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第2話
私たちの出会いは、職場だった。
新入社員として入社してきた私の教育係だったのが、トオル。
仕事を通して私たちの距離は縮まっていき、私が二十四歳時、トオルが転職を機に告白されて付き合い、二十五歳でゴールインした。
結婚後も、私は仕事は続けた。
トオルから、
「これからのことを考えたら、子どもが出来るまでは働いて欲しい」
と言われたからだ。
もちろん、私もそのつもりだったから快諾した。
私の方が収入が少なく、家に入れる生活費が少なかったため、その分家事を多めに負担することでお互い了承。
始めの頃はお互い忙しい中、支え合って生活していた。
休日には一週間溜まった家事を一緒にこなし、余った時間で食事に行ったり映画を見たり、貴重な夫婦の時間をともに過ごした。
しかし、そんな穏やかな新婚生活は長くは続かなかった。
トオルは転職を機にデザイン関係の仕事についたのだが、その能力が認められ、色々と仕事を任されることが増えてきたのだ。
彼の帰りは次第に遅くなり、休日も疲れていると言って家事をしてくれなくなった。
トオルがしていた家事は、自動的に私がすることとなり、結構な負担になっていった。
私だって仕事をしながら生活費を入れている。トオルよりも少し少ないが、その分家事を負担しているので、これ以上負担が増えるのは辛かった。だけど一番辛かったのは、私が彼の負担を背負っている事に対し、トオルが感謝の言葉一つくれなかったことだ。
むしろ、
「いや、俺も忙しいし。お前と違って俺、期待されてるからさ」
と、負担するのが当然と言わんばかりの言動と、私を見下すような態度に腹が立った。
彼の態度はドンドンと悪化していき、今まで彼自身で行っていたことも、私に頼るようになっていった。
私はいつからトオルの母と錯覚していた? と自問してしまうほどだ。
そのせいで、彼と衝突することが増えていった。
「トオル。せめて、自分のことは自分でやってくれない? 前はやってたじゃない。ハンカチや靴下の準備まで私に頼られると、さすがにしんどい……」
「お前の方が早く帰ってきてるし、家のこと分かってるんだから、準備してくれた方が早いだろ? 適材適所だろ。それに、出来る方がやったらいいじゃないか」
「別に暇だから、あなたよりも早く帰ってきてるわけじゃないわ。時間内に終わらせて早く帰れるように、私だって色々と考えてるの!」
「……俺の仕事の要領が悪いって言いたいのか?」
「そ、そういうわけじゃない! 色々とプロジェクトを任されて大変なのは分かってる。でも……」
「なんだかんだ、お前の仕事は、俺よりも早く帰れる程度の量ってことだろ? 現に、俺よりも早く帰ってきてるんだから」
「……ならせめて、貯金をしてくれない? トオル、最近貯蓄用の口座にお金、入れてくれてないよね?」
「俺にだって付き合いがある分、支出が多いの! それに何で俺だけが、貯蓄用口座に多めに金をいれなきゃいけないんだよ。あーしんど。俺、お前と違って仕事で疲れてるから、風呂入ってくる」
こんな感じで最終的にはトオルから話を切り上げられてしまう。話しだってまともに相手に伝わらない。
それに加え、私を見下すような言動が出てきたことも気になっていた。
「なんかおかず、少なくないか?」
「時間があるなら、ちゃんとアイロンかけておけよ」
「なんかお前、最近太った? 結婚したときの面影、なくなってきたな」
笑いながら言われるたびに、心がすり減っていく。始めは笑って受け流していたけれど、私が怒ると、
「冗談だろ? そんなことも分からないのかよ」
とヘラヘラするだけで、私が本当に嫌がっていると理解してくれない。挙げ句の果てには、
「冗談なのに、なんでそこまで俺が怒られないといけないんだよ。お前、ほんっと変わったよな。付き合ってたときは優しかったのに……」
なんて言われる始末だ。
トオルだって変わったよ、とは言い返せなかった。
確かに彼の言うとおり、トオルの仕事は忙しい。そのせいでイライラしているだけ。きっと元の優しい彼に戻ってくれると信じ、トオルが快適に生活出来るように気を遣う日々が続いた。
しかし結婚して二年後、トオルが役職についたことで帰宅時間が遅くなり、休日出勤も増えた。
私への嫌みは変わらず、夜の営みも完全にレスになっていた。
一時期は子どもが出来なくて悩んだけど、やることもやっていないので、出来るわけはない。
そして、結婚四年目のある日。
全てが変わった。
新入社員として入社してきた私の教育係だったのが、トオル。
仕事を通して私たちの距離は縮まっていき、私が二十四歳時、トオルが転職を機に告白されて付き合い、二十五歳でゴールインした。
結婚後も、私は仕事は続けた。
トオルから、
「これからのことを考えたら、子どもが出来るまでは働いて欲しい」
と言われたからだ。
もちろん、私もそのつもりだったから快諾した。
私の方が収入が少なく、家に入れる生活費が少なかったため、その分家事を多めに負担することでお互い了承。
始めの頃はお互い忙しい中、支え合って生活していた。
休日には一週間溜まった家事を一緒にこなし、余った時間で食事に行ったり映画を見たり、貴重な夫婦の時間をともに過ごした。
しかし、そんな穏やかな新婚生活は長くは続かなかった。
トオルは転職を機にデザイン関係の仕事についたのだが、その能力が認められ、色々と仕事を任されることが増えてきたのだ。
彼の帰りは次第に遅くなり、休日も疲れていると言って家事をしてくれなくなった。
トオルがしていた家事は、自動的に私がすることとなり、結構な負担になっていった。
私だって仕事をしながら生活費を入れている。トオルよりも少し少ないが、その分家事を負担しているので、これ以上負担が増えるのは辛かった。だけど一番辛かったのは、私が彼の負担を背負っている事に対し、トオルが感謝の言葉一つくれなかったことだ。
むしろ、
「いや、俺も忙しいし。お前と違って俺、期待されてるからさ」
と、負担するのが当然と言わんばかりの言動と、私を見下すような態度に腹が立った。
彼の態度はドンドンと悪化していき、今まで彼自身で行っていたことも、私に頼るようになっていった。
私はいつからトオルの母と錯覚していた? と自問してしまうほどだ。
そのせいで、彼と衝突することが増えていった。
「トオル。せめて、自分のことは自分でやってくれない? 前はやってたじゃない。ハンカチや靴下の準備まで私に頼られると、さすがにしんどい……」
「お前の方が早く帰ってきてるし、家のこと分かってるんだから、準備してくれた方が早いだろ? 適材適所だろ。それに、出来る方がやったらいいじゃないか」
「別に暇だから、あなたよりも早く帰ってきてるわけじゃないわ。時間内に終わらせて早く帰れるように、私だって色々と考えてるの!」
「……俺の仕事の要領が悪いって言いたいのか?」
「そ、そういうわけじゃない! 色々とプロジェクトを任されて大変なのは分かってる。でも……」
「なんだかんだ、お前の仕事は、俺よりも早く帰れる程度の量ってことだろ? 現に、俺よりも早く帰ってきてるんだから」
「……ならせめて、貯金をしてくれない? トオル、最近貯蓄用の口座にお金、入れてくれてないよね?」
「俺にだって付き合いがある分、支出が多いの! それに何で俺だけが、貯蓄用口座に多めに金をいれなきゃいけないんだよ。あーしんど。俺、お前と違って仕事で疲れてるから、風呂入ってくる」
こんな感じで最終的にはトオルから話を切り上げられてしまう。話しだってまともに相手に伝わらない。
それに加え、私を見下すような言動が出てきたことも気になっていた。
「なんかおかず、少なくないか?」
「時間があるなら、ちゃんとアイロンかけておけよ」
「なんかお前、最近太った? 結婚したときの面影、なくなってきたな」
笑いながら言われるたびに、心がすり減っていく。始めは笑って受け流していたけれど、私が怒ると、
「冗談だろ? そんなことも分からないのかよ」
とヘラヘラするだけで、私が本当に嫌がっていると理解してくれない。挙げ句の果てには、
「冗談なのに、なんでそこまで俺が怒られないといけないんだよ。お前、ほんっと変わったよな。付き合ってたときは優しかったのに……」
なんて言われる始末だ。
トオルだって変わったよ、とは言い返せなかった。
確かに彼の言うとおり、トオルの仕事は忙しい。そのせいでイライラしているだけ。きっと元の優しい彼に戻ってくれると信じ、トオルが快適に生活出来るように気を遣う日々が続いた。
しかし結婚して二年後、トオルが役職についたことで帰宅時間が遅くなり、休日出勤も増えた。
私への嫌みは変わらず、夜の営みも完全にレスになっていた。
一時期は子どもが出来なくて悩んだけど、やることもやっていないので、出来るわけはない。
そして、結婚四年目のある日。
全てが変わった。
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