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10 魚つり①
しおりを挟む「この島では大きいお魚さんも釣れるんですよ」
今日レネはそう言って、釣竿を手にしている。釣竿と言っても、二メートル程の木の棒に釣り糸と釣り針を括り付けただけの簡素な物。
僕はその釣竿を背負って砂浜を歩くレネの隣を歩いている。
金髪碧眼で、白いタンクトップとショートパンツ姿のレネ。健康的な手足を大胆にさらして、タンクトップでは収まりきれない大きな胸を揺らしながら上機嫌に砂浜を歩いているセイレーン。
「そう言えば魚釣りもするって言ってたね。得意なの?」
「私、上手ですよ。お魚さんとじっくり心を通じ合わせればいいんです」
「心ねぇ・・・」
独特な事を言うレネ。でも、レネならそれが出来るんじゃないかと思えるから不思議。
「追いかけるだけなんじゃダメなんです。時折素っ気ない態度を見せて、向こうに追いかけさせるのが秘訣です」
「何か違う話みたい」
恋の駆け引きの話をしているみたい。
僕も追いかけてばかりじゃなくて、時折素っ気ない態度を見せてみようか。でも、それで嫌われるのも嫌だしなぁ。
そう思いながら、隣を歩くレネを眺める。いや、ダメだな。この恋愛の女神みたいなレネの笑顔を見ていたら、素っ気ない態度なんてとれるわけがない。逆にレネに素っ気ない態度をとられたら泣いちゃうかも。
そんな恋愛方程式なんて関係ないレネと歩いていると、以前来た大きな岩までやってきた。高さ二メートル程で、海岸から沖へ向かって伸びている。幅は五メートル程か。桟橋のようなので桟橋岩と名付ける事にする。
ここはレネのとっておきの場所であり、いわゆる『お尻事件』が起きた場所である。縄梯子を上りそこねたレネのお尻に潰されただけだけど。
「この間は失礼な事をしてしまって」
レネが真剣な顔をして言うのだから笑ってしまいそうになる。あれは、ご褒美だよね。
「今日は気をつけてよ」
僕が言うとレネはにっこりわらい、
「今日はご迷惑はおかけしません」
そう言ってふわっと翼を広げる。レネの独特な甘い香りが辺りに広がる。
「え?」
そしてレネは音もなく浮き上がり、暖かな風が舞い上がった。そして気がついた時には桟橋岩の上に優雅に着地していた。
僕は桟橋岩の上の天使様と目の前の縄梯子を交互に眺める。
「縄梯子上らないんだね・・・」
「これなら問題ありません」
満足そうに笑顔を浮かべる天使様。
「ふうん」
あの時のレネのお尻を思い出しながら、縄梯子を上る僕。ちょっと残念。
でも翼のおかげでくっきりと浮かび上がったレネのボディラインが見られたから、それはそれでいいか。
「気をつけて下さいね」
翼をしまったレネは僕の腕を取りながら、桟橋岩を歩く。幅五メートル程ある桟橋岩の両サイドは完全に海だから落ちないようにとそうしてくれているんだろうけど、僕はそうして腕に伝わる柔らかい感触を無視出来るほど聖人君子じゃない。でも、それを黙って堪能出来るほど経験豊富でもない。
思わず少しずつ逃げてしまう。
「あまりそっちに行くと危ないです」
「そ、そうだね」
レネに言われて少し戻る。でもやっぱり柔らかい圧に押されて逃げる。その繰り返し。むしろ、手を離して貰った方が安全かもしれないけど、それはそれで寂しい。
「もうちょっとこっちに来て下さい。この辺りは深いんですよ」
「うん」
もう最初に上った位置から百メートル程進んでいる。一メートルほど下の海面を眺めると、綺麗な割にはなかなか流れが速そうだ。深い上に流れが速いとなると落ちるのは勘弁なので、おとなしくレネの柔らかい感触に甘える事とする。なんて贅沢。
おとなしく従う事にした僕に優しく微笑むレネ。
恋人同士みたい、って思ってるのは僕だけなんだろうな。今更だけど、レネは僕の事をどう思っているんだろう。
悪い感情を持っているとは思えないけど——まだ聞くのは怖いな。
「着きましたよ」
僕たちは桟橋岩の突端にたどり着く。
先端は少し段差になっていて、ベンチのように腰を掛ける事が出来る。でも、すぐ目の前は海だから、落ちないように気をつけないと。
レネは僕と隣り合って座り、釣竿を大きく振りかぶって釣り針を海に投げた。が、最初に釣れたのはレネのタンクトップだった。
「ちょ、レネ!」
「と、取って下さい!」
釣り針はレネのタンクトップの背中の部分に引っ掛かり、大きく捲れ上がってレネの白い背中と、ピンクのブラジャーがあらわになる。またお会いしましたね。
「お願いします!早くっ」
「そんなにひっぱったらダメだって!」
慌てているうちにますます捲り上がっていくタンクトップ。ついでに可愛いおへそもこんにちわしている。
どうしよう。このままだとタンクトップが完全に脱げてしまう。それを待った方がいいのか、途中で止めた方がいいのか、迷う。
迷っているうちに背中が大きくあらわになる。ブラジャーの上まで。邪な気持ちと共に目を向けると、そこにはミニチュアのような翼がちょこんとついている。こうなってたんだ。
小さな発見があったところで、タンクトップから釣り針を外してあげる。やっぱりそんな目で見てたらダメだよね。
釣り針が外れた事を確認したレネは、ゆっくりとタンクトップを直す。もうちょっとおへそを見ていたかったけど。
「取り乱してしまいました」
少し恥ずかしそうにしているレネ。やっぱり可愛い。
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