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3話。女騎士と結婚を誓いあい、奴隷少女をゲットする
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俺はシャルロットと一緒に、ゴブリンの死体が転がっている場所から少し離れた。
改めてみるととんでもない美人だな。
年齢は俺より少し上で、大学生くらいだろうか。
戦闘直後なのに身だしなみは綺麗。歩くたびに髪の毛が背中でさらさらと鳴っているかのようだったし、遍歴の騎士(旅して修行している)と名乗っていたが、手入れをよくしているようだ。
「シャルロットさんは、元騎士団なんですよね?」
「ええ」
「俺、スキルを活用して大幅にレベルアップしたんです。どのくらい強いか自分では分からないので、俺のステータスを見てくれませんか?」
「えっ?」
「ステータスオープン!」
「ま、待って! アーサー! ステータスを人に見せる意味が分かっているのか?」
ん?
シャルロットが慌てていて様子が不自然だ。
ステータスを見せたらいけない?
見られたら悪用される?
俺はシャルロットが悪人だとは思えない。それに、仮に弱点を知られたとしても、彼女が俺を襲うとは思えない。
俺はアーサーの記憶があるとはいえ、あまり屋敷を出たことがないから、外のことをあまり知らない。旅の経験が豊富なシャルロットとは仲良くなっておきたい。
わんちゃん、さっき助けたことをきっかけにして恋愛関係に発展したら嬉しい、という下心もあるが、それは秘密だ。
あ!
そうか。逆なんだ。
男と女では、ステータスを見せる意味あいが変わってくる。
抵抗する力がないと知られたら、女性は男に襲われて酷い目に遭う危険があるんだ。それなら警戒して当然だ。
「ごめん。言葉が足りなかった。シャルロットと比較して俺が強いかどうか知りたいわけじゃないんだ。世間一般の騎士やモンスターと比較して、俺がどの程度なのか知りたいんだ。ほら。これからあちこち旅することになると思うし」
「そ、そんな……。こ、心の準備が……」
俺はシャルロットの右隣に移動し、ステータスウインドウを見せようと接近する。
ぷにょんっ。
うっ!
うわあああああああああああああああああああっ!
なっ、ななっ、なんだ!
いったい何が?!
なんか、凄く良い匂いするし、お、俺の腕に、やわっ、柔らッ、かッ!
シャルロットが俺の腕に抱きついてきた!
むっ、むむむ、胸ッ!
シャルロットの胸が当たってる!
脇側のおっぱい、つまり『わきぺえ』がおっ、俺の二の腕に!
転生前に肉体がなかった俺にとって初めて触れる女性の柔らかさと匂いは、思考回路をショート寸前にして、頭がフットーするほどの、衝撃だった。
「男女がステータスを互いに見せあうことは、包み隠さずにすべてを見せるという、誠意の表れ。それは、求婚を意味する。あっ。す、すまない。お前は、意味が分かっていると言ったよな……」
シャルロットが何か言っているけどわきぺえのぷにぷにと甘い匂いのせいで、俺の頭はグラグラシュッシュしてて何も理解できない。
「会ったばかりの男からの求婚を受け入れて、尻の軽い女とは思わないでくれ。ほ、ほら。ステータスオープン……」
名前:シャルロット・リュミエール
職業:遍歴の騎士
年齢:17
レベル:44
HP:235
MP:184
攻撃力:354
蒼風の剣:+460
防御力:255
すばやさ:651
負傷:-500
スキル:公転するふたつの綺羅星 / 攻撃用の衛星上弦の月と防御用の衛星下弦の月を召喚する
累積経験値:3015 / 次のレベルまで:140
シャルロットがステータスを表示した。
そして白く細い指先で、名前をタップし、表示内容を切り替える。
名前:シャルロット・リュミエール
職業:遍歴の騎士
年齢:17
初恋:4歳の時。相手は隣接領主の令嬢マーガレット
性別:女
性経験:なし。処女
自慰回数:週に7回
シャルロットは処女の部分を指さし、消える寸前の蝋燭のようにか細い声で言う。
「じゅ、17にもなって経験がないのは……。べ、別に私が料理もできないがさつな女だからモテなかった訳ではなく、て、貞淑に生きてきただけだ……」
「……?!」
ステータスにこんな機能があったことも驚きだけどそんなことよりも!
二の腕に伝わってくる柔らかさと、シャルロットの甘い香りのせいで、俺はもう脳が限界――。
……。
…………。
………………う。
「いったい何が……」
「気づいたか?」
なんだか凄く近くから声がする。
それに、良い匂いがするし、頭の下が柔らかい。
「急に気を失うから驚いたぞ。超級醜悪顔地底人との戦闘で疲れていたようだな」
「……?!」
ままま、まさか、こ、これは膝枕?!
意識を失った俺をシャルロットが膝枕で、あばばば、がくっ……。
「お、おい、どうした? おい! アーサー!」
……。
…………。
………………う。
「いったい何が……」
「気づいたか?」
なんだか凄く近くから声がする。
それに、良い匂いがするし、全身が柔らかい。
「その……。すまない。夜になって冷えてきたから、暖めあおうと思って勝手に脱がせてしまった」
「……?!」
た、たしかに暗い。夜になっていたようだ。
で、でも、待ってくれ。
暖めあおうと思って勝手に脱がせてしまった、だって?!
中世ヨーロッパではパジャマが存在せず、裸で寝ていたという説が有力だ。服は貴重品だから汚したり皺をつけたりしないよう、原則として、寝るときは着ない。
そして、雪山遭難シーンで頻出するのだが、人間は服を着ているより、裸で抱きあうほうが温かい。
ま、待て。俺の右半身全体に凄く柔らかいものが触れていることと、シャルロットの発言を考慮すると、ま、まま、まさか。
あ、うっ……。がくっ。
「ふふっ。寝てしまったか。可愛い寝顔だ」
……。
…………。
ちゅん、ちゅん、ちちち……。
鳥の鳴き声がする。少し肌寒いな。
いったい、どこで寝てたんだ?
背中が痛い……。
でも体の左右は温かくて柔らかい……。
「おはよう。アーサー」
「……! ま、まま、待って! シャルロット! 離れてくれ!」
「そ、そんな!」
「わ、わわっ。泣くな! お前を嫌っているわけじゃない! また気を失ってしまう! お、俺は異性に触れたことがないんだ! 君みたいな美しい女性に触れられていると、頭が変になるんだ!」
「……! そ、そういうことか。す、すまない! はしたないことをした! 昨日から私、少し変なんだ! お前と一緒にいると冷静さを欠いてしまう」
シャルロットは顔を真っ赤にして俺から離れた。そのとき、俺は彼女の下着姿を見てしまった。さすがに全裸ではなく、白い上下おそろいの下着を装着していた。ここはどうやら、ファンタジーあるあるの、下着がやけに近代的に発展している世界のようだ。
どうでも良い情報かもしれないが、俺も全裸ではなくパンツを穿いていた。近代的なトランクスだ。
「……ん?」
シャルロットが離れたのに、まだ体の左側が柔らかい。
いったい何が。
「ふにゃあ……」
頭に獣耳が生えた、いかにも獣人ですといった感じの子が俺に抱きついていた。
この子の左脚が俺の太ももに乗る体勢で、全身密着しているが股間のアレの感触がない。
女の子か?
いや、触れていないだけか、小さいだけで、男の子か?
良かった。俺はロリコンでもショタコンでもない。性別は未確定だが、小学校3年か4年くらいの小さい子に全裸で抱きつかれても興奮していない。
「お、おい、誰だ? シャルロット、この子は誰だ?」
「え? だ、誰だ……」
「知らないの? どこから来たんだろう」
「うみゃあ……」
獣人の子がもぞりと動いて体を離した。
「みょっ! みょうしわけありませんみゃ!」
その子は、今まさに意識がはっきりしましたといった感じに瞳をまん丸大きくすると、飛び跳ねて、土下座をした。
「さ、寒くて、つい抱きついてしみゃいみゃした! お許しください! お許しください!」
プルプル、プルプル……。
その子は震えだした。
その動揺っぷりは俺にも感染する。
「全裸土下座はやめてくれ! 絵面がヤバい! やめて、やめて、起きて!」
「はいみゃ」
その子はおずおずと上半身を起こした。まるで怒られやしないかと怯えているかのようだ。
全裸乳首丸出し。これはこれで絵面がヤバい……。男の子であってくれ……。
ちらっ。
俺は一瞬だけその子の股間を見たが、ぴったりと股を閉じて正座をしているから性別は分からない。
「ふむ。獣人奴隷か」
いつの間にか服を着終えたシャルロットが俺の隣にやってきた。
「そうなの?」
「ああ。その子は奴隷魔道具の首輪をつけている」
「本当だ……」
乳首や股間を気にしていて、全然気づかなかった。
「……とおりあえず服を着よう」
「はいみゃ」
俺はいかにもファンタジー貴族の子弟っぽい感じの服を着た。
獣人の子はいかにも獣人奴隷といった感じのボロい服を着た。
ガサガサッ!
茂みが鳴ったかと思ったら、中から不審な男が5人ほど現れた。
獣人の子がびくっと驚き、俺の背後に隠れた。
「へっへっへっ。奴隷のくせに逃げやがって。おい、お前ら、そいつは俺たちの商売道具なんだ。痛い目にあいたくなかったら、渡しな」
獣人の子が俺の服をつかんできた。可哀想に。震えているのが伝わってくる。
俺は小声でシャルロットにたずねる。
「あいつらをぶちのめしたら犯罪になる?」
「……ああ。悔しいが彼らが正当な手段で得た奴隷ならば、この子は彼らにとっての所有財産となる。それを奪えば我らが犯罪者となる」
「そうか。なら迷うことはないな」
俺はポケットから宝石を出して、とりあえず1つ、男に向かって投げる。
男はそれをキャッチした。
「おおっ! これは、魔除けの効果があるとされるサファイア! かなり大きくて質も良さそうだ」
「この子を買いたい。足りるか?」
「逆に聞くが、あとから釣りを寄越せなんて言うなよ?」
「ああ。言わない」
「へへへっ! あんたの名は?」
「アーサーだ。家名はない」
「いいだろう。そっちの綺麗な姉ちゃんが証人だ」
「良いだろう。シャルロット・リュミエールがこの場の証人となる」
彼女が名乗った瞬間、男たちが顔色を変えて軽くざわついた。
場を仕切っている男だけは、すぐに表情を消した。
男は懐から何かしらの木の板を取りだす。
「奴隷商マダライは獣人シャティとの奴隷契約を解除する! シャルロット・リュミエールを証人とし、アーサーを獣人シャティの新たな主とする!」
あ。この子、シャティっていうんだ。名前の響き的に女の子か?
パキッ!
奴隷商マダライを名乗った男が木の板を割った。すると、不可視の霧が広がるかのように何かしらの魔法が発動した。見えない魔力がシャティを包んだ。
「へへへっ。これで契約は完了だ。随分ともうけさせてくれたからいいことを教えてやる。すぐ近くにザマーサレルクーズ家があったんだが、そこに行く途中なら無駄だぜ。引き返しな。牛頭巨人に襲撃されて全滅だ」
親切心だろうけど、既知の情報だからどうでもいい。男たちは森の中に去っていった。
俺は獣人の子に向き直る。
「君はシャティって言うんだね? 俺はアーサー。よろしくね」
「シャティです。よろしくみゃ……」
「私はシャルロット・リュミエールだ。よろしく頼む。しかし、アーサーよ。この子に名前を与えてくれ」
「え?」
「シャティというのは、奴隷商たちの間で使われている、猫タイプの獣人奴隷を意味する言葉だ」
「あ。そうなんだ」
俺はシャティを足元から上へと眺めていく。
正面からだが、体の後ろに尻尾が揺れるのがちらっと見えた。
ボロキレワンピースのお尻に穴が開いていて、そこから尻尾を通しているのか?
それともスカート部分が尻尾に引っかかってめくれていて、お尻が丸出し?
とりあえず服を買ってあげたいよな。
「お尻に穴が開いているのか?」
「は、はいみゃ……」 ← 何故か顔を赤くする
「アーサー、当たり前のことを聞いてどうするんだ?」 ← 何故かあきれ顔
「いや、でも、必要なことだ。穴がなかったら入れられないだろ?」
「あ、穴、あるみゃ。使ってくださいみゃ……」 ← さらに顔を赤くする。
「いっ、いれっ、いれっ……! 結婚を誓いあった私とすらまだなのに、こ、こんな小さな子の! 子を成さない方に?!」 ← いきなり俺の肩を掴んで揺さぶってくる。早口すぎて何を言っているのか分からない。
「お、おう。何か誤解させたようだ。入れるではなくて、(尻尾を)出すって言った方が正しいよな」
「ふみゃあ……。そういうご奉仕をしろと言われてるから、覚悟はできていみゃすみゃ……」 ← 俯いてしまったから表情はもう分からない
「そ、それは、最終的には出すのかもしれないが、そ、そういうのは、私と先に……!」 ← 慌てすぎて顔真っ赤で怒っているようにも見える
いったい、なんなんだ。
もしかして、俺、なんかやっちゃいました?
改めてみるととんでもない美人だな。
年齢は俺より少し上で、大学生くらいだろうか。
戦闘直後なのに身だしなみは綺麗。歩くたびに髪の毛が背中でさらさらと鳴っているかのようだったし、遍歴の騎士(旅して修行している)と名乗っていたが、手入れをよくしているようだ。
「シャルロットさんは、元騎士団なんですよね?」
「ええ」
「俺、スキルを活用して大幅にレベルアップしたんです。どのくらい強いか自分では分からないので、俺のステータスを見てくれませんか?」
「えっ?」
「ステータスオープン!」
「ま、待って! アーサー! ステータスを人に見せる意味が分かっているのか?」
ん?
シャルロットが慌てていて様子が不自然だ。
ステータスを見せたらいけない?
見られたら悪用される?
俺はシャルロットが悪人だとは思えない。それに、仮に弱点を知られたとしても、彼女が俺を襲うとは思えない。
俺はアーサーの記憶があるとはいえ、あまり屋敷を出たことがないから、外のことをあまり知らない。旅の経験が豊富なシャルロットとは仲良くなっておきたい。
わんちゃん、さっき助けたことをきっかけにして恋愛関係に発展したら嬉しい、という下心もあるが、それは秘密だ。
あ!
そうか。逆なんだ。
男と女では、ステータスを見せる意味あいが変わってくる。
抵抗する力がないと知られたら、女性は男に襲われて酷い目に遭う危険があるんだ。それなら警戒して当然だ。
「ごめん。言葉が足りなかった。シャルロットと比較して俺が強いかどうか知りたいわけじゃないんだ。世間一般の騎士やモンスターと比較して、俺がどの程度なのか知りたいんだ。ほら。これからあちこち旅することになると思うし」
「そ、そんな……。こ、心の準備が……」
俺はシャルロットの右隣に移動し、ステータスウインドウを見せようと接近する。
ぷにょんっ。
うっ!
うわあああああああああああああああああああっ!
なっ、ななっ、なんだ!
いったい何が?!
なんか、凄く良い匂いするし、お、俺の腕に、やわっ、柔らッ、かッ!
シャルロットが俺の腕に抱きついてきた!
むっ、むむむ、胸ッ!
シャルロットの胸が当たってる!
脇側のおっぱい、つまり『わきぺえ』がおっ、俺の二の腕に!
転生前に肉体がなかった俺にとって初めて触れる女性の柔らかさと匂いは、思考回路をショート寸前にして、頭がフットーするほどの、衝撃だった。
「男女がステータスを互いに見せあうことは、包み隠さずにすべてを見せるという、誠意の表れ。それは、求婚を意味する。あっ。す、すまない。お前は、意味が分かっていると言ったよな……」
シャルロットが何か言っているけどわきぺえのぷにぷにと甘い匂いのせいで、俺の頭はグラグラシュッシュしてて何も理解できない。
「会ったばかりの男からの求婚を受け入れて、尻の軽い女とは思わないでくれ。ほ、ほら。ステータスオープン……」
名前:シャルロット・リュミエール
職業:遍歴の騎士
年齢:17
レベル:44
HP:235
MP:184
攻撃力:354
蒼風の剣:+460
防御力:255
すばやさ:651
負傷:-500
スキル:公転するふたつの綺羅星 / 攻撃用の衛星上弦の月と防御用の衛星下弦の月を召喚する
累積経験値:3015 / 次のレベルまで:140
シャルロットがステータスを表示した。
そして白く細い指先で、名前をタップし、表示内容を切り替える。
名前:シャルロット・リュミエール
職業:遍歴の騎士
年齢:17
初恋:4歳の時。相手は隣接領主の令嬢マーガレット
性別:女
性経験:なし。処女
自慰回数:週に7回
シャルロットは処女の部分を指さし、消える寸前の蝋燭のようにか細い声で言う。
「じゅ、17にもなって経験がないのは……。べ、別に私が料理もできないがさつな女だからモテなかった訳ではなく、て、貞淑に生きてきただけだ……」
「……?!」
ステータスにこんな機能があったことも驚きだけどそんなことよりも!
二の腕に伝わってくる柔らかさと、シャルロットの甘い香りのせいで、俺はもう脳が限界――。
……。
…………。
………………う。
「いったい何が……」
「気づいたか?」
なんだか凄く近くから声がする。
それに、良い匂いがするし、頭の下が柔らかい。
「急に気を失うから驚いたぞ。超級醜悪顔地底人との戦闘で疲れていたようだな」
「……?!」
ままま、まさか、こ、これは膝枕?!
意識を失った俺をシャルロットが膝枕で、あばばば、がくっ……。
「お、おい、どうした? おい! アーサー!」
……。
…………。
………………う。
「いったい何が……」
「気づいたか?」
なんだか凄く近くから声がする。
それに、良い匂いがするし、全身が柔らかい。
「その……。すまない。夜になって冷えてきたから、暖めあおうと思って勝手に脱がせてしまった」
「……?!」
た、たしかに暗い。夜になっていたようだ。
で、でも、待ってくれ。
暖めあおうと思って勝手に脱がせてしまった、だって?!
中世ヨーロッパではパジャマが存在せず、裸で寝ていたという説が有力だ。服は貴重品だから汚したり皺をつけたりしないよう、原則として、寝るときは着ない。
そして、雪山遭難シーンで頻出するのだが、人間は服を着ているより、裸で抱きあうほうが温かい。
ま、待て。俺の右半身全体に凄く柔らかいものが触れていることと、シャルロットの発言を考慮すると、ま、まま、まさか。
あ、うっ……。がくっ。
「ふふっ。寝てしまったか。可愛い寝顔だ」
……。
…………。
ちゅん、ちゅん、ちちち……。
鳥の鳴き声がする。少し肌寒いな。
いったい、どこで寝てたんだ?
背中が痛い……。
でも体の左右は温かくて柔らかい……。
「おはよう。アーサー」
「……! ま、まま、待って! シャルロット! 離れてくれ!」
「そ、そんな!」
「わ、わわっ。泣くな! お前を嫌っているわけじゃない! また気を失ってしまう! お、俺は異性に触れたことがないんだ! 君みたいな美しい女性に触れられていると、頭が変になるんだ!」
「……! そ、そういうことか。す、すまない! はしたないことをした! 昨日から私、少し変なんだ! お前と一緒にいると冷静さを欠いてしまう」
シャルロットは顔を真っ赤にして俺から離れた。そのとき、俺は彼女の下着姿を見てしまった。さすがに全裸ではなく、白い上下おそろいの下着を装着していた。ここはどうやら、ファンタジーあるあるの、下着がやけに近代的に発展している世界のようだ。
どうでも良い情報かもしれないが、俺も全裸ではなくパンツを穿いていた。近代的なトランクスだ。
「……ん?」
シャルロットが離れたのに、まだ体の左側が柔らかい。
いったい何が。
「ふにゃあ……」
頭に獣耳が生えた、いかにも獣人ですといった感じの子が俺に抱きついていた。
この子の左脚が俺の太ももに乗る体勢で、全身密着しているが股間のアレの感触がない。
女の子か?
いや、触れていないだけか、小さいだけで、男の子か?
良かった。俺はロリコンでもショタコンでもない。性別は未確定だが、小学校3年か4年くらいの小さい子に全裸で抱きつかれても興奮していない。
「お、おい、誰だ? シャルロット、この子は誰だ?」
「え? だ、誰だ……」
「知らないの? どこから来たんだろう」
「うみゃあ……」
獣人の子がもぞりと動いて体を離した。
「みょっ! みょうしわけありませんみゃ!」
その子は、今まさに意識がはっきりしましたといった感じに瞳をまん丸大きくすると、飛び跳ねて、土下座をした。
「さ、寒くて、つい抱きついてしみゃいみゃした! お許しください! お許しください!」
プルプル、プルプル……。
その子は震えだした。
その動揺っぷりは俺にも感染する。
「全裸土下座はやめてくれ! 絵面がヤバい! やめて、やめて、起きて!」
「はいみゃ」
その子はおずおずと上半身を起こした。まるで怒られやしないかと怯えているかのようだ。
全裸乳首丸出し。これはこれで絵面がヤバい……。男の子であってくれ……。
ちらっ。
俺は一瞬だけその子の股間を見たが、ぴったりと股を閉じて正座をしているから性別は分からない。
「ふむ。獣人奴隷か」
いつの間にか服を着終えたシャルロットが俺の隣にやってきた。
「そうなの?」
「ああ。その子は奴隷魔道具の首輪をつけている」
「本当だ……」
乳首や股間を気にしていて、全然気づかなかった。
「……とおりあえず服を着よう」
「はいみゃ」
俺はいかにもファンタジー貴族の子弟っぽい感じの服を着た。
獣人の子はいかにも獣人奴隷といった感じのボロい服を着た。
ガサガサッ!
茂みが鳴ったかと思ったら、中から不審な男が5人ほど現れた。
獣人の子がびくっと驚き、俺の背後に隠れた。
「へっへっへっ。奴隷のくせに逃げやがって。おい、お前ら、そいつは俺たちの商売道具なんだ。痛い目にあいたくなかったら、渡しな」
獣人の子が俺の服をつかんできた。可哀想に。震えているのが伝わってくる。
俺は小声でシャルロットにたずねる。
「あいつらをぶちのめしたら犯罪になる?」
「……ああ。悔しいが彼らが正当な手段で得た奴隷ならば、この子は彼らにとっての所有財産となる。それを奪えば我らが犯罪者となる」
「そうか。なら迷うことはないな」
俺はポケットから宝石を出して、とりあえず1つ、男に向かって投げる。
男はそれをキャッチした。
「おおっ! これは、魔除けの効果があるとされるサファイア! かなり大きくて質も良さそうだ」
「この子を買いたい。足りるか?」
「逆に聞くが、あとから釣りを寄越せなんて言うなよ?」
「ああ。言わない」
「へへへっ! あんたの名は?」
「アーサーだ。家名はない」
「いいだろう。そっちの綺麗な姉ちゃんが証人だ」
「良いだろう。シャルロット・リュミエールがこの場の証人となる」
彼女が名乗った瞬間、男たちが顔色を変えて軽くざわついた。
場を仕切っている男だけは、すぐに表情を消した。
男は懐から何かしらの木の板を取りだす。
「奴隷商マダライは獣人シャティとの奴隷契約を解除する! シャルロット・リュミエールを証人とし、アーサーを獣人シャティの新たな主とする!」
あ。この子、シャティっていうんだ。名前の響き的に女の子か?
パキッ!
奴隷商マダライを名乗った男が木の板を割った。すると、不可視の霧が広がるかのように何かしらの魔法が発動した。見えない魔力がシャティを包んだ。
「へへへっ。これで契約は完了だ。随分ともうけさせてくれたからいいことを教えてやる。すぐ近くにザマーサレルクーズ家があったんだが、そこに行く途中なら無駄だぜ。引き返しな。牛頭巨人に襲撃されて全滅だ」
親切心だろうけど、既知の情報だからどうでもいい。男たちは森の中に去っていった。
俺は獣人の子に向き直る。
「君はシャティって言うんだね? 俺はアーサー。よろしくね」
「シャティです。よろしくみゃ……」
「私はシャルロット・リュミエールだ。よろしく頼む。しかし、アーサーよ。この子に名前を与えてくれ」
「え?」
「シャティというのは、奴隷商たちの間で使われている、猫タイプの獣人奴隷を意味する言葉だ」
「あ。そうなんだ」
俺はシャティを足元から上へと眺めていく。
正面からだが、体の後ろに尻尾が揺れるのがちらっと見えた。
ボロキレワンピースのお尻に穴が開いていて、そこから尻尾を通しているのか?
それともスカート部分が尻尾に引っかかってめくれていて、お尻が丸出し?
とりあえず服を買ってあげたいよな。
「お尻に穴が開いているのか?」
「は、はいみゃ……」 ← 何故か顔を赤くする
「アーサー、当たり前のことを聞いてどうするんだ?」 ← 何故かあきれ顔
「いや、でも、必要なことだ。穴がなかったら入れられないだろ?」
「あ、穴、あるみゃ。使ってくださいみゃ……」 ← さらに顔を赤くする。
「いっ、いれっ、いれっ……! 結婚を誓いあった私とすらまだなのに、こ、こんな小さな子の! 子を成さない方に?!」 ← いきなり俺の肩を掴んで揺さぶってくる。早口すぎて何を言っているのか分からない。
「お、おう。何か誤解させたようだ。入れるではなくて、(尻尾を)出すって言った方が正しいよな」
「ふみゃあ……。そういうご奉仕をしろと言われてるから、覚悟はできていみゃすみゃ……」 ← 俯いてしまったから表情はもう分からない
「そ、それは、最終的には出すのかもしれないが、そ、そういうのは、私と先に……!」 ← 慌てすぎて顔真っ赤で怒っているようにも見える
いったい、なんなんだ。
もしかして、俺、なんかやっちゃいました?
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俺は五里羅門(ごり・らもん) 35歳独身男だ。硬派すぎて女が寄り付かず。強すぎる空手愛と鍛え抜かれた肉体のせいで不本意ながら通称「ゴリラ」と呼ばれていた。
仕事帰りにダンプに跳ねられた俺が目覚めると、そこは異世界だった。だが転生した姿は前世とは真逆。
病弱で華奢。戦闘力最低と言われる職業の「治癒士」(ヒーラー)適正の10歳の少年・ノエル。
「俺は戦闘狂だぞ!このひ弱な体じゃ、戦えねぇ!
「華奢でひ弱な体では、空手技を繰り出すのは夢のまた夢……」
魔力と資質が全てのこの世界。努力では超えられない「資質の壁」が立ちふさがる。
だが、空手馬鹿の俺の魂は諦めることを知らなかった。
「魔法が使えなきゃ、技で制す!治癒士が最強になっちゃいけないなんて誰が決めた?」
これは魔法の常識を「空手の技」で叩き壊す、一人の少年の異世界武勇伝。
伝説の騎士、美少女魔術師、そして謎の切り株(?)を巻き込み、ノエルの規格外の挑戦が今始まる!
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
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