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第31話 論争
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アクノリッジ・モジュール。
この国、いや世界で強大な財力と影響力を持つと言われるモジュール家の家主ダンプヘッダーの長男で、22歳。
これが、城に入る前に、ミディから与えられた青年のプロフィールであった。
“簡易すぎにも程があるよ…”
名前と素性も大切だが、先ほどの登場の様子を見るとそれ以上に知りたいことが山のようにある。
そんなことを思いながら、青年の姿を思い出していた。
男性の割には細身の体、そして背中に掛かるくらい長い髪。
後ろから見ると女性と間違われてもおかしくない容姿だが、きちんと正面から見れば、男性だと分からせてくれるだろう。
整った顔に少し細めの水色の瞳が、一見鋭い印象を与える。
ジェネラルよりも白い肌を見ると、あまり外に出る事がない人なのかもしれない、と想像できた。
黙っていれば、男の自分からみてもかなりの美形な青年なのに……、ジェネラルはそう思い、残念そうに溜息をついた。
今、ミディはこの場にいない。
城に入った瞬間、大勢の侍女たちによってジェネラルと引き離されてしまったのだ。
何をするのか尋ねる間もなく、湯浴みや香油によるマッサージやら衣装合わせやらが怒涛のごとくジェネラルを襲い、へろへろな状態で豪華な部屋に案内され、今に至るわけである。
多分、ミディもジェネラルと同じく、身支度を調えているのだろう。
現在ジェネラルは、肌触りのよいブラウスと黒いズボンに身を包んでいる。服はモジュール家で借りたものだ。
ジェネラルにこの服を渡した侍女の笑顔の裏に、侍女の間で誰が少年に服を渡しに行くかで揉め、危うく怪我人が出る所だった事実が隠されていたりするが、まあどうでもよい。
“遅いなあ…ミディ……”
あくびをしながら、目の前に置かれた飲み物を口に含んだ時、
「ジェネ? そっちはもう終わったの?」
聞きなれた声がドアを開く音と共に聞こえ、ジェネラルは慌てて飲み物を喉に流し込んだ。
しかし、入ってきた人物の姿を認めた瞬間、驚きのあまり、液体が気管に入り込み、激しく咽た。
「みっ…ごほっ……ごほごほっ!」
「……人の姿を見てせき込むなんて、失礼にも程があるんじゃないかしら?」
呆れた声が、手を口元に当てながら咳き込んでいるジェネラルの上に降ってくる。
だが、咳の衝動が少年の反論を許さず、反論の言葉を口にしようとするたびに喉と肺に痛みが走った。
ジェネラルが驚き咽ることになったのは、別に変な事をしていて焦ったからではない。
ミディの姿に驚いたのだ。
膝上ぐらいから緩やかなカーブを描き広がる、マーメイドライン型の青みがかった白いドレス。
腰からレース地の薄く柔らかい布が重ねており、レース地に縫い付けられた小さな宝石が動くたびに光を放つ。
上半身は、肩を広く出しており、胸元には大きなリボンと、たくさんの宝石をあしらったブローチが留められていた。
いつも兜の中にしまわれている髪は、上手く上の方でまとめられ、髪飾りが留められていた。
顔には、素顔を整える程度の化粧が、彼女本来の美しさを損なわないよう上手く施されていた。
世俗的な雰囲気を逸脱したその姿、その雰囲気。
まさしく一国の王女だ。
“何でだよ……変な人のくせに……めちゃくちゃな人のくせに……。何で……何でこんなに綺麗なんだよー!”
こいつのせいで魔界を追い出された身としては、ミディが非常に美しいからと言って精神的動揺をするのは悔しい。
納得行かないぞー!と心の中で叫んだ瞬間、運悪く咽たのだ。
ミディに見とれる間もなく、次から次へと咳が出てきて非常に苦しい。
呼吸が自由に出来ない状態の中、とある噂が彼の頭の中をよぎる。
“そういえば、咳を100回すると、死んでしまうっていう噂が、魔界にあったっけ。早く止めないと死んじゃうよ!!”
咳が続いた為酸素が足りなくなったのか、冷静な判断が出来なくなって焦り出すジェネラル。
ダメージを受けているのは肺と喉なのに、何故か精神的に重症だ。
だがジェネラルの心配は止まることなく、膨らんでいく一方だ。
“このまま止まらなければ本当に死んじゃうのかなあ…。まだ皆にお礼も言っていないのに…。魔界の皆、今までありがとう…皆の事は、忘れない……よ”
挙句の果てには、今までお世話になった人々を思い出し、半分涙をにじませる魔王。
そんな早まった事を考えつつ、腰を折って、テーブルにへたっているジェネラルを見、ミディは丁寧に梳かれた前髪を、いらいらした様子でかきあげた。
そして、ジェネラルの側に近寄ると、少年の額に人差し指を当て精神を集中させる。
「……ステータスよ。止まぬ衝動に安息を…」
四大精霊-水を司るステータスの力が、ジェネラルの体に降りた。
冷たくさわやかな力が、ジェネラルの肺と喉を癒し、呼吸を整えてくれる。
「はあ~…」
苦しさから解放され、ジェネラルはひとまず必要以上肺に入った空気を吐き出した。
そして、大きく息を吸って再び吐く。喉の異物感はなく、咳が再発する様子もない。それを知り、少年はほっと胸をなでおろした。
死の危険から脱し、自分を救ってくれた王女に礼を言おうと顔を上げた時、今度は額に激痛が走った。
あまりの痛さに、ジェネラルは再びテーブルに突っ伏した。
ミディの人差し指が、思いっきりジェネラルの額を弾いたのだ。
「もう…、情けないわね……。たかが咳に、何をそんなに苦しんでるの!?」
魔王のくせに、と言いたげなミディの表情に、不快感を覚えたのか、ジェネラルの額に縦皺が寄る。
「たかが咳って……。そこ魔王とか関係ないじゃないか! それに咳を馬鹿にしちゃ駄目なんだよ!」
じんじんと痛む額をおさえながら、魔王は叫んだ。
「ミディにとっては、たかが咳かもしれないけど、当本人はとっても苦しいんだよ!呼吸も出来ないし苦しいし、それに…」
「それに…?」
息を吸い、ありったけの思いを込め、ジェネラルは咳の真の恐怖を口にした。
「100回したら、死んじゃうんだから!!」
「……………………馬鹿なの?」
しばし沈黙の後、ミディが吐いた言葉。青い瞳は細められ、非常に冷たい視線を魔王に投げかけている。
冷ややかな一言に、ジェネラルは完全にノックアウトされた。
“ミディに、馬鹿って…馬鹿って…言われた……”
彼の耳の奥で先ほどの一言が、エンドレスで鳴り響く。
この世界で、一番言われたくない女に言われたのだ。ジェネラルがショックを受けるのも無理はない。
背中にショックと書かれた黒い影を背負う少年の手を強引に取ると、ミディは半ば引きずるように、ジェネラルを立たせた。
「くだらない事を言ってないで、さあ行くわよ。下でアクノリッジが待ってるんだから」
「うっ、うん……」
ミディの言葉に、ジェネラルは素直に従った。
確かにくだらない事で時間を費やしてしまったな、と反省する。
しかし、次に発せられるミディの言葉に、再び無駄としか言いようが無い会話に時間を費やす事となる。
「まあ、あれが咳じゃなくてしゃっくりなら、心配したけれど。しゃっくりを100回すると死んでしまうと言うし」
「って、ミディも僕と似たような事、信じてるじゃないか!!」
少年の突っ込みに、ドアを開け外に出ようとしたミディの足が止まる。
何ですって…、という言葉と共に素早く振り返ると、腰に両手をあて、反論の為に口を開いた。
表情は、いつになく厳しい。
「似たような事って、失礼ね! あなたのように、根も葉もない噂とは違うのよ!! 私の従姉妹から聞いた話なんだけど、従姉妹の伯父のその親戚のお婆様が…」
「僕だってあるよ! 知り合いのお父さんの親戚の子供の友達が…」
「まだあるんだから! 侍女の友人の住む家の近くにあるパン屋さんのおじさんのお父さんなんて…!」
「こっちだって! いつも食料を届けてくれるノートさんの妹さんの旦那さんの知り合いだって……!」
第三者が聞けば、自分たちと接点がない人間もしくは魔族に聞いた話という時点で、根も葉もない噂だと思うのだが、本人たちは全く気がついていない。
この言い合いは、部屋から出てこないミディたちを心配した、侍女数人によって止められるまで続いたという……。
この国、いや世界で強大な財力と影響力を持つと言われるモジュール家の家主ダンプヘッダーの長男で、22歳。
これが、城に入る前に、ミディから与えられた青年のプロフィールであった。
“簡易すぎにも程があるよ…”
名前と素性も大切だが、先ほどの登場の様子を見るとそれ以上に知りたいことが山のようにある。
そんなことを思いながら、青年の姿を思い出していた。
男性の割には細身の体、そして背中に掛かるくらい長い髪。
後ろから見ると女性と間違われてもおかしくない容姿だが、きちんと正面から見れば、男性だと分からせてくれるだろう。
整った顔に少し細めの水色の瞳が、一見鋭い印象を与える。
ジェネラルよりも白い肌を見ると、あまり外に出る事がない人なのかもしれない、と想像できた。
黙っていれば、男の自分からみてもかなりの美形な青年なのに……、ジェネラルはそう思い、残念そうに溜息をついた。
今、ミディはこの場にいない。
城に入った瞬間、大勢の侍女たちによってジェネラルと引き離されてしまったのだ。
何をするのか尋ねる間もなく、湯浴みや香油によるマッサージやら衣装合わせやらが怒涛のごとくジェネラルを襲い、へろへろな状態で豪華な部屋に案内され、今に至るわけである。
多分、ミディもジェネラルと同じく、身支度を調えているのだろう。
現在ジェネラルは、肌触りのよいブラウスと黒いズボンに身を包んでいる。服はモジュール家で借りたものだ。
ジェネラルにこの服を渡した侍女の笑顔の裏に、侍女の間で誰が少年に服を渡しに行くかで揉め、危うく怪我人が出る所だった事実が隠されていたりするが、まあどうでもよい。
“遅いなあ…ミディ……”
あくびをしながら、目の前に置かれた飲み物を口に含んだ時、
「ジェネ? そっちはもう終わったの?」
聞きなれた声がドアを開く音と共に聞こえ、ジェネラルは慌てて飲み物を喉に流し込んだ。
しかし、入ってきた人物の姿を認めた瞬間、驚きのあまり、液体が気管に入り込み、激しく咽た。
「みっ…ごほっ……ごほごほっ!」
「……人の姿を見てせき込むなんて、失礼にも程があるんじゃないかしら?」
呆れた声が、手を口元に当てながら咳き込んでいるジェネラルの上に降ってくる。
だが、咳の衝動が少年の反論を許さず、反論の言葉を口にしようとするたびに喉と肺に痛みが走った。
ジェネラルが驚き咽ることになったのは、別に変な事をしていて焦ったからではない。
ミディの姿に驚いたのだ。
膝上ぐらいから緩やかなカーブを描き広がる、マーメイドライン型の青みがかった白いドレス。
腰からレース地の薄く柔らかい布が重ねており、レース地に縫い付けられた小さな宝石が動くたびに光を放つ。
上半身は、肩を広く出しており、胸元には大きなリボンと、たくさんの宝石をあしらったブローチが留められていた。
いつも兜の中にしまわれている髪は、上手く上の方でまとめられ、髪飾りが留められていた。
顔には、素顔を整える程度の化粧が、彼女本来の美しさを損なわないよう上手く施されていた。
世俗的な雰囲気を逸脱したその姿、その雰囲気。
まさしく一国の王女だ。
“何でだよ……変な人のくせに……めちゃくちゃな人のくせに……。何で……何でこんなに綺麗なんだよー!”
こいつのせいで魔界を追い出された身としては、ミディが非常に美しいからと言って精神的動揺をするのは悔しい。
納得行かないぞー!と心の中で叫んだ瞬間、運悪く咽たのだ。
ミディに見とれる間もなく、次から次へと咳が出てきて非常に苦しい。
呼吸が自由に出来ない状態の中、とある噂が彼の頭の中をよぎる。
“そういえば、咳を100回すると、死んでしまうっていう噂が、魔界にあったっけ。早く止めないと死んじゃうよ!!”
咳が続いた為酸素が足りなくなったのか、冷静な判断が出来なくなって焦り出すジェネラル。
ダメージを受けているのは肺と喉なのに、何故か精神的に重症だ。
だがジェネラルの心配は止まることなく、膨らんでいく一方だ。
“このまま止まらなければ本当に死んじゃうのかなあ…。まだ皆にお礼も言っていないのに…。魔界の皆、今までありがとう…皆の事は、忘れない……よ”
挙句の果てには、今までお世話になった人々を思い出し、半分涙をにじませる魔王。
そんな早まった事を考えつつ、腰を折って、テーブルにへたっているジェネラルを見、ミディは丁寧に梳かれた前髪を、いらいらした様子でかきあげた。
そして、ジェネラルの側に近寄ると、少年の額に人差し指を当て精神を集中させる。
「……ステータスよ。止まぬ衝動に安息を…」
四大精霊-水を司るステータスの力が、ジェネラルの体に降りた。
冷たくさわやかな力が、ジェネラルの肺と喉を癒し、呼吸を整えてくれる。
「はあ~…」
苦しさから解放され、ジェネラルはひとまず必要以上肺に入った空気を吐き出した。
そして、大きく息を吸って再び吐く。喉の異物感はなく、咳が再発する様子もない。それを知り、少年はほっと胸をなでおろした。
死の危険から脱し、自分を救ってくれた王女に礼を言おうと顔を上げた時、今度は額に激痛が走った。
あまりの痛さに、ジェネラルは再びテーブルに突っ伏した。
ミディの人差し指が、思いっきりジェネラルの額を弾いたのだ。
「もう…、情けないわね……。たかが咳に、何をそんなに苦しんでるの!?」
魔王のくせに、と言いたげなミディの表情に、不快感を覚えたのか、ジェネラルの額に縦皺が寄る。
「たかが咳って……。そこ魔王とか関係ないじゃないか! それに咳を馬鹿にしちゃ駄目なんだよ!」
じんじんと痛む額をおさえながら、魔王は叫んだ。
「ミディにとっては、たかが咳かもしれないけど、当本人はとっても苦しいんだよ!呼吸も出来ないし苦しいし、それに…」
「それに…?」
息を吸い、ありったけの思いを込め、ジェネラルは咳の真の恐怖を口にした。
「100回したら、死んじゃうんだから!!」
「……………………馬鹿なの?」
しばし沈黙の後、ミディが吐いた言葉。青い瞳は細められ、非常に冷たい視線を魔王に投げかけている。
冷ややかな一言に、ジェネラルは完全にノックアウトされた。
“ミディに、馬鹿って…馬鹿って…言われた……”
彼の耳の奥で先ほどの一言が、エンドレスで鳴り響く。
この世界で、一番言われたくない女に言われたのだ。ジェネラルがショックを受けるのも無理はない。
背中にショックと書かれた黒い影を背負う少年の手を強引に取ると、ミディは半ば引きずるように、ジェネラルを立たせた。
「くだらない事を言ってないで、さあ行くわよ。下でアクノリッジが待ってるんだから」
「うっ、うん……」
ミディの言葉に、ジェネラルは素直に従った。
確かにくだらない事で時間を費やしてしまったな、と反省する。
しかし、次に発せられるミディの言葉に、再び無駄としか言いようが無い会話に時間を費やす事となる。
「まあ、あれが咳じゃなくてしゃっくりなら、心配したけれど。しゃっくりを100回すると死んでしまうと言うし」
「って、ミディも僕と似たような事、信じてるじゃないか!!」
少年の突っ込みに、ドアを開け外に出ようとしたミディの足が止まる。
何ですって…、という言葉と共に素早く振り返ると、腰に両手をあて、反論の為に口を開いた。
表情は、いつになく厳しい。
「似たような事って、失礼ね! あなたのように、根も葉もない噂とは違うのよ!! 私の従姉妹から聞いた話なんだけど、従姉妹の伯父のその親戚のお婆様が…」
「僕だってあるよ! 知り合いのお父さんの親戚の子供の友達が…」
「まだあるんだから! 侍女の友人の住む家の近くにあるパン屋さんのおじさんのお父さんなんて…!」
「こっちだって! いつも食料を届けてくれるノートさんの妹さんの旦那さんの知り合いだって……!」
第三者が聞けば、自分たちと接点がない人間もしくは魔族に聞いた話という時点で、根も葉もない噂だと思うのだが、本人たちは全く気がついていない。
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