スキル『レベル1固定』は最強チートだけど、俺はステータスウィンドウで無双する

うーぱー

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2話で女騎士といちゃラブフラグを立てつつ、一気に最強クラスへレベルアップ

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 俺はひとり、森の中の道を歩く。

「まさか、この俺が異世界転生するなんて……。VTuberの中の人が転生して、行き場をなくした人格に過ぎない俺が……」

 そう。俺は普通の人間ではない。
 Web小説主人公系VTuber梛楼なろう太郎たろうだ。
 VTuberの中の人ではなく、あくまでもキャラクターの方だ。

 基本的に企業系VTuberのキャラクターは事務所が権利を持っている。中の人が契約解除したら、キャラクターは過去アーカイブだけの存在となる。それは、実質的な死を意味する。

 俺は、死んだ……。

 だが、ここにいる。

 日本にいた頃の俺に生の肉体はなかった。
 だから俺は生命として不完全だ。

 肉体を得た今、異世界で何を成すべきだ?

 キィン……。
 カン……。
 ゴゴゴ……。

 ……ん?
 森の奥から何か物音がする。

 木々に反響してわかりにくいが、金属がぶつかり合うような音と、叫び声だ。
 誰かが戦っている?
 まさか、さっきの地震で出現したモンスターホールは1個だけじゃなかった?
 他にもモンスターが出現している?

「もし女の子が襲われているなら、Web小説主人公系としては、見捨てるわけにはいかないな!」

 俺は木々の隙間を縫って走り、喧噪の方へ向かった。

 すると、森の中の空き地クレリエールに、女剣士と醜悪顔地底人ゴブリンの集団がいた。

 醜悪顔地底人ゴブリンは、まあ、ゴブリンだ。10人(匹?)いて、刃こぼれした剣や斧で武装している。

 相対する女騎士には、Web小説が書籍化したら1巻の表紙になりそうな華がある。それこそ『書籍化作品の表紙の半数にフェンリルらしき獣が描かれているαポリスの次世代ファンタGカップ(という名のWebコンテスト)』でも、表紙の中央に立てそうな美人だ。

 金髪碧眼で、苦境の中にあっても顔は美しく輝いている。額の汗すら宝石のようだ。
 紺色のドレス風の衣装にはフリルがあしらわれていて、ミニスカート。両肩だけが光り輝く金属の甲冑で覆われている。その防具は、自ら発光し肩から離れて浮いているように見える。
 あの肩アーマーには特に凝った設定はないだろうが、イラスト化されたときにヴィジュアル的な個性を出したいという作家の狙いが透けて見えるかのようだ。

 Web小説主人公系の俺は一瞬でそこまで見抜いた。そして、内心で「お前が表紙を飾ったら女性向け作品だと勘違いされる恐れがある。さえない外見の俺が活躍して、表紙の中央に立たねば」と、対抗心を燃やした。

 そんな彼女は肩で息をしていて、剣先が低く下がりつつある。

「はあはあ……。ノーマル30体の次は、エリート10体……。くっ……! 諦めてなるものか……!」

 ……見えた!
 俺が彼女を助けて、惚れられる展開みらいが!

「我が名はアーサー!」

 俺は巨木の陰から身を乗りだすと大声をあげ、ゴブリンの意識を引く。人数差は10対2だが、これで挟み撃ちのような位置関係になったぞ。

「女騎士よ! 加勢するぞ!」

「……! 我が名は遍歴へんれきの騎士シャルロット・リュミエール! 助勢、感謝する! だが、貴君は逃げられよ! 相手はスキル持ちの超級エリート醜悪顔地底人ゴブリン! 王国騎士団ロワイヤル・シュバリエの上位騎士でなければ太刀打ちできない! 勇敢なる君よ、貴方まで命を落とすことはない。ここは私に任せて、退け! そして叶うことならば、シャルロットは純潔を護り最後まで勇敢に戦ったと、リュミエール家に伝えてくれ!」

 女騎士シャルロットがやけに長台詞を語っており、当然それはお約束として相手は待ってくれる。

「見捨てるわけにはいかない! 命に代えても君を護る!」

 これは俺の生まれついての性質なんだろうけど、自分でも驚くくらい、主人公っぽいことを口にしてしまった。
 演技くさい台詞になるのは、実況動画配信者の宿命……!

 そしてVTuberとしてWeb小説主人公に対して一歩退いたメタい視点を持っていたからこそ、内心では「助けたら絶対、こいつ俺に惚れるし、入浴シーンを覗いちゃうくらいのラッキースケベ展開くるだろ! ス、ケ、ベ! ス、ケ、ベ! ラッキースケベ! ヨホホイホイ!」と思っている(高いテンションではしゃいで、視聴者の期待を煽る)。

 俺は近くにいたゴブリンに、左手を向ける。

「くらえ! ステータスオープン!」

「ぎゃっ!」

「今だ! スキル『レベル1固定』発動! そして、打ち下ろしの右チョッピング・ライト!」

 ゴブリンの頭部に拳を振り下ろす。

 ドゴッ!

 身長差があるから、ゴブリンからしてみればパンチが頭上から降ってきたかと錯覚するほどだっただろう。

「ぎゃあっ! がはあっ……!」

 ゴブリンは血反吐を吐いた後、膝が大きくブルブルと震えだす。倒れないように、必死にこらえているようだ。

「ば、馬鹿なっ……! 不滅の十人将ディス・ジェネラルの、お、俺が、一撃で……」

 ドサッ!

 ゴブリンは白目をむき、顔面から地面に倒れた。

「ゴブリン、喋れるのかよ! 先ずは1体! 全員同じ顔に見えるが、こいつには二つ名があったしボスに違いない! 残りも倒すぞ!」

 俺が2体目の方向へ体を向けて、攻撃態勢に入ると――。

「無茶だ! 超級エリート醜悪顔地底人ゴブリンをあなどってはいけない! 素手で勝てる相手ではない! 今のは不意打ちが上手くいっただけだ! 逃げてくれ! 君が安全なところに逃げ延びるまで、元王国騎士団ロワイヤル・シュバリエの私が敵を足止めしてみせる! 君のような勇気ある者を死なせたくない! 逃げるんだ!」

 女騎士が悲痛な叫び声を上げた。

「俺だって異世界で最初に知りあう貴重な情報げ――、いや、メインヒロイン候補を死なせたくない!」

 メタいことを言うと、シャルロットは『元』王国騎士団ロワイヤル・シュバリエと名乗った。これは、『現』王国騎士団ロワイヤル・シュバリエの登場や、彼女の悲しい過去のエピソードなど、今後の展開を広げてくれそうな設定だ。
 主人公系の転生者としては、是非とも仲良くなりたい相手だ。

「2体目! くらえ! ステータスオープンからの、レベル1固定ッ!」

「くっ! 目がっ…! だが、見えなくとも気配で分かるわ! ひとり倒したくらいで調子に乗るな! 所詮やつは我ら不滅の十人将ディス・ジェネラルの中でも最弱! 貴様ごとき! くっ、な、なんだ。体が重い……!」

 2体目は体の異変に気づいたらしく、顔を絶望に染めた。
 その絶望色の顔(といってもゴブリンの醜悪な灰色ぶつぶつ顔だが)を狙い、遥か高みから、打ち下ろしの右チョッピング・ライト

「おらあっ!」

 ドゴオッ!

「ぐはあっ!」

 ドサッ!

 それまで大半のゴブリンが女騎士に体を向けていたが、半数が俺の方に振り返った。

不滅の十人将ディス・ジェネラルをふたりも倒すとは、ただものではない! 油断するな!」

「まさかお前ら全員不滅の十人将ディス・ジェネラルなの?! そういう集団って、普通は団体行動しないだろ?! おらあっ!」

 ドゴドサアッ! ← 3体めを殴り倒した音。

「体格差とパワー差があって子供をいじめているみたいで気が引けるが! 勝てる!」

「ふん! 若く美しい人間の女を犯すという極上の快楽を前にして、こんな人間の相手をしないといけないとは、なんたる不幸!」

「殴り倒すの気楽になった! おらあっ! 4体!(ドゴドサアッ!) 5体!(ドゴドサアッ!) まだまだあ!」

 俺は次から次へとゴブリンを殴り倒していく。

「え? 超級エリート醜悪顔地底人ゴブリンを殴り倒している?! それにステータスをそんな使い方するなんて見たこともない! 何者ですか貴方は! いや、考えるのはあとだ。私も! あと少しだけもってくれ私の脚……! はああっ! 魔力解放! 極光流星剣オーロラスラッシュ!」

 カイィィーンッ!

「ふふふっ。無駄よ無駄。我を他の不滅の十人将ディス・ジェネラルと同じと思うな。我が剣術は流水。いかなる物理攻撃も我には通用せぬ」

「そんなっ……! ドラゴンの首すら落とす極光流星剣オーロラスラッシュをナイフのように小さな刃で受け流すとは! やはり超級エリート醜悪顔地底人ゴブリン! 小国の魔王にすら匹敵すると言われる実力は本物!」

「そらそら、どうした! 守りが流水なら、我が攻撃はすべてを凍てつかせる氷ぞ!」

「くっ! すさまじい速さ! 突きによって発生した風によって周囲の空気が急速に冷えて、まるで無数の氷柱つららに襲われているかのようだ!」

「ほう。我が剣をここまで防げる人間とは、何年ぶりか! 器用に森の木々を上手く使っておるわ! だがいつまで避けられるかな。秘技『流水の歩み』、そして、絶技氷柱乱れ舞いブリザード・ダンス

「つっ、強すぎる! これが不滅の十人将ディス・ジェネラル! 私の脚が万全だったとしても勝てるかどうか! だが、このような脅威を地上に解き放つわけにはいかぬ! それに私が退けばアーサー殿が囲まれてしまう。命に代えてもここは退けぬ!」

「おらあっ!」

 ドコオッ!

 俺はシャルロットが苦戦していたから、彼女と戦っていたゴブリンを背後からぶん殴った。

「ぐはっ!」

 ドサッ……。

「……は?! 後頭部への不意の一撃とはいえ、不滅の十人将ディス・ジェネラルを一撃で?!」

「シャルロットさん、無事か?」

「は、はい」

「あとは最後の1体だ!」

 俺はラストワンをにらみつける。
 ラストワンはぶるぶると震えている。

「ば、馬鹿な……! 不滅の十人将ディス・ジェネラルが9人も、一瞬で、素手の人間に……! ひいいいっ! こんなの小間使い(雑用係)の俺に、勝てるはずがない!」

「なんでひとりだけ十人将じゃないんだよ! おらあっ!(ドゴッ!)」

「ぐふっ……!」

「ふう。片付いた。俺、気配とか分からないから教えてくれ。もう周囲にゴブリンはいない?」

「え、ええ……」

 シャルロットさんは呆然として、倒れたゴブリンたちを見渡す。

「し、信じられない……」

「ですよねー。10人いてひとりだけ十人将じゃないって、変ですよね」

「あ、いや、そこはどうでも良くて……。そんなことよりも礼を言わせてくれ。アーサー殿がいなければ私は凌辱されて食い殺されていただろう……」

「あの……。感謝していただけているなら、ちょっと、今からすること見てもドン引きしないでくださいね?」

「え? あ、ああ。……そうか。……しょせん君も男か……。私には抵抗する力はない。ゴブリンに凌辱されずに済んだのだ……。リュミエールの乙女の体……。好きにするがいい……」

 なんか小声でブツブツ言っていて聞こえなかったが、まあいいか。
 ちょっと試してみたいことがあるんだよな。

 俺は倒れているゴブリンから剣を奪う。殴っただけだから当然、まだ生きている。

「先ずはゴブリンのレベルを戻す。レベル1固定解除! そして……。俺をレベル1固定ッ!」

 俺は自分にスキルを使用した。

「くっ……。体から力が抜けていく……。剣が重い……。だ、だが……!」

 俺は剣の切っ先をゴブリンの喉に刺して殺す。

 グサアッ!

「ステータスオープン……。よし! ステータスウインドウがあるから、もしかしたらと期待したら、レベル差が大きいと経験値がいっぱい貰えるシステムだ!」

「な、何をしているんだ?」

「あ、うん、ちょっとね。えっ?」

 話しかけられたから見てみると、シャルロットは光っていた肩アーマーが消えており、上着を脱いで上半身裸で、両腕で胸を隠していた。

「……あ! 戦闘で怪我を負ったか、確かめているのか?」

「え? 私に子種こだねを注ぐとか、そういうことでは……」

「……?」

 なんかもじもじ喋っているから、よく聞き取れなかったが……『とどめ』って言ったよな?

「はい。とどめは全部、俺が刺すから! シャルロットさんはそのまま、怪我をしていないか確かめておいてください」

「え? ……あっ! わ、分かった! ふ、ふわわ……。もしかして私はとんでもなく恥ずかしい思い違いをしていたのでは! む、胸が熱い……。ま、まさか、この私が、こ、こここ、恋に落ちたのか?」

 なんかずっとぶつぶつ言っているな。
 冷静で大人びた人かと思っていたけど、意外と騒々しい?

 まあ、いい。作業を続けよう。

 グサアッ! × 9

 俺はすべてのゴブリンにとどめを刺した。剣は最後のゴブの喉に突き刺したまま廃棄。

「ステータスオープン!」

 名前:アーサー
 職業:無職
 年齢:15
 レベル:1
 HP:12
 MP:0 
 攻撃力:6
 防御力:2
 すばやさ:2
 スキル:レベル1固定 / 対象のレベルを1に固定する
 累積経験値:252893 / 次のレベルまで:10

「よっしゃあ! 成功だ! 経験値がとんでもないことになってる! レベル差が大きいと貰える経験値が多いシステム確定! 十人将ありがとう! スキル解除!」

 名前:アーサー
 職業:無職
 年齢:15
 レベル:72
 HP:22000
 MP:1500
 攻撃力:2400
 防御力:1800
 すばやさ:980
 スキル:レベル1固定 / 対象のレベルを1に固定する
 累積経験値:252893 / 次のレベルまで:62834

「うおおっ! ツヨツヨだ! 末尾が0ばかりで、なんか別ゲーのステータスみたいになってしまったが、これは、かなり強いに違いない!」
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