1 / 10
プロローグ
しおりを挟む
あの日見上げた空は信じられないくらい真っ赤で、誰が見ても異常で異様な景色。全人類が空を見て怯えて……何も起きない明日を祈った……。
しかし、その次の日には青く戻った空のもとで死が始まった。
原因不明……凶悪な感染症であることは間違いないと思われるが、来る日も来る日も――次々と為す術なく人間が死んでいく。その勢いは誰にも止められず、積み上げられた死体の山の前に日本の国立感染研究所も世界中の専門家たちも生あるうちに答えを見つけられず敗れ去った。
そして、この病にはある特異な性質があった。年齢が高い者ほど病に侵されやすかったのだ。
最初の人間が死んでから、ものの一週間でお年寄りと呼べるような60歳以上の人間は全ていなくなった。それを悲しむ時間もなく、次の週には50歳以上が全て死んでしまい、また次の週には40歳以上が全て死んだ。
そんな具合で広がっていった病が大人を全て殺してしまったという事実を確認して見届ける者もいなかったので、実際に全滅したかどうかは分からないが――少なくとも見ることは無くなった。
20歳以上の人間はこの世からいなくなってしまった。
言うまでもなく、人類の歴史上最大の感染病――尋常ではない猛威を振るった謎の病は時が経つと自然と姿を消した。まるで、神が栄えすぎた人類を間引いたように……暴れるだけ暴れた後は糸が切られたように死は止まった。
親も先生も近所の大学生もいなくなり、そのあとは同じ中学校に通う友達も半数以上がいなくなってしまったが僕はまだ生きていた。不幸中の幸いと言うにはあまりにも不幸が大きいが、小さな時からの親友も病に侵されることはなく生きていた。
幼い僕たちは死という選択をすることもできず、とりあえず生きることに決めた。大人が大量に残した食べ物をお金を払わずに持ち帰り、食欲が無くて喉を通らなくても無理して飲み込む。家族の死体を埋める気力も無くて、行く当てもなく街を歩いて、毎日違う場所で体を休めた。ホテルだったり、デパートだったり。
「――私たちと一緒に暮らさない?」
そんな毎日の中である日出会った女の子が僕たちにそう言った。
言葉に従った僕たちを女の子は大型の公民館へ案内した。そして、数少ない生き残りの子供達との共同生活が始まった……。
しかし、その次の日には青く戻った空のもとで死が始まった。
原因不明……凶悪な感染症であることは間違いないと思われるが、来る日も来る日も――次々と為す術なく人間が死んでいく。その勢いは誰にも止められず、積み上げられた死体の山の前に日本の国立感染研究所も世界中の専門家たちも生あるうちに答えを見つけられず敗れ去った。
そして、この病にはある特異な性質があった。年齢が高い者ほど病に侵されやすかったのだ。
最初の人間が死んでから、ものの一週間でお年寄りと呼べるような60歳以上の人間は全ていなくなった。それを悲しむ時間もなく、次の週には50歳以上が全て死んでしまい、また次の週には40歳以上が全て死んだ。
そんな具合で広がっていった病が大人を全て殺してしまったという事実を確認して見届ける者もいなかったので、実際に全滅したかどうかは分からないが――少なくとも見ることは無くなった。
20歳以上の人間はこの世からいなくなってしまった。
言うまでもなく、人類の歴史上最大の感染病――尋常ではない猛威を振るった謎の病は時が経つと自然と姿を消した。まるで、神が栄えすぎた人類を間引いたように……暴れるだけ暴れた後は糸が切られたように死は止まった。
親も先生も近所の大学生もいなくなり、そのあとは同じ中学校に通う友達も半数以上がいなくなってしまったが僕はまだ生きていた。不幸中の幸いと言うにはあまりにも不幸が大きいが、小さな時からの親友も病に侵されることはなく生きていた。
幼い僕たちは死という選択をすることもできず、とりあえず生きることに決めた。大人が大量に残した食べ物をお金を払わずに持ち帰り、食欲が無くて喉を通らなくても無理して飲み込む。家族の死体を埋める気力も無くて、行く当てもなく街を歩いて、毎日違う場所で体を休めた。ホテルだったり、デパートだったり。
「――私たちと一緒に暮らさない?」
そんな毎日の中である日出会った女の子が僕たちにそう言った。
言葉に従った僕たちを女の子は大型の公民館へ案内した。そして、数少ない生き残りの子供達との共同生活が始まった……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる