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第七話(九)
しおりを挟む「……なのに、黒龍の花嫁ですって? あの無能女が!」
頭の変形した熊のぬいぐるみが、勢いよく壁に激突した。
姉のことは子供の頃から大嫌いだった。
千年に一人かなんだか知らないが、自分より強い霊力を持って生まれてきて。両親の期待を一身に背負って。
おまけに龍神様と契約ですって?
こっちの相手は、取るに足りない人間の皇族なのに、なんで姉は神様の花嫁になれるの?
霊力以外はなんの取り柄もない、不細工で地味で品がなくて頭の悪い女なのに。
あんな女が、自分より上位にいることが許せなかった。
小さな悋気は年月とともにどんどん膨れ上がって、姉への憎悪で常に心が掻き乱されていた。
春菜の欲望は膨れ上がるばかりで、収まることを知らなかった。
「あの女がのうのうと幸せに生きるなんて、絶対にありえないわ」
姉の幸福は自分の不幸だ。なので、なにがなんでも姉には不幸に堕ちていかなければならない。
幸いにも、今も姉は霊力が空っぽだ。
もし黒龍の神力で霊力を取り戻すような事態が起こったら、面倒なことになるかもしれない。
――その前に、叩き潰す。
(……ま、あの女からは全部奪ったから、霊力回復なんてあり得ないけどね……)
秋葉も神の世界に入って日が浅い。今なら黒龍に邪魔されずに……殺すことができるはず…………。
春菜は大量の真っ白な紙を用意して式神を作った。それに己の霊気を込めて、羽ばたかせる。
(それにしても、黒龍様もイイ男だったわ。……彼も手元に置きたいわね)
春菜の口元がにやりと歪んでいく。己のこの力なら、それが可能なはずだ。
現に、白龍に対しては上手くいっている。
「二人の龍神を手に入れるのが楽しみだわ」
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