライラした。
少し離れてからも魔狼の耳は声を拾った。
『ありゃ勇者のパーティメンバーじゃ』
『勇者が魔王討伐に向かってるぞ』
完全に勘違いだ。否定するのもあまりの面倒臭さに眉間にシワを作り、無言で歩き続けた。
「そんな眉間にシワ作る程まだ臭いか」
鼻のきく魔狼の事情を知らないウンコ呼ばわりされたライバは、自分の手や腕をスンスン臭いながら街道を進むのだった。
森を抜け街道に出る直前の遭遇。
群れで数十大小いるが、大きい者だけ鼻が曲がる腐臭と共に突進してくる。単純な攻撃は横に避けるだけでいい。
「……これくらいか」
ドンッ
バキバキポキッ
「ブモーーッ!」
エルンカを分断したより弱めに、側面からの魔力当身だけで骨の砕ける音が聞こえ絶命する。重さを感じる音を聴かせて地に倒れる仲間の姿に興奮して次がくるという繰り返しだった。これはもう単純作業。
「……飽きた」
ブチブチッ
「ブモッ!?」
嫌々ながらクサイ草木を鷲掴みにした。汚物色の腐汁が飛び、千切れる音を聞きつつ魔力をそれに込めて群れに思いっくそ投げた。
豪速球とも言える速度でぶっ飛んだ獣は群れを薙ぎ倒し、跳ね上げ木々に当たった者はひしゃげるか変形してこと切れた。パニックになった生き残る獣は自ら激突し脚を折る。これで息があれど衰弱死するだけ。
秘技ローリング・スマッシュボーリング!
内心技の名をつけてみたが古臭い。センスの無さと、ひと暴れの運動としても物足りなさを感じたが、服も汚れず時短討伐完了だ。よしとする。
「鼻が曲がる」
手と顔を洗おうと川辺に戻る。後方をライバが狩る音に声、獣の鳴き声もしたが助けには行かない。魔力があるから大丈夫だろう。だって臭すぎるからもう嫌だ!バシャバシャと臭気を洗浄した。
臭いってのはな、その粒子が嗅覚に直接作用してるんだ。つまりだ。直接それが自分に付くってことだ。ウンコが鼻の中に付いてんだ。そう自分で思ってムカムカした。
「気分悪い」
森林の香りを感じて嘆息して座り込み、コートの内側から角ウサギの食べかけを出し喰いちぎる。
クロウのくれたマッキントッシュコートは魔術が組み込まれ、裏地は異空間の収納保存ができる。物語で存在するマジックボックスを話したら、師匠と作り上げてしまった。アイツら変人なのに腕が良い。ホント凄い。
アクセサリーの類に小型化はまだ無理で、装飾品に興味がないから服になった。
魔力を使うとき服は汚れない。回路だが原理は聞いても理解不能だった。軽く魔法耐性結界も施されている優れものだ。エルンカの粘液は完全油断。
数日前の日常が遠く感じたが、風に乗る匂いに顔を顰めた。
「くさっ!」
「な、なんで寛いで!しかも無傷!?」
林間から出てきたのはライバ。腐汁を被り汚物色に染まるイケメン。フードマントやズボンに溶けたような穴が空き、汚物の臭気に包まれていた。
「寄るな、ウンコエルフ!クソ臭い!」
「な、なんで、酸で無傷だよ!?」
「は?酸なんかあったか」
「納得いかねえ!お前何者だよ!」
「知らんわ。お前は今ウンコだ。寄るな!」
振り回す長弓から滴る腐汁を避け、ライバに怒るより洗えと言った時だった。
「うわあああっ!」
「きゃーーっ!!」
「腐森牛だーーっ!」
悲鳴がした方角は半キロ程先の街道。ライバは頭をガシガシと掻いて呟いた。
「数頭逃した」
「二次被害」
「だな」
「……」
「……」
二人して無言で目を閉じ腕を組む。あの獣はウンコ。ウンコ牛なんだ。いや、ここにもウンコ臭いエルフがいる。どっちにしろウンコ。連呼するのも臭い気がしてきた。天を仰ぎ、このクソRPG展開に舌打ちをする。
「そこで洗浄魔法でもしてろ。矢を二本貰うぞ。行ってくる」
「あ?そ、任せた」
悪びれる事なく軽い返事を後に、街道に向け駆け出した。
荷車が腐汁を被り倒れ荷が散乱していた。周りにの人は恐怖で座り込むか、立ったまま硬直して動けない。運悪く体当たりされたのか蹲る人達がいた。
「ひ、昼に、森から出てくるなんて」
「おぃ、動くなよ」
「ぉ、お前、冒険者だろ、狩れよ」
「あれ中級クラス!俺初級なんだよ!」
「と、突進したら避けるんだ」
「避けれるならなぁこうならねえよぉ」
「ブモーーッ!」
「ブモッ」
興奮した腐森牛は二頭。人の多い方へ同時に並んで地を蹴った。
「うわぁぁあっ!」
「キャーっ!」
「おまえ退けっ」
「逃げろっ」
ドッ!ドスッ!
ドンッ
「ブモッ」
「モッ」
腐森牛は鈍い音がして寄り添うように密着して脚を止めた。自分の体の異変に首を傾げて足踏み、オタつき始めたのがみてとれる。
「え」
「な、なんだ」
「あっちに逃げるべっ」
「今のうちだっ」
「頭を狙ったが。外れたか」
ワラワラと散る人達の中から、さっき迄そこに居なかったはずの男がぼやく。
艶やかな軽く波打つ黒髪、薄い褐色の肌に見るものを魅了する金の双眸。黒いコートは銀の刺繍で品がある。タイトなボトムに皮の長ブーツ。全身黒に近いが雰囲気に華がある人化した魔狼。
人々の目は突如たる存在に釘付けになる。
腐森牛は首を振り回し、腐臭のする酸化したどす黒い血をぼたぼたと垂らす。肩口は矢が貫通し二頭を縫い付けていたが、激しい首振りにポキと音がした。
「折れたか。もう多少力がいるな」
鼻息荒く前に立つ魔狼に狙いをつけた腐森牛は頭を低く突進した。
闘牛を知っているなら牛の首振り脚蹴り、急旋回にジャンプの勇猛果敢な姿が浮かぶだろう。しかし、人には腐森牛がそれ以上に危険だった。唾液は酸を含み火傷を負うし、強い酸を持つ個体は物を融解し、噛まれると毒素が回る。
しかし、魔狼には最早ウンコでしかない。
避けず動かず更にぼやく。
「クサイ」
ドンッ!!
魔狼は魔力を込めた矢を振り下ろし、骨をも貫通して脳をひと突きした。直ぐさま抜くと、向かい来る二頭目に翻り、同様に突き刺した。
グラッ
ドッ!
ドドッ!
腐森牛二頭は動きが急に止まり、ゆっくりした速さで崩れ落ちた。
「は?」
「な、何が起こった?」
「いや、頭に矢が刺さっとるぞ!?」
「あの人動いた?」
「み、見えんかった」
「すげえ」
周りのざわめきに気付き、目立つ事をしたと後悔しても遅い。既に容姿で惹きつけていたのだから。
ふと怪我をしている人に崩れた荷に目が行った。
「あー、騒がせたな」
そこまで責任持てない。獣は倒したが一帯が汚物臭がするのは変わりなかった。さっさと退散しようと踵を返すと一人の老婆が進路を塞ぎ立った。
「あっ、アンタ!待ちなされ!」
「……何だ」
「これじゃ!これアンタじゃろ!」
ガサガサと歳の割にふくよかな胸の谷間から紙を出し広げて見せた。それは似顔絵だった。
「孫から精霊の加護を受けた勇者様が来たと都で持ちきりじゃと聞いてなあ。あんたコレに瓜二つじゃ!黒髪といえばそうじゃろ!魔王を倒しに行くんじゃろ!」
「は?」
似顔絵は似ていた。周りに字らしきものが沢山書いてあるのは新聞か、おふれなのか。
「勇者?」
「勇者なら強いのもわかるな」
「本物かぁ?」
「怪我人はそこの冒険者に任せての、ほれ、御礼にウチで飯でもくっていかんか。勇者様に会えたと孫にも自慢したいしの。ように男前よなあ。こっちじゃこっち!ほれ!」
「……え、おい」
老婆は魔狼のコートをぐいぐい引っ張り出したが長弓がすっと間に入った。
「先を急ぐ。遠慮して貰おう」
フードを目深に被る男はライバ。魔法で服も直し身綺麗になっている。気配もなく忽然と現れて老婆はあんぐりと口を開けた。助け舟と乗ることにして老婆に声をかけた。
「連れがいるし急ぐ。すまないな」
ライバと街道に足を向ける。
老婆は『魔王倒すからのう』と納得したようだ。羨望の眼差しが背にチクチクと突き刺さるのにイライラした。
少し離れてからも魔狼の耳は声を拾った。
『ありゃ勇者のパーティメンバーじゃ』
『勇者が魔王討伐に向かってるぞ』
完全に勘違いだ。否定するのもあまりの面倒臭さに眉間にシワを作り、無言で歩き続けた。
「そんな眉間にシワ作る程まだ臭いか」
鼻のきく魔狼の事情を知らないウンコ呼ばわりされたライバは、自分の手や腕をスンスン臭いながら街道を進むのだった。
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