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「本当に済まなかったな、ディアナ……」
全ての後始末が無事に終わって、父とディアナは中庭で久し振りの親子水入らずのお茶を楽しんでいた。
父が戦地へ行っているあいだ、母は歌劇俳優と不貞をしローゼが生まれた。
妹は正真正銘、平民の子供だったのだ。
父は母とは離縁し、妹もろとも屋敷から叩き出した。
アルベルトの父も息子の不貞に激怒し、すぐに勘当した。子供ができていたので、二人は両家により強制的に結婚させられた。
今、あの三人がどうなっているのかは、ディアナには分からない。
だが逆恨みで危害を加えないように、侯爵家が常に見張りを付けているらしい。
それも、彼女にとってはどうでもいいことだ。
そよ風がディアナの頬をくすぐる。穏やかな空気が心地良かった。
「そんな。お気になさらないでください、お父様」
「いや……。私が仕事仕事で、家庭に目を向けていなかったのが悪い。お前には苦労をかけたな」
「そうですね……本音を申し上げますと、辛いことが多かったですけど……でも、それも全て自分の糧になりましたわ」
「お前は強いな」
「あの母娘のおかげで鍛えられましたから」
父は苦笑して、紅茶に口を付けた。娘が立派に育って嬉しかったが、ここまで来るのになんと辛い思いをさせたのだろうと思うと己を恥じるばかりだった。
「あっ、そうだわ。お父様」
「なんだ?」
「私に申し訳ないという気持ちがあるのなら、一つお願いを聞いていただきたいのですが」
ディアナはくすりといたずらっぽく笑う。
「どうした、どうした? お前の願い事なんて初めてじゃないか。よろしい、私が何でも聞いてやろう」
これは何か面白いことを企んでいるな、と父も楽しそうにニヤリと笑った。
「じゃあ、ここからは私が説明しようか」
「で、殿下……!?」
「ハインリヒ様!」
にわかに、二人の背後からハインリヒ第二王子が顔を出した。
ディアナの、将来を誓い合った愛しい恋人が。
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