恋は盲目?ならこの愛は失明だろう

藍都相楽

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竹虎、挨拶

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俺の家は、昔からどこか変だった。
幼稚園から、似たような苗字が沢山いて、小学校に上がっても同じだった。

俺には二個上の兄と、一個下の妹がいて、何故だか俺は可愛がられなかった。家を継ぐつ 後継者の兄は、勉強に忙しそうだったけど、持ち前の適応力と思考力でテストは毎回満点だった。

婿を貰う妹は、作法習得を頑張っていた。着物やらかんざしやらの見分け、ピアノにお化粧、俺には全て同じに見えるが、少しずつ大人になっていく妹は、習い事の先生から毎回及第点を貰っていた。

そして、家を継ぐわけでも嫁をもらうわけでもない俺は、対して期待されなかった。中学に入る頃にはすっかりグレて、いつか家を出ようと思っていた。

俺が13になると、本家の坊ちゃんが6つになったとかで、守護仕え選定式を行うと通達があった。女子仕えの選定式基準は、二歳差までというだけの条件だったのに対して、守護仕えは身長、運動能力、反射神経、武器をどれだけ使えるかなど厳しかった。

家は、ちょうど余っていた俺を、選定式に出そうとした。運悪く、身長は余裕でクリア、検査結果で身体能力もクリア、勝手に連れて行かれた病院で、資料を揃えたんだと。

当日の武器試しで、俺は手を抜こうと思った。本家のボンボンに興味なんてなかったし、俺が居なくなれば、周りも倍率が1人分でも、下がってWin-Winと思ったから。


「え~、次。山樂サンラク家より竹虎。鏡樂キョウラク家より羽場戸はばと。位置につけ」

「はい」

 「へーい」

手に持つのは警棒型の空洞パイプ。
寸止めした方の勝ちであり、一本勝負だ。
よし、すぐ降参をと思った時に、相手から聞こえたのは俺を心から怒らせる一言だ。


「お前があの竹虎かよ」

「あ?あのって、どのよ」

「この場で唯一、自分の意思で来なかった腰抜けだって、有名人だからなぁ」

「あっそ。言っとくけど、俺は戦わねェよ」

「いいさ。お前も、本家の京様とやらにも期待してない。俺は、京様を裏で操り、我が鏡樂がトップをもらうんだからな」

「一本!勝者、武虎!」

気がつけば、相手を攻撃していた。なんだよ、それ。期待してないって言葉の重みを、理解してない奴に勝手に、言われる京様が可哀想だろうが!

勝ち上がり、気がつけば自分は守護仕えになった。
礼儀作法も知らない、ただのグレた中坊の俺は、京様とやらに会ったら、すぐに辞退しようと思った。

「山樂家が次男、竹虎」

「はっ」

「紹介しよう。息子の、京だ」

顔を上げれば、目に入るのは真っ直ぐにこちらを見つめる目。自身より、7つも年下のはずの少年は、黒髪を肩にかかるか程で切り揃えられ、白と緑が混ざった着物を着こなし、貫禄と後光を光らせていた。

「京っ......様......」

動けなくなった。見惚れた。この方こそ、自分が心から守り通したいと思った。

「竹虎、はじめまして。守護仕え選抜、ご苦労様でした。自分よりも7つ上だそうですね。頼れる懐刀、というところでしょうか。改めて、京と申します。よろしくお願いしますね」

あの微笑みは片時も忘れはしない。
数日後に梅と挨拶をすれば、正式に守護仕えを承った。

自身の主人は、なんとも堂々とした方だった。
俺よりも言葉使いが圧倒的に丁寧で、所作は隙など無くて、完璧という2文字が、これ程似合う人と初めて会った。

俺の家は、俺が守護仕えになったと聞いて、綺麗に手のひら返しをしてきたが、京様が全て見透かして追い払ってくれた。

若様となられた今でも、俺は若様の自由を尊重してきた。婚姻だって、俺は口を出さずに応援し、男児がお生まれになったら武術の指南を、女児がお生まれになれば遊び相手に。

そう思っていた。まあ、その、なんだ。
だから若様、流石にマフィアの幹部は反対させてもらいたいのだが。
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