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第4話 虚弱聖女と招待
「国王……様? レイさん、が?」
まさか、という気持ちで彼を見る。
確かに、容姿や着ている服装など、ただ者ではない雰囲気はあった。
だけどまさか、この国を統べる超重要人物だとは思わない。だってオズベルト殿下は、常にたくさんの護衛騎士たちに囲まれていたのだから。
でもレイさんはどうだ。
周囲に視線を向けるが、ラメンテ以外は誰もいない。国王様なのに、お付きの人一人つけず、うろうろする王様なんている?
いや、目の前にいるはいるけれど!
そのとき、
「あははっ! 確かにレイは王様には見えないよね。分かるよ、その気持ち。護衛一人つけない王様なんて、レイぐらいなもんだよ」
「ら、ラメンテっ!?」
心の内を読まれ、私は慌ててラメンテの名を呼んだ。気まずく思いつつ、レイさんを恐る恐る見る。
怒っているかと思ったけれど、レイさんは不思議そうに首をかしげていた。
「護衛? いらんだろ」
「い、いや……レイ様は国王なのですから、一人だと危ないでしょう?」
「剣の腕には自信がある」
「そういうことではなくてですね……」
あれ? 会話がかみ合ってない気がする。
私の言葉を聞いたレイさ――いや、レイ様は小さく笑うと、
「誰も俺の心配などしていないからな。問題ない」
胸を張って仰った。
そんなわけないと、思わず言いそうになったけれど、一瞬見えたレイ様のなんとも言えない寂しそうな表情に、咄嗟に口をつぐんだ。
隣にいるラメンテも、悲しそうに彼を見上げている気がする。
しかし、しんみりとした空気はすぐに消え、レイ様は先ほどと変わらない堂々とした態度へと戻った。
周囲を見回しながら、私に訊ねる。
「それで……セレスティアルの家はどこにある? 送っていこう。君の家族に、とても大切な話があるからな」
家という単語を聞いた瞬間、私の気持ちが下を向いた。国を追い出されたときの光景が頭を過り、悲しみが胸中を渦巻いている。
家族と呼べる人だったネルロ様も捕まって、引き離されてしまった。
ネルロ様の姿が見えなくなるまで、叫び続けたことを思い出し、当時の絶望が蘇る。
返答できずにいる私にラメンテが近づき、顔を寄せた。
「どうしたの、セレスティアル?」
「あ、あの私……家はないの。家族も……」
「えっ、どうして? それにセレスティアルって結界の外にいたよね? あんな危険な場所にどうしていたの?」
屈託のない金色の瞳が、疑問をぶつけてくる。だけど私はうまく答えられなかった。答えが出てくる前に、苦しみで胸がいっぱいになり、うまく言葉に出せない。
私が返答に困っている様子を感じ取ったのか、ラメンテはどう会話を続ければいいのか困っているようだった。
しかし、
「なら、ひとまず俺たちと一緒に城に来れば良い。丁度、ラメンテを救ってくれた礼もしなければならないと思っていたしな」
気まずい雰囲気を吹き飛ばすような、快活な声が私の鼓膜を震わせた。
レイ様だ。
彼の表情には、私に対する気遣いは見られなかった。
それが今は……ありがたかった。
だけど彼の申し出に、首を横に振る。
「わ、私、たいしたことはしていませんから……お礼にとお城に呼んでいただく必要は……」
本当にたいしたことはしていない。
祖国では偽物の力だと言われたものが、運良くラメンテを救っただけで……
そこでふと何か忘れていることに気づく。
何か――
しかしレイ様の発言が、疑問を消してしまった。ふむっと顎に手を当てると、私に真っ直ぐ笑いかける。
真っ赤な髪が太陽の光に当たり、本当に燃えているような輝きに染まった。
「なら、これはセレスティアルへの礼ではなく……ただ単に俺が君と一緒にいたいから城に招く、ということにしよう。それなら一緒に来て貰えるだろうか?」
「えっ?」
い、い、一緒に、いたい!?
まさか、という気持ちで彼を見る。
確かに、容姿や着ている服装など、ただ者ではない雰囲気はあった。
だけどまさか、この国を統べる超重要人物だとは思わない。だってオズベルト殿下は、常にたくさんの護衛騎士たちに囲まれていたのだから。
でもレイさんはどうだ。
周囲に視線を向けるが、ラメンテ以外は誰もいない。国王様なのに、お付きの人一人つけず、うろうろする王様なんている?
いや、目の前にいるはいるけれど!
そのとき、
「あははっ! 確かにレイは王様には見えないよね。分かるよ、その気持ち。護衛一人つけない王様なんて、レイぐらいなもんだよ」
「ら、ラメンテっ!?」
心の内を読まれ、私は慌ててラメンテの名を呼んだ。気まずく思いつつ、レイさんを恐る恐る見る。
怒っているかと思ったけれど、レイさんは不思議そうに首をかしげていた。
「護衛? いらんだろ」
「い、いや……レイ様は国王なのですから、一人だと危ないでしょう?」
「剣の腕には自信がある」
「そういうことではなくてですね……」
あれ? 会話がかみ合ってない気がする。
私の言葉を聞いたレイさ――いや、レイ様は小さく笑うと、
「誰も俺の心配などしていないからな。問題ない」
胸を張って仰った。
そんなわけないと、思わず言いそうになったけれど、一瞬見えたレイ様のなんとも言えない寂しそうな表情に、咄嗟に口をつぐんだ。
隣にいるラメンテも、悲しそうに彼を見上げている気がする。
しかし、しんみりとした空気はすぐに消え、レイ様は先ほどと変わらない堂々とした態度へと戻った。
周囲を見回しながら、私に訊ねる。
「それで……セレスティアルの家はどこにある? 送っていこう。君の家族に、とても大切な話があるからな」
家という単語を聞いた瞬間、私の気持ちが下を向いた。国を追い出されたときの光景が頭を過り、悲しみが胸中を渦巻いている。
家族と呼べる人だったネルロ様も捕まって、引き離されてしまった。
ネルロ様の姿が見えなくなるまで、叫び続けたことを思い出し、当時の絶望が蘇る。
返答できずにいる私にラメンテが近づき、顔を寄せた。
「どうしたの、セレスティアル?」
「あ、あの私……家はないの。家族も……」
「えっ、どうして? それにセレスティアルって結界の外にいたよね? あんな危険な場所にどうしていたの?」
屈託のない金色の瞳が、疑問をぶつけてくる。だけど私はうまく答えられなかった。答えが出てくる前に、苦しみで胸がいっぱいになり、うまく言葉に出せない。
私が返答に困っている様子を感じ取ったのか、ラメンテはどう会話を続ければいいのか困っているようだった。
しかし、
「なら、ひとまず俺たちと一緒に城に来れば良い。丁度、ラメンテを救ってくれた礼もしなければならないと思っていたしな」
気まずい雰囲気を吹き飛ばすような、快活な声が私の鼓膜を震わせた。
レイ様だ。
彼の表情には、私に対する気遣いは見られなかった。
それが今は……ありがたかった。
だけど彼の申し出に、首を横に振る。
「わ、私、たいしたことはしていませんから……お礼にとお城に呼んでいただく必要は……」
本当にたいしたことはしていない。
祖国では偽物の力だと言われたものが、運良くラメンテを救っただけで……
そこでふと何か忘れていることに気づく。
何か――
しかしレイ様の発言が、疑問を消してしまった。ふむっと顎に手を当てると、私に真っ直ぐ笑いかける。
真っ赤な髪が太陽の光に当たり、本当に燃えているような輝きに染まった。
「なら、これはセレスティアルへの礼ではなく……ただ単に俺が君と一緒にいたいから城に招く、ということにしよう。それなら一緒に来て貰えるだろうか?」
「えっ?」
い、い、一緒に、いたい!?
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