神様は少年に賽を振らす

硝子

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はじまりはじまり

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ある日神様は一人の少年に一つだけ願いを叶えてあげると言った。

彼は言った。

「このゲームの世界にして!この僕が居る世界を!」

その瞬間世界は交わった。。。




いつもと変わらない朝。

昨日の酒がまだ残っている。

喉が痛い。辛い。とりあえず二度寝。


ガシャーン!

隣の家の窓が割れる音がした。

なんだよ…泥棒か?

時計を見ると午後一時だった。

ガシャーン!

また何かの割れる音だ。

怖いな…

とりあえず外を覗く。

すると複数の家からは煙が出て、車が事故った様で何台も連なっていた。


なんだよこれ…


走っている人が居る。

どうやら追われているらしい。

狼の様な生き物が襲いかかり、八つ裂きにした。八つ裂きという言葉が今一しっくりきてなかったが、この光景を目にしたら誰もがその言葉を思い出すだろう。


テレビを点ける。が、何も映らない。

ネットを確認する。が、繋がらない。


あ。そういや「ラージャクエスト」良いところだったな。

おもむろに携帯を取り出し、アプリを起動した。

「やったー!なんでだ?これは起動できる!」


ラージャクエストは今大流行しているアプリゲームだ。よくあるRPGゲームだが、逆にそのシンプルさが受けている。社会現象とまで言われ、第二のポケ◯ンと言われている。妖怪ウォッチは息が短かった為ノーカウントだ。


良く見ると携帯の電池が0パーセントだ。

なのになんで動くんだ?

まぁいいか。考えたって仕方がない。


アプリを起動した。

すると初期画面になった。

あれ?なんでプロローグ始まってんの?

やっぱ電池も可笑しいし故障か?

おいおいおいおいおい。オレがどれだけ課金したと思ってんだ! 


変な汗をかきながら、アプリを進める。

くそ!仕方ない。リセマラからリスタートだ! 


容姿設定がないな…

とりあえず進めるか!

えーと、初期職業は…やっぱ特異職のガンスリンガーだよな! これはクローズβの参加者のみの特権だ。

あれ?なんで選べるんだ?

データ消えたんじゃないのか…初期化されただけなのか?


突然頭の中に声が鳴り響く。


≪世界設定が完了しました≫


するとスマフォが光輝き、体の中に溶けていった。


あれ?え? なにこれこわい。


理解するのに時間がかかったが、何故かそれらを知っているかの様だった。

自然と理解した。


『ステータス』と心の中で唱えると、ラージャ・クエストのままの画面が視界に飛び出した。


名前:硝子

職業:ガンスリンガー

ユニークスキル:アルケミスト

レベル:1


と書かれていた。

このユニークスキルがランダムで、何度もリセマラをするのであった。

特に、レアハンターやファストステップやハイパワーが重宝された。

アルケミストは、製造職にしか役に立たず、しかもラージャ・クエストでは製造職は外れだったので誰もとらない外れスキルだ。

製造するよりもレアハントした方がよっぽど効率が良いのだ。


いや、まてよ。ガンスリンガーだから弾ないとダメじゃん! むしろ幸運!

とんでもないネタ職になるところだったw

某MMOの殴りプリースト様に…


アイテムボックスを見渡す。これもまた心で念じれば開けた。

お!銃と弾が入ってる!

ラージャ・クエストの武器は、初期武器が進化していくものだった。


≪アイテムボックスの中のモノを取り出すには、アイテムボックスを開いてアイテムの名前を口に出して下さい。また、収納する時はアイテムに触れてアイテムボックスと唱えて下さい≫


また声が響いた。

綺麗な透き通った、でも機械的な声だ。


よっしゃ! 初期銃の名前はメタトロンだ。こうい所が中二だよなw


「メタトロン!」

すると心臓の辺りから先ほどの携帯の光が出てきた。

手を入れてみると確かにそこに銃があった。

抜き出すと共に光が消えた。


格好いい…形はベレッタそのものだ。

確かな重量を感じる。

弾はどうするんだ?

とりあえず撃ってみると、アイテムボックスの弾が自動的に減っていった。

こっりゃ便利だ。


次にユニークスキルのアルケミスト確認。

製造の欄を見ると、いくつか解放されていた。

その中に、銃の弾もあった。

…良かった。材料鉄だけだ。

この設定もラージャ・クエストのままだ。

材料が少ない。面白味がない。

そんな理由でもアルケミストは不遇であった。

でも現実ではとても助かる。


≪製造は、材料となる物に触れて、メイクと唱えるとアイテム欄に追加されます≫


この声にも慣れてきた。というよりもっと聞きたいw


サバゲー様のガンホルダーにメタトロンをぶっ刺す。くーっ格好いいぜオレ!


だがしかし、Tシャツにパーカーだけというアンバランス。

とりあえず家にある鉄製品をほとんど弾丸に変えた。初期の弾と合わせても当分はもつだろう。

ついでにポーションも幾つか作った。

なんと、材料は消毒液だった。マキ◯ンひとつで10個も出来た。とりあえず一安心だ。

飲んでみたら、炭酸の抜けたドクターペッパーの味がした。…悪くないね!

ステータスバーのhpが回復した。なんでオレ既にダメージ受けてるの…?


よっしゃ! 素晴らしい出会いを期待して、この世界へ飛び立つぜ!


…となるのが勇者気質。

オレは勿論引きこもり気質。

とりあえずは食料が尽きるまでは漫画でも読んで過ごそう。その間に救助とか来るかもだし。隣の音が気になるけど…


2ヶ月後…


近所の食料も食いつくしてしまった…

何度か戦闘はあったもののメタトロンの前に沈んでいった。

でも、怖いんだもん!メタトロンは良い子だけど怖いんだもん!


向かいの一軒家に行くことにした。

移動距離役15メートル。でも怖い。

分からないと思うけど実際そうなったらそうだから!パンデミックを夢想しようが、現実を頑張れてないやつはそうだから!


血と肉の破片を避けながら向かいの家までダッシュする。

あー、自慢ドクターマーチン8ホールが血だらけだよ…


鍵は閉まっていたが、窓が空いていた。

お邪魔しまーす。

中は酷い有り様だった。

大地震でもあったかの様だ。


とりあえず安全面確保の為二回も散策!

片手にライトを持ち、その上にメタトロンをピッタシとくっつける。

まるで某CT◯職員の様だ!


粗方物色し終え、最後の一番奥の部屋を開ける。

「あれ?鍵かかってるな」

早速最近判明したアルケミストの便利な力を発揮する。このドアノブ鉄で出来てやがる!


なんなく壊れた扉を開ける。

腐った様な酸っぱい匂いが充満する。

臭い…鼻がもげそうだ。

ぐちゃぐちゃになったヌイグルミの中に横たわる死骸があった。

まだ10歳にも満たない幼女だ。

いつも家の窓から見ていた天使だ。

無論!覗いていた訳ではない。たまたまだ!


「ごめんな…もっと早く来てれば…自分の事で精一杯だったんだ…」


そう言った俊微かに目が開いた。


「こ…ろ…し…て…」

そう口が動いた。声は出ていない。


メタトロン静かに向け、引き金に指をかける。


さようなら


…待てよ。ポーション試してみるか。無理かもしれんがやってみよう。


さっそくポーションを取り出す。

そして口に流し込む。

ダメだ。なにも変わらない。

くそう!何がアルケミストだ。ガンスリンガーだ。大切な時に役に立たない。プリーストでも選んどくんだった!


…その時声が響いた。


≪精神レベルのアップを確認しました。スキルが解放されます≫


そうだった。ラージャ・クエストは、モンスターを倒すだけじゃレベルが上がらず、クエストをこなして初めてレベルアップするシステムだった。


すぐにアルケミストのスキル欄を確認する。

ハイポーション…あった!

瀕死状態でも回復するポーションだ。

材料は…ポーションとバンドエイド!

よし!さっき確か救急箱あったよな!

すぐに確認し、ハイポーションを作った。

ゲーム内では何故かバンドエイドがレアドロップで滅多に作れなかったが、プリーストが居れば無問題。モーマンタイだった。


静かに口に注ぎ込む。

ポーションは赤かったが。ハイポーションは青い。きっと炭酸の抜けたソーダ味だな!


すべて口に注ぎ込むと、幼女の体が光だした。

そして眩い光に包まれると、体の傷が消え、ミイラの様な肌も、年相応の色を取り戻した。


「おいおい。ハイポーション神の奇跡かよ」

不思議と涙が溢れていた。


幼女を抱き、自分の家まで戻り、風呂に入れ汚れを落とし、ベッドに寝かせた。

目を覚ましてくれるのを祈るのみだ。



…はっ!いつの間にか寝てしまった。

幼女は? 居ない!

急いで台所の方を見るとトントン包丁の音が聞こえる。

あぁ幼女だ。良かった…


「起きて下さい。ご飯が出来ました」

ん? また寝ちまったか…

体を起こすと幼女が居た。家から取ってきたのであろうピンクのパジャマを着ている。


「この度は命を救って頂き誠にありがとうございました。皇杏果一生をかけてご恩をお返しします」


「そういう台詞ってどこで覚えるの?」

そう呟いてしまった。


「漫画です!」

真剣な表情だ。


「うん。杏果。ありがとう。オレは◯◯◯」

あれ?名前が発声できない。

杏果は、ん?という顔をしている。

そういや名前設定したな。なんだこの無意味な設定! もっと中二な名前のやつ悲惨だな。

おっさんがロキだ!とかいいだしたらw


「オレは硝子。宜しくな!」

そう格好つけて言ったのにお腹が鳴った。

「ご飯にしましょう」

杏果が笑顔で言った。


びっくりするくらい杏果の飯は旨かった。

聞くと母親が居らず、ご飯は杏果が作っていたらしい。


「あ、そうだ。杏果スマフォ持ってる?」

「持ってないです。すいませんです。」

「いやいやいいよ!オレの前の携帯どこ行ったかな?」


一個前の携帯はすぐ見つかった。

充電もしていないのに何故か電源が入った。

そしてラージャクエストは何故かインストール済みだった。


早速杏果にも登録させた。名前はそのままがいいぞとアドバイスしてやったぜ!


杏果はプリーストを選んだ様だ。

きっと自分の様な人を救いたいのだろう。

ユニークスキルはレアハント!ゲームでは超当たりだが、現実ではどうだろうか?

凄いな。オレなんかよりよっぽど馴染んでいる。

あのアナウンスの声に驚いて飛び上がったのは杏果には絶対に言えない。


武器はステッキの様な、幼女に激似合う武器だった。可愛い…


試しにオレにヒールかけてくれた。

心地よい緑の光に包まれた。  

あれ?なんでオレhp減ってるんだw


よっしゃ!食料もゲットしたし引きこもるか!


「え?困ってる人を救うんじゃないんですか?硝子さんが私にしてくれた様に…」


「あー、あれはたまたまだよ。食料切れちゃってさ…」


杏果が泣きそうな顔になる。


「というのは嘘だ!はははは!騙されたな!とりあえずショッピングモールでも目指すか!困ってる人たちが居るだろう!」


杏果がちょっ疑った顔をして、笑顔になった。


「あと硝子さんはやめてくれ!距離があるだろう?オニイチャンもしくは硝子オニイチャンと呼んでくれ!」


「じゃあおにいちゃん。私には他にお兄ちゃんは居ないから」


全てが満たされる感じがした。生きてて良かった。


「よし!まずは駅前のモールへ向かうか」


「うん!」杏果は元気良く言った。




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