突然離婚を言い渡された次の日、夫が知らない女にプロポーズしていた

・めぐめぐ・

文字の大きさ
2 / 10

第2話

しおりを挟む
 私たちの出会いは、職場だった。
 新入社員として入社してきた私の教育係だったのが、トオル。

 仕事を通して私たちの距離は縮まっていき、私が二十四歳時、トオルが転職を機に告白されて付き合い、二十五歳でゴールインした。

 結婚後も、私は仕事は続けた。
 トオルから、

「これからのことを考えたら、子どもが出来るまでは働いて欲しい」

と言われたからだ。

 もちろん、私もそのつもりだったから快諾した。

 私の方が収入が少なく、家に入れる生活費が少なかったため、その分家事を多めに負担することでお互い了承。

 始めの頃はお互い忙しい中、支え合って生活していた。
 休日には一週間溜まった家事を一緒にこなし、余った時間で食事に行ったり映画を見たり、貴重な夫婦の時間をともに過ごした。

 しかし、そんな穏やかな新婚生活は長くは続かなかった。

 トオルは転職を機にデザイン関係の仕事についたのだが、その能力が認められ、色々と仕事を任されることが増えてきたのだ。

 彼の帰りは次第に遅くなり、休日も疲れていると言って家事をしてくれなくなった。

 トオルがしていた家事は、自動的に私がすることとなり、結構な負担になっていった。
 私だって仕事をしながら生活費を入れている。トオルよりも少し少ないが、その分家事を負担しているので、これ以上負担が増えるのは辛かった。だけど一番辛かったのは、私が彼の負担を背負っている事に対し、トオルが感謝の言葉一つくれなかったことだ。

 むしろ、

「いや、俺も忙しいし。お前と違って俺、期待されてるからさ」

と、負担するのが当然と言わんばかりの言動と、私を見下すような態度に腹が立った。

 彼の態度はドンドンと悪化していき、今まで彼自身で行っていたことも、私に頼るようになっていった。

 私はいつからトオルの母と錯覚していた? と自問してしまうほどだ。

 そのせいで、彼と衝突することが増えていった。

「トオル。せめて、自分のことは自分でやってくれない? 前はやってたじゃない。ハンカチや靴下の準備まで私に頼られると、さすがにしんどい……」
「お前の方が早く帰ってきてるし、家のこと分かってるんだから、準備してくれた方が早いだろ? 適材適所だろ。それに、出来る方がやったらいいじゃないか」
「別に暇だから、あなたよりも早く帰ってきてるわけじゃないわ。時間内に終わらせて早く帰れるように、私だって色々と考えてるの!」
「……俺の仕事の要領が悪いって言いたいのか?」
「そ、そういうわけじゃない! 色々とプロジェクトを任されて大変なのは分かってる。でも……」
「なんだかんだ、お前の仕事は、俺よりも早く帰れる程度の量ってことだろ? 現に、俺よりも早く帰ってきてるんだから」
「……ならせめて、貯金をしてくれない? トオル、最近貯蓄用の口座にお金、入れてくれてないよね?」
「俺にだって付き合いがある分、支出が多いの! それに何で俺だけが、貯蓄用口座に多めに金をいれなきゃいけないんだよ。あーしんど。俺、お前と違って仕事で疲れてるから、風呂入ってくる」

 こんな感じで最終的にはトオルから話を切り上げられてしまう。話しだってまともに相手に伝わらない。

 それに加え、私を見下すような言動が出てきたことも気になっていた。

「なんかおかず、少なくないか?」
「時間があるなら、ちゃんとアイロンかけておけよ」
「なんかお前、最近太った? 結婚したときの面影、なくなってきたな」

 笑いながら言われるたびに、心がすり減っていく。始めは笑って受け流していたけれど、私が怒ると、

「冗談だろ? そんなことも分からないのかよ」

 とヘラヘラするだけで、私が本当に嫌がっていると理解してくれない。挙げ句の果てには、

「冗談なのに、なんでそこまで俺が怒られないといけないんだよ。お前、ほんっと変わったよな。付き合ってたときは優しかったのに……」

 なんて言われる始末だ。

 トオルだって変わったよ、とは言い返せなかった。

 確かに彼の言うとおり、トオルの仕事は忙しい。そのせいでイライラしているだけ。きっと元の優しい彼に戻ってくれると信じ、トオルが快適に生活出来るように気を遣う日々が続いた。

 しかし結婚して二年後、トオルが役職についたことで帰宅時間が遅くなり、休日出勤も増えた。

 私への嫌みは変わらず、夜の営みも完全にレスになっていた。

 一時期は子どもが出来なくて悩んだけど、やることもやっていないので、出来るわけはない。

 そして、結婚四年目のある日。
 全てが変わった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた

奏千歌
恋愛
 [ディエム家の双子姉妹]  どうして、こんな事になってしまったのか。  妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。

【完結】旦那は堂々と不倫行為をするようになったのですが離婚もさせてくれないので、王子とお父様を味方につけました

よどら文鳥
恋愛
 ルーンブレイス国の国家予算に匹敵するほどの資産を持つハイマーネ家のソフィア令嬢は、サーヴィン=アウトロ男爵と恋愛結婚をした。  ソフィアは幸せな人生を送っていけると思っていたのだが、とある日サーヴィンの不倫行為が発覚した。それも一度や二度ではなかった。  ソフィアの気持ちは既に冷めていたため離婚を切り出すも、サーヴィンは立場を理由に認めようとしない。  更にサーヴィンは第二夫妻候補としてラランカという愛人を連れてくる。  再度離婚を申し立てようとするが、ソフィアの財閥と金だけを理由にして一向に離婚を認めようとしなかった。  ソフィアは家から飛び出しピンチになるが、救世主が現れる。  後に全ての成り行きを話し、ロミオ=ルーンブレイス第一王子を味方につけ、更にソフィアの父をも味方につけた。  ソフィアが想定していなかったほどの制裁が始まる。

【完結】旦那様は、妻の私よりも平民の愛人を大事にしたいようです

よどら文鳥
恋愛
 貴族のことを全く理解していない旦那様は、愛人を紹介してきました。  どうやら愛人を第二夫人に招き入れたいそうです。  ですが、この国では一夫多妻制があるとはいえ、それは十分に養っていける環境下にある上、貴族同士でしか認められません。  旦那様は貴族とはいえ現状無職ですし、愛人は平民のようです。  現状を整理すると、旦那様と愛人は不倫行為をしているというわけです。  貴族の人間が不倫行為などすれば、この国での処罰は極刑の可能性もあります。  それすら理解せずに堂々と……。  仕方がありません。  旦那様の気持ちはすでに愛人の方に夢中ですし、その願い叶えられるように私も協力致しましょう。  ただし、平和的に叶えられるかは別です。  政略結婚なので、周りのことも考えると離婚は簡単にできません。ならばこれくらいの抵抗は……させていただきますよ?  ですが、周囲からの協力がありまして、離婚に持っていくこともできそうですね。  折角ですので離婚する前に、愛人と旦那様が私たちの作戦に追い詰められているところもじっくりとこの目で見ておこうかと思います。

〖完結〗あんなに旦那様に愛されたかったはずなのに…

藍川みいな
恋愛
借金を肩代わりする事を条件に、スチュワート・デブリン侯爵と契約結婚をしたマリアンヌだったが、契約結婚を受け入れた本当の理由はスチュワートを愛していたからだった。 契約結婚の最後の日、スチュワートに「俺には愛する人がいる。」と告げられ、ショックを受ける。 そして契約期間が終わり、離婚するが…数ヶ月後、何故かスチュワートはマリアンヌを愛してるからやり直したいと言ってきた。 設定はゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全9話で完結になります。

君を幸せにする、そんな言葉を信じた私が馬鹿だった

白羽天使
恋愛
学園生活も残りわずかとなったある日、アリスは婚約者のフロイドに中庭へと呼び出される。そこで彼が告げたのは、「君に愛はないんだ」という残酷な一言だった。幼いころから将来を約束されていた二人。家同士の結びつきの中で育まれたその関係は、アリスにとって大切な生きる希望だった。フロイドもまた、「君を幸せにする」と繰り返し口にしてくれていたはずだったのに――。

〖完結〗私はあなたのせいで死ぬのです。

藍川みいな
恋愛
「シュリル嬢、俺と結婚してくれませんか?」 憧れのレナード・ドリスト侯爵からのプロポーズ。 彼は美しいだけでなく、とても紳士的で頼りがいがあって、何より私を愛してくれていました。 すごく幸せでした……あの日までは。 結婚して1年が過ぎた頃、旦那様は愛人を連れて来ました。次々に愛人を連れて来て、愛人に子供まで出来た。 それでも愛しているのは君だけだと、離婚さえしてくれません。 そして、妹のダリアが旦那様の子を授かった…… もう耐える事は出来ません。 旦那様、私はあなたのせいで死にます。 だから、後悔しながら生きてください。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全15話で完結になります。 この物語は、主人公が8話で登場しなくなります。 感想の返信が出来なくて、申し訳ありません。 たくさんの感想ありがとうございます。 次作の『もう二度とあなたの妻にはなりません!』は、このお話の続編になっております。 このお話はバッドエンドでしたが、次作はただただシュリルが幸せになるお話です。 良かったら読んでください。

天然と言えば何でも許されると思っていませんか

今川幸乃
恋愛
ソフィアの婚約者、アルバートはクラスの天然女子セラフィナのことばかり気にしている。 アルバートはいつも転んだセラフィナを助けたり宿題を忘れたら見せてあげたりとセラフィナのために行動していた。 ソフィアがそれとなくやめて欲しいと言っても、「困っているクラスメイトを助けるのは当然だ」と言って聞かず、挙句「そんなことを言うなんてがっかりだ」などと言い出す。 あまり言い過ぎると自分が悪女のようになってしまうと思ったソフィアはずっともやもやを抱えていたが、同じくクラスメイトのマクシミリアンという男子が相談に乗ってくれる。 そんな時、ソフィアはたまたまセラフィナの天然が擬態であることを発見してしまい、マクシミリアンとともにそれを指摘するが……

真実の愛の言い分

豆狸
恋愛
「仕方がないだろう。私とリューゲは真実の愛なのだ。幼いころから想い合って来た。そこに割り込んできたのは君だろう!」 私と殿下の結婚式を半年後に控えた時期におっしゃることではありませんわね。

処理中です...