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第21章 ― 闇のコロセウム
しおりを挟む日々が過ぎ、Hermes はもはや鎖に引きずられていた以前の自分ではなかった。Gerard による厳しい訓練は、少しずつ彼を鍛え上げていた。以前は弱々しかった腕は力強さを増し、牢獄の格子に慣れた頭も、この新しい世界を理解しようと働き始めていた。疑いはもうなかった――ここは彼の故郷ではない。空も街も習慣も、何ひとつとして見覚えはなかった。それでも Hermes はこの秘密を胸に秘めることにした。別の世界の話をすれば、疑念を生むだけだ。最善は黙って待つこと――Heitor に平穏に再会するまで。
その間、彼は観察し、耳を傾けた。周囲の奴隷たちは単なる人間ではなかった。多くは demi-human、魔族の子孫、あるいは王国の民が“不純”と見なす特徴を持つハイブリッドだった。ここには、堕ちた者、忘れ去られた者、売られた者、追放された者たちが混ざっていた。
日が経つにつれ、Hermes は残酷なパターンに気づいた。新しく捕らえられた者たちは必ず Coliseu に連れて行かれるのだ。そこで訓練士は、まるで神父が教義を説くかのように、帝国の規則を説明した。
「この王国は宗教的だ」と、硬い声で言う。
「純粋な者だけが安らかに生きることを許される。価値がないと見なされた者はここに来る――闇のコロセウム へ。」
その言葉には、希望を粉砕する重みがあった。
Hermes は沈黙のまま耳を傾けた。
「ここでは、死ぬまで戦うことになる。数多くの戦いに勝利すれば、理論上は自由を手に入れることも可能だ。しかし、そのためには帝国の五人の将軍を倒さねばならない。五度の死闘――容赦はない。そしてほとんどは生き残れない。」
Hermes の目が細まる。男の語り方は、チャンスを与える者のものではなく、周到に練られた嘘を語る者のものだった。
「奴らはこの可能性を民衆の前で見せかけるためにだけ提供している」と、訓練士は低くつぶやいた。
「血しかない場所に、正義があるかのように見せかけるためにな。」
重い沈黙がその場を覆った。すると、若い奴隷の一人が恐怖と好奇心を抱え声を上げた。
「でも…なぜ闇のコロセウムと呼ぶのですか?」
訓練士は足を止め、周囲を見渡してから低い声で答えた。
「理由は二つある。まず一つ目は簡単だ。ここには多くの魔族と半魔族が集められ、信仰の目には呪われた場所と映る。二つ目…それは伝説だ。」
Hermes は眉をひそめる。
「このコロセウムのどこかには、伝説の剣が眠っていると言われている。王国の運命を変えるほどの力を持つその剣を、宗教者たちは『選ばれし者』しか振るえないと信じている。だから我々を戦わせる――苦しみの中から、剣の持ち主となる者を探すために。」
Hermes は黙って聞いていたが、内心は沸騰していた。宗教を口実に拷問を正当化する王国、痛みの光景で生きる民衆…拳を握り締め、失われた自由の記憶に怒りが燃え上がる。
しかし、思考が及ぶ前に、粗い手が腕を引っ張った。
「おい、お前の番だ」――無慈悲に引きずる兵士の声。
Hermes は目を見開き、心臓が高鳴る。捕らえられて以来初めて、現実が骨にまで刺さるのを感じた。戦いはもはや物語ではなく、今や自分自身が闘技場に立たねばならないのだ。
遠くで響く観客の歓声を耳にしつつ、Hermes は 闇のコロセウム の中央へと続く鉄の門に導かれた。
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