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第4章 ケース3:みなみな私のもの
第35話 気持ち悪い生物
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これまた、いかにもな一室。おそらくはあの部屋の中に何かがいる。
「あ、なんか怪しい部屋がある……」
「どこ?」
「不気味だから春山さんは見ないほうがいいかも」
凛太は咄嗟にそう言ったが一つ下の段まで上ってきた春山も2階を見上げた。階段を上がってすぐ隣にある木製のドア。それは明らかに他と違った。
ドアの縁から赤い光が廊下に漏れている。一般的な白い蛍光灯の光でも常夜灯のオレンジっぽい色の光でもない。真っ赤な光だった。
ぐいぐい進んでいた凛太もさすがにそこで足を止めた。これ以上一歩もあそこへ近づきたくない。
シンプルに怖かった。暗がりで一つだけ赤く光るドア。すごくシンプルに怖かった。
「春山さんはここで待ってて。俺だけであそこに行ってみるよ」
「いや……でも……」
「大丈夫。1人で行ってこの棒を振ればそれで終わり。2人も嫌なもん見る必要ないよ」
凛太は良い恰好をしようと思った。言いながら春山の返事をちゃんと聞かずに階段を上った。怖がっているよりもさっさと終わらせたほうがいい。
所詮これは夢で、内容も気持ちの悪い生物がいるだけと知っている。
階段を登り切った凛太は一応左右を確認する。やはりと言えばやはり、廊下は暗く、光が漏れるドアは一つだけだった。
そのドアのほうへ一歩踏み出すと、突然階段のほうから物音がした。凛太は素早く首を動かして振り返る――。
何のことは無く、そこには春山がいた。うっすらと綺麗な目が少し見下ろした位置に見える。
「やっぱり私も行かなきゃと思って」
「ほんと?大丈夫?」
「うん。……今日は私が先輩だから」
緊張していたのでささいな物音でびっくりしてしまった。
もしも……この家の住民が人と違って悪趣味ではないのなら、このドアの先には何かがいる。どんな風になっているかは全く想像がつかないけれど、この夢の中で特別な空間であるはずだ。
「じゃあ……開けるよ」
凛太はドアをゆっくり開けた……。
中には案の定なにかがいた。部屋の中央の床の上、すぐに気づく場所にいた。大きな芋虫のような生物が。
一見したところではそいつがいる以外にはおかしなものがない一室。廊下に漏れていた赤い光は蛍光灯の色が赤いという理由だった。
女の子が使う子供部屋という感じだろうか……あの患者の女子中高生の部屋か。
凛太は恐る恐る、氷の上を歩くかのように慎重に部屋の中へ入る。部屋の真ん中にいる芋虫に向かって。
自分の手の平よりも少し大きなサイズ。近づいてよく見ると体に小さな突起がいくつかあってちょうどナマコみたいな見た目をしていた。
想像していたものよりは気持ち悪くはない。これを潰せばそれで終わりか……?
近づいても逃げようとはしない大きな芋虫。小さくうねうねとはしていてやはり生きてはいる。凛太はそれに向かって木の棒を構えた。
しかし次の瞬間「うわ」と声を漏らす。
芋虫の体に人間の目が出てきた。
「あ、なんか怪しい部屋がある……」
「どこ?」
「不気味だから春山さんは見ないほうがいいかも」
凛太は咄嗟にそう言ったが一つ下の段まで上ってきた春山も2階を見上げた。階段を上がってすぐ隣にある木製のドア。それは明らかに他と違った。
ドアの縁から赤い光が廊下に漏れている。一般的な白い蛍光灯の光でも常夜灯のオレンジっぽい色の光でもない。真っ赤な光だった。
ぐいぐい進んでいた凛太もさすがにそこで足を止めた。これ以上一歩もあそこへ近づきたくない。
シンプルに怖かった。暗がりで一つだけ赤く光るドア。すごくシンプルに怖かった。
「春山さんはここで待ってて。俺だけであそこに行ってみるよ」
「いや……でも……」
「大丈夫。1人で行ってこの棒を振ればそれで終わり。2人も嫌なもん見る必要ないよ」
凛太は良い恰好をしようと思った。言いながら春山の返事をちゃんと聞かずに階段を上った。怖がっているよりもさっさと終わらせたほうがいい。
所詮これは夢で、内容も気持ちの悪い生物がいるだけと知っている。
階段を登り切った凛太は一応左右を確認する。やはりと言えばやはり、廊下は暗く、光が漏れるドアは一つだけだった。
そのドアのほうへ一歩踏み出すと、突然階段のほうから物音がした。凛太は素早く首を動かして振り返る――。
何のことは無く、そこには春山がいた。うっすらと綺麗な目が少し見下ろした位置に見える。
「やっぱり私も行かなきゃと思って」
「ほんと?大丈夫?」
「うん。……今日は私が先輩だから」
緊張していたのでささいな物音でびっくりしてしまった。
もしも……この家の住民が人と違って悪趣味ではないのなら、このドアの先には何かがいる。どんな風になっているかは全く想像がつかないけれど、この夢の中で特別な空間であるはずだ。
「じゃあ……開けるよ」
凛太はドアをゆっくり開けた……。
中には案の定なにかがいた。部屋の中央の床の上、すぐに気づく場所にいた。大きな芋虫のような生物が。
一見したところではそいつがいる以外にはおかしなものがない一室。廊下に漏れていた赤い光は蛍光灯の色が赤いという理由だった。
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想像していたものよりは気持ち悪くはない。これを潰せばそれで終わりか……?
近づいても逃げようとはしない大きな芋虫。小さくうねうねとはしていてやはり生きてはいる。凛太はそれに向かって木の棒を構えた。
しかし次の瞬間「うわ」と声を漏らす。
芋虫の体に人間の目が出てきた。
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