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4話
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◆
ピピピピピ・・・・・
「わあッ」
スマホのアラーム音で飛び起きる。慌ててアラームを切り時間を見ると、朝の支度をする時間だった。
「あれ……いつの間に寝てたんだっけ……」
昨夜、寝る前までの記憶が不確かだ。
確か、彼の家へ遊びに行って、最初はいい感じだった。でも彼は親御さんから用事があって……すぐに出かけちゃって……それで……。
「それで、おじさんからお茶をご馳走してもらって……彼の帰りが遅すぎるから帰ったんだっけ……?」
結局『すぐ帰るから部屋で待ってて』と彼に言われたものの、彼は帰ってこなかった。それでおじさんが『幼馴染とはいえ客人をこんなに待たせるなんて失礼だから、今日は帰りなさい』と言われて……素直に帰った……ような気がする。
「うう……期待しだだけに身体をもてましちゃって……それで……」
帰ってから一人遊びをしてしまった気がする。おぼろげながら身体が疼いて疼いて仕方なかった記憶と、玩具で自分の秘所を抜き差しした感覚が残っている。
「ふぇぇ……またやっちゃったぁ……」
自覚したのは高校くらいだったろうか。
彼への恋心を明確に自覚したのと同時にそういう興味が強く湧いたのだ。自分の手だけでは飽き足らず玩具にまで持ち出すのに時間はかからなかった。今では彼へのトキメキを覚える度に身体が疼いて仕方なくなるくらい重症だったりする。
晴れて恋人として両思いになったにも関わらず、まだそういう機会に恵まれてないだけに、一人遊びばかりで気持ちが空回りしている気分だ。
実は彼への負い目を感じているのは、この癖もある。まだお互い両思いになったばかりなのに、すでにそういう事に興味熱心に自分で開発しちゃっているだなんて、知られたらドン引きされないだろうか。
「ーーーーあ、支度しなきゃ………!」
悶々としている内にアラームが鳴ってから10分以上経っている事に気づき、登校するために焦ってベットから飛び起きる。まだぼんやりして身体が怠い気がする。まずはシャワーを浴びて目を覚さなきゃ……。
◆
◆
◆
「あ、おはよー、タツマ」
「おはよ、ユーマ」
それはそうと今日も大好きな彼と何気ない挨拶すら愛おしい。普通の幼馴染だった頃と変わらないはずなのに、正式に想いが通じてからと言うもの心なしか、より彼が嬉しそうに接してくれている気がする。
「昨日は帰っちゃってゴメンね」
「いーよいーよ。俺も用事あったの忘れてちゃってたから……夕方には帰れたけど、急いで帰ったからにはユーマも用事あった?」
「え? そう……なの?」
彼の話にきょとんとする。夜まで待って、それでもタツマが帰ってこなかったから、おじさんに促されて帰ったハズだった。
「ん? どした?」
「あ……ええと用事は、なかったよ!うん、ごめん、眠かったのかも」
「そっか」
なんとなく誤魔化したけれど、自分の記憶と食い違った事が気になった。そういえば何時だっただろう。時計を見た記憶はない。どこか暗くなってきたところまでは記憶がある気がするけれど、どうも曖昧な感覚だ……。
ーーーーもしかしたら彼にとっての夕方は、夜だと思っている感覚だったのかもしれない。そうだ、彼は昔から夜更かしが好きだったから、こっちにとっての夜が、夕方だっただけに違いない。
「どうしたユーマ、なんか悩み事?」
「へ? いや、なんでもないよ!大丈夫大丈夫!」
何時頃だったか覚えていないのに"""夜だったでしょ""議論をしても仕方ない。こちらの様子がおかしい事に気にしたのか、その端正な顔が迫ってきてまた覗き込まれた。それはそれで動揺してしまうので唐突にやるの勘弁してほしい。
「そう? ……今日は帰り時間ある?」
「うん。今日こそ予定ないよ」
「家、さ。家族いる?」
「うっ それは……」
残念ながら家族がいる日だ。うちの家族はいる事が多い。しかも僕たちの関係を知っていて応援してくれているのは彼のお父さんである、タマキおじさんだけ。
家族の話が出るということはきっとイチャイチャタイムの相談だ。願ってもない事だが、自宅はあまりにも適性がない。オナニーに狂っている自分ではあるが、する時は枕やシーツを口にくわえて必死に声を抑えて、静かに致している。してる最中に部屋に来られた時もあったが、そういう時は寝たフリが即通用するように布団をかぶって致している。……我ながら非常に情けない事情だが他にできるところはないので仕方ないのだ。
「ごめん、うちはほぼムリ、かな」
「だよなぁ。俺んちも、しばらくは無理、かな。昨日こそは親父いねーと思ったんだどなぁ」
「……そうだね、なかなか歯がゆいね」
なかなか恋人らしい事が出来なくて悶々しているのは彼も一緒なのだとわかっただけで少し気が楽になった。昨日は途中で中断しておかなければおじさんに見られてしまう所だったから、今後は慎重に行動しなきゃいけないなぁ。
「そうだ、昔よく行った公園行ってみね?久々にさ」
「お、いいね。たまにはブラブラしてみようか」
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