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第44章 — 罪の終焉(つみのしゅうえん)
玉座(ぎょくざ)の間は、鋼(はがね)のぶつかり合う音で満たされていた。
剣と剣が激しく火花を散らし、血と埃にまみれた壁掛けにその音が反響する。
ヘイタンと第一王子との決闘が始まっていた。
年上であるはずの第一王子——今の王——は次第に動きが乱れ、額から汗を流していた。
一方で、ヘイタンは冷静そのもの。
揺るぎない眼差し、無駄のない姿勢。
その一挙一動、一振りが、まるで死を司る者のように正確であった。
その頃、マリーは怒りに満ちた顔で、ローズの髪を掴み、玉座の間の中央へと引きずっていた。
「歩けっ!」
容赦のない叫びが響く。
ローズの悲鳴が、剣戟の金属音に混じってこだまする。
第一王子の兵たちはすでに全員拘束され、武器を奪われ、ただ膝をついて主君の敗北を見届けるしかなかった。
マリーはローズを乱暴に床へと投げつけた。
その体が大理石の床に叩きつけられ、鈍い音を立てる。
「っあ……!」
ローズは頭を押さえ、呻き声を漏らした。
マリーはさらに近づき、もう一度、今度は先ほどよりも強く頬を打った。
乾いた音が、まるで断罪の鐘のように鳴り響く。
「見なさい、あれを……」
マリーは戦う二人を指差し、憎悪に満ちた瞳で言い放った。
「——あれがあなたの愛人よ。かつて、私の婚約者だった男!」
「あなたは清らかぶっていたけど、夜な夜な彼のもとへ通っていたんでしょう!」
「黙れぇっ!!」
ローズは叫び、怒りに歪んだ顔を真っ赤に染める。
「うるさいっ、この化け物女っ!!」
だが、マリーはただ冷ややかに笑った。
唇に指を当て、「シー」と静かに制する。
「……知ってるの。全部。」
「ヘイタンが送った密偵たちが見たのよ。——あなたたちの逢瀬も、嘘も、裏切りも。」
「あなたの汚れた素顔を、全部ね。」
ローズの体が震え、瞳が見開かれる。
誇りは粉々に砕かれ、残ったのは羞恥と恐怖、そして燃えるような憎悪だけだった。
マリーはさらに一歩近づき、彼女の顔の前で指を突きつけた。
「あなたと彼の行いが——どれだけの命を奪ったか、分かってる?
恥を知りなさい!」
ローズの頬を涙が伝う。
だが、その目には、まだ消えぬ怒りの炎が宿っていた。
マリーは深く息を吸い込み、氷のように冷たい声で続けた。
「あなたを守ってくれた男——あなたの罪を隠そうとしたその男——」
「その人は今まさに、負けようとしているの。」
ローズは顔を上げ、戦場へと視線を向けた。
そこには、血走った目で必死に剣を振るう第一王子の姿。
しかしその一撃一撃を、ヘイタンは確実に見切り、いなしていた。
——その瞳には、永い怨嗟と決意が宿っていた。
ヘイタンの脳裏に、過去の記憶が洪水のように蘇る。
かつての人生。
兄の裏切り。
無意味な戦で死んでいった仲間たち。
そして、最期に見た両親の絶望に満ちた瞳。
すべてが、刃のように心を抉った。
ヘイタンは奥歯を噛み締め、静かに言った。
「——今日で終わりだ、兄上。」
その声は、長い呪縛を断ち切る宣告のように玉座の間に響き渡る。
第一王子が吠えるように斬りかかる。
だがヘイタンは一歩下がり、身を翻して剣を振り抜いた。
鋭い閃光が走る。
「シュッ——」
次の瞬間、肉を裂く音。
「——あああああっ!!!」
第一王子の腕が宙を舞い、床に落ちた。
石畳に血が散り、二人の衣を真紅に染める。
ローズが悲鳴を上げる。
マリーは目を逸らさず、その光景を見つめていた。
胸の鼓動が、戦鼓のように鳴り響く。
ヘイタンは剣を構えたまま、一歩前に出た。
その切っ先は、今や膝をついた兄の喉元を捉えていた。
「終わりだ、兄上……」
声には、悲しみと決意が混ざっていた。
「——裏切りの王国は、ここで幕を閉じる。」
静寂が訪れる。
過去の亡霊たちの声が、血と共に静かに消えていった。
そして——
マリーは悟った。
彼らの復讐がついに果たされようとしていることを。
剣と剣が激しく火花を散らし、血と埃にまみれた壁掛けにその音が反響する。
ヘイタンと第一王子との決闘が始まっていた。
年上であるはずの第一王子——今の王——は次第に動きが乱れ、額から汗を流していた。
一方で、ヘイタンは冷静そのもの。
揺るぎない眼差し、無駄のない姿勢。
その一挙一動、一振りが、まるで死を司る者のように正確であった。
その頃、マリーは怒りに満ちた顔で、ローズの髪を掴み、玉座の間の中央へと引きずっていた。
「歩けっ!」
容赦のない叫びが響く。
ローズの悲鳴が、剣戟の金属音に混じってこだまする。
第一王子の兵たちはすでに全員拘束され、武器を奪われ、ただ膝をついて主君の敗北を見届けるしかなかった。
マリーはローズを乱暴に床へと投げつけた。
その体が大理石の床に叩きつけられ、鈍い音を立てる。
「っあ……!」
ローズは頭を押さえ、呻き声を漏らした。
マリーはさらに近づき、もう一度、今度は先ほどよりも強く頬を打った。
乾いた音が、まるで断罪の鐘のように鳴り響く。
「見なさい、あれを……」
マリーは戦う二人を指差し、憎悪に満ちた瞳で言い放った。
「——あれがあなたの愛人よ。かつて、私の婚約者だった男!」
「あなたは清らかぶっていたけど、夜な夜な彼のもとへ通っていたんでしょう!」
「黙れぇっ!!」
ローズは叫び、怒りに歪んだ顔を真っ赤に染める。
「うるさいっ、この化け物女っ!!」
だが、マリーはただ冷ややかに笑った。
唇に指を当て、「シー」と静かに制する。
「……知ってるの。全部。」
「ヘイタンが送った密偵たちが見たのよ。——あなたたちの逢瀬も、嘘も、裏切りも。」
「あなたの汚れた素顔を、全部ね。」
ローズの体が震え、瞳が見開かれる。
誇りは粉々に砕かれ、残ったのは羞恥と恐怖、そして燃えるような憎悪だけだった。
マリーはさらに一歩近づき、彼女の顔の前で指を突きつけた。
「あなたと彼の行いが——どれだけの命を奪ったか、分かってる?
恥を知りなさい!」
ローズの頬を涙が伝う。
だが、その目には、まだ消えぬ怒りの炎が宿っていた。
マリーは深く息を吸い込み、氷のように冷たい声で続けた。
「あなたを守ってくれた男——あなたの罪を隠そうとしたその男——」
「その人は今まさに、負けようとしているの。」
ローズは顔を上げ、戦場へと視線を向けた。
そこには、血走った目で必死に剣を振るう第一王子の姿。
しかしその一撃一撃を、ヘイタンは確実に見切り、いなしていた。
——その瞳には、永い怨嗟と決意が宿っていた。
ヘイタンの脳裏に、過去の記憶が洪水のように蘇る。
かつての人生。
兄の裏切り。
無意味な戦で死んでいった仲間たち。
そして、最期に見た両親の絶望に満ちた瞳。
すべてが、刃のように心を抉った。
ヘイタンは奥歯を噛み締め、静かに言った。
「——今日で終わりだ、兄上。」
その声は、長い呪縛を断ち切る宣告のように玉座の間に響き渡る。
第一王子が吠えるように斬りかかる。
だがヘイタンは一歩下がり、身を翻して剣を振り抜いた。
鋭い閃光が走る。
「シュッ——」
次の瞬間、肉を裂く音。
「——あああああっ!!!」
第一王子の腕が宙を舞い、床に落ちた。
石畳に血が散り、二人の衣を真紅に染める。
ローズが悲鳴を上げる。
マリーは目を逸らさず、その光景を見つめていた。
胸の鼓動が、戦鼓のように鳴り響く。
ヘイタンは剣を構えたまま、一歩前に出た。
その切っ先は、今や膝をついた兄の喉元を捉えていた。
「終わりだ、兄上……」
声には、悲しみと決意が混ざっていた。
「——裏切りの王国は、ここで幕を閉じる。」
静寂が訪れる。
過去の亡霊たちの声が、血と共に静かに消えていった。
そして——
マリーは悟った。
彼らの復讐がついに果たされようとしていることを。
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