恋は盲目?ならこの愛は失明だろう

藍都相楽

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京、選択権

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例の夜会から三日ほど経てば、いよいよと婚姻の話が近づきました。流石に、厳粛な分厚い門も、お見合いの写真と手紙は防げなかったのか、自分の所に、嫌でも舞い込んで来たのでした。

しかし、そんな事つゆ知らず、箱入り育ちであり、ましてや箱庭育ちの自分としては、幼き頃から恋愛など、かけらもわからなかったのです。

父からは愛情を注がれ、今こそ狂った母からも、厳しくも優しい愛情を注がれた自信がありましたが、婚姻というのは、はて、ただの世継ぎを繋ぐだけだと、今でも疑いませんでした。

梅は、熱心に色恋を教えてくれましたし、竹虎は興味も無さそうでして、これがまた、同じ男ですから、自分も女にでも産まれれば、何か通じるものがあったかもしれないなど、本気で考えました。

すると竹虎は、

「若様、自分は恋などした事がありませんから、梅が何にそんな思入れがあるのか、ちっとも分かりません。若様は、なんかこう、少しでも良いなと思った方を選べば宜しいのですよ」

なんて、掃除をしながら呑気に答えました。
ですが、梅の耳はそれを確実に拾えば、

「竹虎、それはあまりにも楽観的すぎよ。若様っ、ほら、好きな髪型とかありませんの!?短い女性は揺れる髪が素敵ですのよ~!長い髪は、耳にかける所作がなんとも胸を掴んで!」

「二人共、つまり、そんな話をして来るという事は、遂に分家達は目の色変えて、写真でも送ってきているのであろう?」

ギクリとした梅に、頷く竹虎。
急にぎこちなくなった所作をしつつ、梅は奥へ行き、それは大量の手紙と写真を持って参りました。

想像以上の数、どう見ても、家ごとの息が満遍なくかかっている娘達は、心の内側が透けるように見えてしまう程、ニコリと笑っているのに、目がおかしい者、明らかにゴテゴテの着物を着させられた、自分より年下の娘。

しかし自分は、本当に誰でも良かったのです。
誰と結ばれようが、自分はどこかの別荘にでも移り、子が産まれたら、たまに見に来る程度でいいのです。

「梅、良いものを五つ見繕ってください。竹虎、それを混ぜて畳に半円に並べて、私は目をつぶって選びますから、その人にしましょう」

「待ってください若様!いくらなんでも適当過ぎやしませんか!?それでは、選ばれた令嬢が可哀想です、!せめて、せめて気になる方はいないのですか!??」

「梅、私はいいのですよ。令嬢の大半は家柄目当てです。どうせ、世継ぎが出来れば、その令嬢は準本家扱い、それで家柄も上がるというもの。息がかかっていない者は、そもそも常識や所作が気になるところですから」

これ程言っていて無感情になる言葉も珍しい。
またやはり、色恋に疎いどころではないらしい自分は、令嬢のなど全く目につきやしませんでした。

黒髪だろうと茶髪だろうと、小柄だろうと豊満だろうと、全く、気色が悪くなってくる程であり、梅のような、落ち着きがありつつ、話し上手な女性が一番無難なのでしょうが、基準に達して入る者はせいぜい三人が良いところ。ですが、どうしても拒否反応が頭から出ていて、

もう女性とはそういうもので、自分の感覚がおかしいのだと結論付ければ、案外楽にを受け入れられるものだと思いました。女性は美しいなど、誰が言い始めたのか、そんなもの、感じる側の美的価値観であろうと考えた時、一人おりました。

直近で、美しいと思えた人が。
ですがその人は、先程の自分論を決定的なモノにするのです。

「......居ました、まあ、美しいと思った方が」

「どの令嬢でしょうかっ!!若様もついに春が!さあさあ、今すぐ打診致します!送ってきてる側は、断るはずがありませんっ!さあ、どなたですか!!?」

「式典の......」

「式典の!!!?」

梅はこれでもかと前のめりに、目を輝かせている。だが、先に謝罪しておこう、梅の思い通りには確実にならなければ、選択肢のどれにも当てはまらない事を。


「シャンパンを運んできた、
        確かマフィアの幹部の......」


今日、自分は反省する事項が一つ増えました。
それは、意外な一言は、女性の前では気軽に話しては行けないと言う事であります。

自分は、痛くなった鼓膜に、そう思ったのです。
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