便所の落書きにもならない雑記帖

乃武子

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バイクの話(教習所編)

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29歳の秋、自宅から4キロ弱の所にある教習所に約1ヶ月半通った。通学手段は基本トモスだったが、雨の日のみ電車を使っていた。

私は普通免許を持っていないので、学科教習を1から受講しなければならなかった。それはいいのだが、原付免許がある人とない人で教習料金が全く一緒というのは少々腑に落ちない。原付免許を取得する時にも交通法規や運転マナーは一応勉強したのだから、せめて5千円くらいは安くしてほしい。

技能教習は学科教習を全て終わらせてから受講した。その方があまり間隔を空けずに集中してバイクに乗れると思ったからだ。

中型バイクを初めて間近で見てその大きさに驚いたが、二輪教習最初の難関とされる引き起こしはコツを知っていたので無難にこなすことができた。『こち亀』で両さんが白バイの起こし方を説明しているシーンを覚えていてよかった。

腕力はある方だが、200キロのバイクを取り回すのはさすがにきつかった。センタースタンドを立てるのは特に苦労した。力よりもコツの方が重要だと分かっていても、不器用すぎてなかなかできなかった。こんな調子で免許が取れるのかと思ったが、センタースタンドを使ったのは最初の1日か2日だけだった。

教習にはほぼ毎日通えていたので、半クラの感覚やギアチェンジは数回で慣れた。ただ、停止はいつまで経っても下手でよく失敗した。教習では「停止前にギアを必ず1まで下げろ」と言われるのだが、その通りにしようとするとギアチェンジのタイミングが間に合わずに急ブレーキをかけてしまい、バランスを崩して転倒しかけることが多かった。ちゃんと走れるのに止まれない教習生は多分珍しかったのではないだろうか。

少しずつでも確実に乗りこなせるようになっているという実感はあったが、教習を楽しむほどの余裕はなかった。ついていくだけで精一杯だったからだ。失敗続きでスランプに陥ったこともあった。気晴らしがしたくて「ちょっとバイクから離れたい。ドライブに連れてって!」とわがままを言ったら、夫は急遽レンタカーを借りてくれた。無理やり付き合わせることになってしまって申し訳なかった。

私が最も難しいと感じた課題は坂道発進だ。アクセルを吹かすことに集中しすぎてクラッチ操作が疎かになり、よくエンストさせた。1本橋はスピードを落としすぎなければスムーズに渡れた。スラローム・クランク・S字はアクセルの開閉と半クラを駆使して通過するのが普通だが、私はほぼバランス感覚だけで乗り切っていたような気がする。急制動は何故か得意だった。

結局、規定時間を4時間ほどオーバーして卒業検定を迎えた。検定日は11月中旬だったが、真冬並に寒い日だった。緊張と寒さで体が強張った。しかし、急制動がやり直しになったことと踏切の手前でエンストした以外に大きなミスはなく、無事に走り終えた。自信はなかったが、結果は合格。自分でもよく受かったなと思う。

勉強したことを忘れないうちに学科試験を受験し、こちらも合格。やっと念願の普通自動二輪免許を取得できた。30歳の誕生日に間に合った。
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