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第十四話(七)
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白龍の祠から戻った光河は、今日も紫流が用意した煎じ薬を飲み干していた。
「……?」
また、感じる違和に首を傾げる。
以前はあんなに美味しく感じたのに、今は苦みに耐えながら口に含んだ。
きっと紫流のことだから、自分の体調に合わせて調合を変えたに違いない。彼は自分自身も気付かないほどの小さな身体の変化も、よく気付き気遣ってくれた。
幼い頃から『穏やか過ぎる』と評されていた光河にとって、頼もしい側近であり一番の友でもあった。
そんな紫流が、最近春菜について苦言を呈することが多くなっていた。曰く、下の者に対する態度が常軌を逸しているらしい。
春菜は、光河にとっては従順で健気で可愛げのある娘に映っていた。そんな愛らしい彼女が、己より下の身分の者に辛辣な態度を取るなんて、とても信じられない。
だが、紫流が敢えて嘘をつく理由もない。
それに、もう一つ懸念すべきことがある。
それは春菜の霊力だ。
光河も、彼女の力が弱まっていることに気付いていた。
誰にでも調子の良い時と悪い時がある。最初は人間の彼女が神の世界で慣れないことが多く、気苦労で一時的に力が弱まっているのだと思っていた。
しかし、霊力は日に日に落ちていって、気力や肉体の調子のせいでだけはないようだ。
このまま霊力が落ちたら、春菜はもうここにはいられなくなる。
なぜなら、彼女の命に関わるからだ。
神の力は巨大だ。ここに来る人間は、霊力という保護膜がなければ、心身に影響を及ぼしてしまうのだ。
(もし……。春菜の霊力がこのまま落ち続けたら、人間の世界へ還さなば……)
離縁は辛いが、こればかりは仕方があるまい。自分のために相手が傷付く姿を見たくない。
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