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反旗 弐
しおりを挟む「アクウェルはとても賢かった、いや、賢いもそうだが頭がずば抜けて良かった。直ぐにユーゲントの長にもなり、軍の選抜で僅か18歳で中佐という地位に上ったんだ」
「これは彼の自身の復讐だったのかもしれない。彼は日系人という扱いをされていたからね。恐らくいじめなど嫌がらせをされてきたのだろう。しかし、彼は必死に勉学に励み、ここまで来たんだ」
そう、彼は日系人という立場にいた。
周りはいじめや嫌がらせをする者もいた。
だが、全員が全員悪いという訳では無い。
彼に優しく接してくれた人もいた。
その人たちのおかげもあって、彼は強くなれた。
「高官になればその家族の待遇も良くなる。
もちろん、給料もいい。18だぞ?君たちのすぐ下だ。高校生ぐらいだろう」
「もうその頃はヒトラーが政権にぎり、世界はあやふやな状態だ。世界の均衡は乱れ始めるのだ」
一般的に、ヒトラーが第二次世界大戦の引き金になっていると人々は知られている。その頃から、日本も中国大陸に手を出し、世界の均衡は揺れ始めていた。
「だが、アクウェルは疑問に思い始めた。
力、つまり軍力で世界に示して良いのだろうかと。確かに人々はヒトラーに賛同し、ヒトラーを敬愛している。しかし、何か嫌な予感がした」
「その後、君たちが知ってるように、ヒトラーはユダヤ人を大量虐殺した。
弱き者を、弱い立場の人たちを標的として殺したんだ!」
山島教授の話し方に力がこもった様子に見えた。
そして、熱くなりすぎたねと、言い額に滲んだ汗をポケットから取り出したハンカチで拭った。
「彼はその後、ナチス・ドイツのやり方は間違っていると考え、同じ思いや考えている者を集め、反乱軍としてナチスと対立する事を考えた。」
「一般的にはレジスタンスとも言われたがね、
彼らの事の多くは 『 欅部隊』と呼んだらしい」
「反乱軍を結成した時、彼の家近くで結成したんだが移住してきた際に持ってきた欅の木の下で結成したから周りからは 欅部隊と言われていたんだ」
これはインターネットで調べても出てこない、裏の歴史の戦いなのだ。
「正式名称は『対ナチス自由解放戦線』というだ。ナチスを敵とし、民衆を武力や恐怖で服従させるのではなく、自由を与える為に、とね」
すると、ある生徒がいきなり手を挙げた。
他の生徒達も手を挙げた生徒を見た。
「教授!少し聞いてもよろしいでしょうか?」
「なんだ?」
「教授のお話を聞いていてとても歴史とは非道だと痛感しました。」
「そう、
歴史とは戦争の歴史だ。そして、
戦争とは世界の歴史だ」
「しかし、教授は何故そこまで裏という名の歴史に詳しいのですか」
講堂は静まり返った。
教授は一度目を瞑り、また目を開け、その生徒にゆっくりと話した。
「実はね、私の父も日系人なんだ。
私の父はアクウェルに助けられた。父はアクウェルの事をよく語ってくれたんだ。」
講堂は一気にざわめいた。
誰も思ってはいなかっただろう、教授とアクウェルにそのような繋がりがあったとは。
手を挙げた生徒はゆっくりと腰を下ろした。
そして教授はニヤッとし
「今日の講義はここまでだ!
また明後日、今日ことは胸の片隅でもいい、残しておいてくれ。
解散っ!」
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