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第二章 勇者召喚
ひーーつ!
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ガンガンガン…
拍動する音がする。重痛さという目頭に響くのは人だった頃に味わった苦痛だ。
風邪で発熱した時、十六歳にして徹ゲーをしてしまった後の肩凝り、背もたれの長い座椅子に勢い良く座りネタのように倒れて頭を強打した時の痛み。それは頭痛。しかも何か熱い。
……って何コレ。
拍動っていうか太鼓の音?周りで変な人?達が逆さまで踊ってるんだが。
え。俺、動けないし。四脚見ると縛られて吊るされてんだけど。
ドンドコドンドコ…
「ヒーッ!」
「ヒッヒーッ!」
ドンドコドンドコ…
「ヒーッ!」
「ヒッヒーッ!」
それはツッコミがいるんだろうか。俺が逆吊りされて周りで乱舞されてりゃ解るわ。
火だろ。アマゾン秘境の旅番組なのコレ?
「……何で俺が火炙りにされてんだ」
「ヒッヒーッ!」
「うるさいっ!」
ドンドコドンドコ…
「ヒーッ!」
てか、皆どこ行った。
何でこうなった。
「あっ、あっつ!?」
やっべ、俺、最強なの魔法耐性だけじゃ?
焼け死ぬ!?
魔狼、死す。
(素焼き)
※この後スタッフが美味しくいただきました
完
「……じゃねーよ。俺は帰るんだよ」
グルルルルッ
魔力を四肢に集中し、疾走する気で力を入れたら簡単に縄はブチ切れ火元からズレて着地した。
「ヒ……」
「あっ!」
「解けた!」
脚さえ自由ならどうとでもなる。今の姿は魔狼。大型犬くらいだけどな。後ろ脚でザッザッと火に砂をかけた。
ドンドコド…
音が止み、踊りを周回していた仮面を付けたり口元を布で覆ったり楽しそうにしていた人達も立ち止まる。状況を把握する為にも集団を睨んだまま消火した場所を一巡する。耳が尖り角があったり、緑や灰色の皮膚だったり軽く百名を超す人数だった。
グルルルルッ
何なんだ一体。
頭もガンガンする。
それにこの何民族か知らないが魔族だろ?
俺を火炙りにして何の儀式だ。この集団の中に村長とか話のわかる奴は……
シーンと静まり返った村人を改めて見た。
「……ちょっと待て。お前トメちゃんだろ!ゴスロリ魔力だだ漏れ!そこのミニマムはプー!仮面大きすぎて鞄掛けして顔でてるし!手甲したままのルクセルもいるじゃないか!っく」
自分の声が頭に響き頭痛に変換され鼻シワが寄る。
「なんじゃルー、シラけるの」
「そうだぞ。やると言ったからには最後までやり遂げるのが漢じゃないか」
「は?何の話だ?!」
プーは走って来て俺の前でブーッ!と駄目出しのつもりなのか腕でバツを作った。
「酒が抜けたかのぅ。ノリの良いルーは一興じゃったのに」
「酒?!」
「忘れてるみたいだな。村長。折角意気投合したのに真っ白みたいだぞ」
ルクセルは仮面を外し肩を竦めた。頬は軽く染まりホロ酔いお姉さんだ。てゆか何馴染んでんだ軍人!
ドカドカと向かってくるのは屈強な筋肉を纏った灰色の皮膚の大男、おお……
ってパースおかしい!遠近おかしいぞ!
集団に並んでた時左右隣と一緒だったのに目の前に来たら何故見上げる。体高三メートル近いマッチョ。拳王ですか?
「魔狼殿、生贄役、ヤル、言った」
「……は?」
記憶にないぞ。何でカタコト。
「ははっ、村長!本気で踊るから息切れしてるな。自分が変わりに話そう」
「た、頼む」
息切れかい!
ルクセルは器を持って俺の前に来た。ツンと痛い程鼻につくアルコール臭に酒だとわかる。そのまま血管が収縮し頭痛に変わる。
「飲んだら面白いぞ(貴様が)」
にっこり微笑むルクセルはスーツを着せ、細めの眼鏡を掛ければ秘書のお姉さんにハマり役だと思った。いや待て自分。テンションが確かにおかしい。
「どうした。度数86%だ。余裕だと一気飲みしたじゃないか。もう一杯いかんのか?」
「え?俺、飲んだ?」
「飲んだぞ。よくわからんこと言ってたな。チートやらテンセイで人間がどうだか意味がわからんかったが。食料分けて貰いに入った村で祭りにまで参加させてくれてな。毎年贄が焦げすぎて勿体無いとボヤく村長に変わりをやろうかと自ら打診したじゃないか」
「は?」
え?度数高い酒飲んで火炙り?
魔狼になって初めて全身の血が下がったのを経験した。
よ、よく引火しなかったな俺ーっ!!
「あ、ああ、食料ね。それは協力しないと駄目か。はは」
「そうか。やってくれるか。自分も何も考えず楽しいのは久しくてな。軍規や国の重圧の縛りが無いのはいいな」
ルクセルはふふっと笑った。
……お、お姉さま!
って、クソ。
何で俺は狼転生なんだ。
「どうなのじゃ、ルーはやってくれるかの」
「やるそうだ」
「有難い。魔獣に感謝しよう皆の者!」
わあああぁっ!
再び村人たちの活気が戻り、太鼓もテンポ良く響き始めた。またあの変な奇声と踊りが始まった。
ドンっと胸に拳を当て俺にウインクの村長。今普通サイズになってんだけど何。魔力変身の必要あった?意気投合したの全部忘れたわスマン。
ドンドコドンドコ…
「ヒーッ!」
「ヒッヒーッ!」
流石に生活魔法の火に変えて貰った。熱くはない。ぽかぽかします。
逆吊りの丸焼き姿勢は気分は悪い。頭痛も辛い。それでも戦争も人種も何もかも忘れて楽しんでる皆を見て、こんな日も有りかと思った。
のは数時間まで。
この祭りは全員が疲れ果て、ひとり残るまで踊るというサバイバルだったようだ。途中から槍や銃剣みたいなのを持って、ギラギラしたヤバイ目で踊る集団は怖かった。
勝ち残った者は高額賞品がでるらしい。
「我に勝てるものがいるのか!?いないであろう!ヒッヒーッ!」
トメちゃんの一人勝ちだった。
拍動する音がする。重痛さという目頭に響くのは人だった頃に味わった苦痛だ。
風邪で発熱した時、十六歳にして徹ゲーをしてしまった後の肩凝り、背もたれの長い座椅子に勢い良く座りネタのように倒れて頭を強打した時の痛み。それは頭痛。しかも何か熱い。
……って何コレ。
拍動っていうか太鼓の音?周りで変な人?達が逆さまで踊ってるんだが。
え。俺、動けないし。四脚見ると縛られて吊るされてんだけど。
ドンドコドンドコ…
「ヒーッ!」
「ヒッヒーッ!」
ドンドコドンドコ…
「ヒーッ!」
「ヒッヒーッ!」
それはツッコミがいるんだろうか。俺が逆吊りされて周りで乱舞されてりゃ解るわ。
火だろ。アマゾン秘境の旅番組なのコレ?
「……何で俺が火炙りにされてんだ」
「ヒッヒーッ!」
「うるさいっ!」
ドンドコドンドコ…
「ヒーッ!」
てか、皆どこ行った。
何でこうなった。
「あっ、あっつ!?」
やっべ、俺、最強なの魔法耐性だけじゃ?
焼け死ぬ!?
魔狼、死す。
(素焼き)
※この後スタッフが美味しくいただきました
完
「……じゃねーよ。俺は帰るんだよ」
グルルルルッ
魔力を四肢に集中し、疾走する気で力を入れたら簡単に縄はブチ切れ火元からズレて着地した。
「ヒ……」
「あっ!」
「解けた!」
脚さえ自由ならどうとでもなる。今の姿は魔狼。大型犬くらいだけどな。後ろ脚でザッザッと火に砂をかけた。
ドンドコド…
音が止み、踊りを周回していた仮面を付けたり口元を布で覆ったり楽しそうにしていた人達も立ち止まる。状況を把握する為にも集団を睨んだまま消火した場所を一巡する。耳が尖り角があったり、緑や灰色の皮膚だったり軽く百名を超す人数だった。
グルルルルッ
何なんだ一体。
頭もガンガンする。
それにこの何民族か知らないが魔族だろ?
俺を火炙りにして何の儀式だ。この集団の中に村長とか話のわかる奴は……
シーンと静まり返った村人を改めて見た。
「……ちょっと待て。お前トメちゃんだろ!ゴスロリ魔力だだ漏れ!そこのミニマムはプー!仮面大きすぎて鞄掛けして顔でてるし!手甲したままのルクセルもいるじゃないか!っく」
自分の声が頭に響き頭痛に変換され鼻シワが寄る。
「なんじゃルー、シラけるの」
「そうだぞ。やると言ったからには最後までやり遂げるのが漢じゃないか」
「は?何の話だ?!」
プーは走って来て俺の前でブーッ!と駄目出しのつもりなのか腕でバツを作った。
「酒が抜けたかのぅ。ノリの良いルーは一興じゃったのに」
「酒?!」
「忘れてるみたいだな。村長。折角意気投合したのに真っ白みたいだぞ」
ルクセルは仮面を外し肩を竦めた。頬は軽く染まりホロ酔いお姉さんだ。てゆか何馴染んでんだ軍人!
ドカドカと向かってくるのは屈強な筋肉を纏った灰色の皮膚の大男、おお……
ってパースおかしい!遠近おかしいぞ!
集団に並んでた時左右隣と一緒だったのに目の前に来たら何故見上げる。体高三メートル近いマッチョ。拳王ですか?
「魔狼殿、生贄役、ヤル、言った」
「……は?」
記憶にないぞ。何でカタコト。
「ははっ、村長!本気で踊るから息切れしてるな。自分が変わりに話そう」
「た、頼む」
息切れかい!
ルクセルは器を持って俺の前に来た。ツンと痛い程鼻につくアルコール臭に酒だとわかる。そのまま血管が収縮し頭痛に変わる。
「飲んだら面白いぞ(貴様が)」
にっこり微笑むルクセルはスーツを着せ、細めの眼鏡を掛ければ秘書のお姉さんにハマり役だと思った。いや待て自分。テンションが確かにおかしい。
「どうした。度数86%だ。余裕だと一気飲みしたじゃないか。もう一杯いかんのか?」
「え?俺、飲んだ?」
「飲んだぞ。よくわからんこと言ってたな。チートやらテンセイで人間がどうだか意味がわからんかったが。食料分けて貰いに入った村で祭りにまで参加させてくれてな。毎年贄が焦げすぎて勿体無いとボヤく村長に変わりをやろうかと自ら打診したじゃないか」
「は?」
え?度数高い酒飲んで火炙り?
魔狼になって初めて全身の血が下がったのを経験した。
よ、よく引火しなかったな俺ーっ!!
「あ、ああ、食料ね。それは協力しないと駄目か。はは」
「そうか。やってくれるか。自分も何も考えず楽しいのは久しくてな。軍規や国の重圧の縛りが無いのはいいな」
ルクセルはふふっと笑った。
……お、お姉さま!
って、クソ。
何で俺は狼転生なんだ。
「どうなのじゃ、ルーはやってくれるかの」
「やるそうだ」
「有難い。魔獣に感謝しよう皆の者!」
わあああぁっ!
再び村人たちの活気が戻り、太鼓もテンポ良く響き始めた。またあの変な奇声と踊りが始まった。
ドンっと胸に拳を当て俺にウインクの村長。今普通サイズになってんだけど何。魔力変身の必要あった?意気投合したの全部忘れたわスマン。
ドンドコドンドコ…
「ヒーッ!」
「ヒッヒーッ!」
流石に生活魔法の火に変えて貰った。熱くはない。ぽかぽかします。
逆吊りの丸焼き姿勢は気分は悪い。頭痛も辛い。それでも戦争も人種も何もかも忘れて楽しんでる皆を見て、こんな日も有りかと思った。
のは数時間まで。
この祭りは全員が疲れ果て、ひとり残るまで踊るというサバイバルだったようだ。途中から槍や銃剣みたいなのを持って、ギラギラしたヤバイ目で踊る集団は怖かった。
勝ち残った者は高額賞品がでるらしい。
「我に勝てるものがいるのか!?いないであろう!ヒッヒーッ!」
トメちゃんの一人勝ちだった。
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