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第2章 ケース1:何度も刺し殺す女
第11話 飛び降り自殺
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「草部君ってビルの屋上から飛び降りたことある?」
「え、ないですよ。あるわけないじゃないですか」
「だよね。あったら死んでるもん」
患者のアパートから出た凛太と桜田は入り口で話していた。
「じゃあこれから一緒に飛び降りてみない?私は今から高いところに上ってジャンプするつもりなんだけど」
「は?何言ってるんですか」
「どうやってこの夢の中から現実に帰るか気になってるでしょ。一番手っ取り早いのはこの世界で気を失うか……死ぬかなんだ」
「マジで言ってるんですか。そんなことしないといけないんですか」
「いや、待ってても院長が患者の睡眠状態が良くなったのを確認すると起こしてくれるよ。だいたい20分か30分くらいかかっちゃうけど」
「じゃあ待ちましょうよ」
「待つのも退屈じゃん。だから現実世界では絶対味わえない死の体験をしてみるの。増川さんと一緒の時はいつもやってるよ」
ここまでの交流で十分感づいているが、桜田はどうやらあたまのネジがぶっ飛んでいるらしい。整った顔に反してホラーやグロテスクが好みなんだろう。
けれど、こういうかわいい子に限って変な趣味があったりするものだと凛太は思った。
「あ、増川さん遅いですよ。今日も飛び降りることにしたんですから急ぎましょう。ダラダラしてたら目が覚めちゃう」
「そうなの?じゃあ行こうか」
少し遅れてアパートから出てきた増川も飛び降りるという行為に疑問を持たずに、乗り気だった。
凛太はもうどうにでもしてくれという気持ちで2人に付いて行った。上ったのは一宮大学の屋上。いつも通っている学校なので入ることには特に恐れはなかった。夢の中なのにしっかりと屋内まで再現されていることには感心する。
「桜田さんと草部君はこんなとこに通ってるのか」
「増川さんは一宮大学に入るの初めてですっけ?」
「うん。5階建ての屋上まで上るのってけっこう大変だね」
「エレベーターが無いので、講義でも4階とか5階だと行くのがしんどいんですよね」
凛太は2人の背中を見ながら、早く帰って今日のことを忘れたいと思っていた。すごい仕事だったが、とりあえず乗り切ることはできたっぽい。
また悪夢の中に入りたいとは思わないし、言いづらいが初日でやめさせてもらうことも決めていた。
「じゃあ草部君から行ってみる?」
「いやいや先に行ってくださいよ。こんなん夢とはいえ無理っすよ」
「大丈夫大丈夫。高いところから飛び降りると地面に付く前に失神するって聞いたことない?これは死ぬってよりも気絶して起きる感じだから。痛い思いはしないよ」
「って言われても……」
屋上の手すりから除いた地面はかなり遠くて、飛び降りることを想像すると寒気がする。
「じゃあ私が手本見せますよ」
「そうだね。やっぱ先に行こうか」
増川と桜田は臆せず手すりによじ登り、その上に立った。さらにノータイムでそこから落下を始める。
桜田は軽くジャンプしてから楽しげな声をあげながら、増川なんて背面から落下して凛太に手を振っていた。
そして驚いたのは2人の体が地面に着いたかその手前くらいで煙のように世界から消えてしまった。
「マジかよ……」
凛太はその場で腰を下ろして、雲行きの怪しい空を見上げる。誰が屋上から飛び降りなんてするものか。このまま待って目が覚めるのを待とう。
そう決めたのだけれど……
凛太だけになったはずの世界で、何故か閉まっていた屋上の扉が金属が擦れる音ともに開いた。
ゆっくり開いていくその扉を何事かと見ていると……出てきたのは血だらけの女だった。
先ほど患者の男の家にいた刃物の女だ。増川に首を折られているので首が直角に傾いている。
さらにその女は凛太のことを見つけると、明らかに目標を定めて近づいてきた。
凛太は立ち上がり、急いで屋上の手すりを上り空中へ身を乗り出した。先に行った先輩たちのように飛び降りる。それしか選択肢が浮かばなかった……。
「え、ないですよ。あるわけないじゃないですか」
「だよね。あったら死んでるもん」
患者のアパートから出た凛太と桜田は入り口で話していた。
「じゃあこれから一緒に飛び降りてみない?私は今から高いところに上ってジャンプするつもりなんだけど」
「は?何言ってるんですか」
「どうやってこの夢の中から現実に帰るか気になってるでしょ。一番手っ取り早いのはこの世界で気を失うか……死ぬかなんだ」
「マジで言ってるんですか。そんなことしないといけないんですか」
「いや、待ってても院長が患者の睡眠状態が良くなったのを確認すると起こしてくれるよ。だいたい20分か30分くらいかかっちゃうけど」
「じゃあ待ちましょうよ」
「待つのも退屈じゃん。だから現実世界では絶対味わえない死の体験をしてみるの。増川さんと一緒の時はいつもやってるよ」
ここまでの交流で十分感づいているが、桜田はどうやらあたまのネジがぶっ飛んでいるらしい。整った顔に反してホラーやグロテスクが好みなんだろう。
けれど、こういうかわいい子に限って変な趣味があったりするものだと凛太は思った。
「あ、増川さん遅いですよ。今日も飛び降りることにしたんですから急ぎましょう。ダラダラしてたら目が覚めちゃう」
「そうなの?じゃあ行こうか」
少し遅れてアパートから出てきた増川も飛び降りるという行為に疑問を持たずに、乗り気だった。
凛太はもうどうにでもしてくれという気持ちで2人に付いて行った。上ったのは一宮大学の屋上。いつも通っている学校なので入ることには特に恐れはなかった。夢の中なのにしっかりと屋内まで再現されていることには感心する。
「桜田さんと草部君はこんなとこに通ってるのか」
「増川さんは一宮大学に入るの初めてですっけ?」
「うん。5階建ての屋上まで上るのってけっこう大変だね」
「エレベーターが無いので、講義でも4階とか5階だと行くのがしんどいんですよね」
凛太は2人の背中を見ながら、早く帰って今日のことを忘れたいと思っていた。すごい仕事だったが、とりあえず乗り切ることはできたっぽい。
また悪夢の中に入りたいとは思わないし、言いづらいが初日でやめさせてもらうことも決めていた。
「じゃあ草部君から行ってみる?」
「いやいや先に行ってくださいよ。こんなん夢とはいえ無理っすよ」
「大丈夫大丈夫。高いところから飛び降りると地面に付く前に失神するって聞いたことない?これは死ぬってよりも気絶して起きる感じだから。痛い思いはしないよ」
「って言われても……」
屋上の手すりから除いた地面はかなり遠くて、飛び降りることを想像すると寒気がする。
「じゃあ私が手本見せますよ」
「そうだね。やっぱ先に行こうか」
増川と桜田は臆せず手すりによじ登り、その上に立った。さらにノータイムでそこから落下を始める。
桜田は軽くジャンプしてから楽しげな声をあげながら、増川なんて背面から落下して凛太に手を振っていた。
そして驚いたのは2人の体が地面に着いたかその手前くらいで煙のように世界から消えてしまった。
「マジかよ……」
凛太はその場で腰を下ろして、雲行きの怪しい空を見上げる。誰が屋上から飛び降りなんてするものか。このまま待って目が覚めるのを待とう。
そう決めたのだけれど……
凛太だけになったはずの世界で、何故か閉まっていた屋上の扉が金属が擦れる音ともに開いた。
ゆっくり開いていくその扉を何事かと見ていると……出てきたのは血だらけの女だった。
先ほど患者の男の家にいた刃物の女だ。増川に首を折られているので首が直角に傾いている。
さらにその女は凛太のことを見つけると、明らかに目標を定めて近づいてきた。
凛太は立ち上がり、急いで屋上の手すりを上り空中へ身を乗り出した。先に行った先輩たちのように飛び降りる。それしか選択肢が浮かばなかった……。
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