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第47話 実力2
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ホールに、静けさが戻った。
安全を確認したのか、人々が立ち上がり、まだ状況が飲み込めていない様子で辺りを見回している。中には、緊張の糸が切れ、その場に座り込んで立てない者もいる。
「もう…、ドラゴンはいないのか…? もう、大丈夫なのか?」
座ったままドラゴンが行った破壊の跡を見ながら、シンクが呟いた。座り込んだままの彼に、兄がすっと手を差し伸べる。それを力強く握ると、アクノリッジが引っ張るのも手伝って、勢いよく立ち上がった。
改めて、周りを見回す。
絨毯はドラゴンの血で真っ赤に染まり、悪臭を放っていた。
地面のあちらこちらには、装飾品や自動人形たちの破片が散乱し、綺麗に塗られていた壁は、今ではヒビと血で不規則な模様が描かれている。
入り口の扉は、跡形も無く破壊されており、中から外の様子が丸見えになっていた。
玄関ホールはほぼ壊滅状態だった。しばらくは、復旧に時間を要するだろう。
「ミディ…ミディ…、しっかりして……」
王女の名を呼ぶジェネラルの言葉に、兄弟は大切な事を思い出した。気を失って倒れているミディのことである。
側で、ジェネラルがミディの上半身を抱き上げ、揺すっているのが見えた。
ドラゴンとの戦いの時に見せた余裕の表情はなく、ただ不安そうに眉根を寄せ、ミディの体を揺すり安否を確かめている。
「…んっ……」
小さな声と共に、ミディが身じろぎをした。瞳が薄く開かれ、虚ろな表情で何度も瞬きを繰り返している。ふと、視線が何かに気がついたかのように、一点に集中した。
「……ジェネ?」
「ミディ! …よかった。大丈夫? どこか痛いところとかない?」
「痛い…ところ? 特にないけれど…… 私、一体……」
ジェネラルの言葉に、訳が分からない様子で答えるミディ。少年の手を借り、ゆっくりを体を起こすと、周りを見回した。次第に、顔色が驚きのそれに変わる。
「何…これ……」
「襲われたんだよ、ドラゴンにな。で、この有様さ」
ジェネラルの変わりに、アクノリッジが質問に答えた。
ミディの視線が、自分の隣に立って見下ろしている青年に向けられる。
「私…、外に出ようとしたら……いきなり何かが爆発した音がして…そこから記憶がないのだけれど……」
「きっとドラゴンがこの壁をぶち破った時、巻き込まれて気を失ったんだろうな。あれだけの破壊で、怪我一つなかったなんて、奇跡だぜ、全く」
「……そう…だったの……で、今、そのドラゴンはどこに!?」
「ジェネラル様が、追い払ってくださいましたわ」
後ろから聞こえた静かな女性の声に、その場にいた4人が一斉に振り返った。
そこにはセレステが、侍女たちに支えられながら立っていた。顔には血の気がなく、今にも倒れそうな様子であった。
「モジュール家の自動人形でも敵わなかったドラゴンを、ジェネラル様が追い払って下さったのです。ジェネラル様がいらっしゃらなければ、今ごろどうなっていた事か……。ミディ様も、無傷ではすまなかったはずですわ。ドラゴンの一番近くにいらっしゃったのですから……」
この言葉に、周りの者達も同意するように頷いている。
セレステ、アクノリッジ、シンクを順に見た後、ミディは自分を支えているジェネラルに視線を戻した。
王女の視線に気がつき、微笑むジェネラル。
だがミディは、微笑み返す変わりに、少年に抱きついた。自分が置かれていた状況を理解し、恐怖を感じているかのように、その細い体は、少し震えていた。
「……怖かったわ……ジェネ……」
「もう、大丈夫だから」
子供をあやすように、ミディの髪に触れながら、ジェネラルは囁いた。ミディを慰めるジェネラルの姿は、皆が見ていた以上に大人に見えた。
ドラゴンが突き破って出来た穴から、太陽の光が、破壊を全てを癒すように優しく降り注いでいた。
安全を確認したのか、人々が立ち上がり、まだ状況が飲み込めていない様子で辺りを見回している。中には、緊張の糸が切れ、その場に座り込んで立てない者もいる。
「もう…、ドラゴンはいないのか…? もう、大丈夫なのか?」
座ったままドラゴンが行った破壊の跡を見ながら、シンクが呟いた。座り込んだままの彼に、兄がすっと手を差し伸べる。それを力強く握ると、アクノリッジが引っ張るのも手伝って、勢いよく立ち上がった。
改めて、周りを見回す。
絨毯はドラゴンの血で真っ赤に染まり、悪臭を放っていた。
地面のあちらこちらには、装飾品や自動人形たちの破片が散乱し、綺麗に塗られていた壁は、今ではヒビと血で不規則な模様が描かれている。
入り口の扉は、跡形も無く破壊されており、中から外の様子が丸見えになっていた。
玄関ホールはほぼ壊滅状態だった。しばらくは、復旧に時間を要するだろう。
「ミディ…ミディ…、しっかりして……」
王女の名を呼ぶジェネラルの言葉に、兄弟は大切な事を思い出した。気を失って倒れているミディのことである。
側で、ジェネラルがミディの上半身を抱き上げ、揺すっているのが見えた。
ドラゴンとの戦いの時に見せた余裕の表情はなく、ただ不安そうに眉根を寄せ、ミディの体を揺すり安否を確かめている。
「…んっ……」
小さな声と共に、ミディが身じろぎをした。瞳が薄く開かれ、虚ろな表情で何度も瞬きを繰り返している。ふと、視線が何かに気がついたかのように、一点に集中した。
「……ジェネ?」
「ミディ! …よかった。大丈夫? どこか痛いところとかない?」
「痛い…ところ? 特にないけれど…… 私、一体……」
ジェネラルの言葉に、訳が分からない様子で答えるミディ。少年の手を借り、ゆっくりを体を起こすと、周りを見回した。次第に、顔色が驚きのそれに変わる。
「何…これ……」
「襲われたんだよ、ドラゴンにな。で、この有様さ」
ジェネラルの変わりに、アクノリッジが質問に答えた。
ミディの視線が、自分の隣に立って見下ろしている青年に向けられる。
「私…、外に出ようとしたら……いきなり何かが爆発した音がして…そこから記憶がないのだけれど……」
「きっとドラゴンがこの壁をぶち破った時、巻き込まれて気を失ったんだろうな。あれだけの破壊で、怪我一つなかったなんて、奇跡だぜ、全く」
「……そう…だったの……で、今、そのドラゴンはどこに!?」
「ジェネラル様が、追い払ってくださいましたわ」
後ろから聞こえた静かな女性の声に、その場にいた4人が一斉に振り返った。
そこにはセレステが、侍女たちに支えられながら立っていた。顔には血の気がなく、今にも倒れそうな様子であった。
「モジュール家の自動人形でも敵わなかったドラゴンを、ジェネラル様が追い払って下さったのです。ジェネラル様がいらっしゃらなければ、今ごろどうなっていた事か……。ミディ様も、無傷ではすまなかったはずですわ。ドラゴンの一番近くにいらっしゃったのですから……」
この言葉に、周りの者達も同意するように頷いている。
セレステ、アクノリッジ、シンクを順に見た後、ミディは自分を支えているジェネラルに視線を戻した。
王女の視線に気がつき、微笑むジェネラル。
だがミディは、微笑み返す変わりに、少年に抱きついた。自分が置かれていた状況を理解し、恐怖を感じているかのように、その細い体は、少し震えていた。
「……怖かったわ……ジェネ……」
「もう、大丈夫だから」
子供をあやすように、ミディの髪に触れながら、ジェネラルは囁いた。ミディを慰めるジェネラルの姿は、皆が見ていた以上に大人に見えた。
ドラゴンが突き破って出来た穴から、太陽の光が、破壊を全てを癒すように優しく降り注いでいた。
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