強く、咲く。※不定期掲載

zakura

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報告会が終わっても私たちの夜はまだ終わらない。

私と愁は、東京の暗くて狭い通りに来ていた。

ここは咲也の情報でいう裏の人間の溜まり場。

情報が多く飛び交っている。

私はあくびをひとつ漏らして目的の場所へと歩みを進めていた。

「もー、咲也がいってた店どこなの」

かれこれ十分歩いているが、目的と思われる場所につかない。

来たことがない場所を目的地もはっきりとわからず歩くのって普通に辛い。

「結構いる組んでるよね。」

愁も少しだるそうに歩く。

見ないかおだからか、周りの大人たちはじろじろとこちらを見てくる。

といっても私たちはそのままの顔でこの場所に来ているわけではない。

黒のフードに肩までのセミロング。

フードは深くかぶってかおは見えないようにしている。

この場所じゃなくてもこの格好は不審だろう。

だが、大切なことだから、しょうがない。

万が一顔見知りに出会ったらその情報はすぐに広がるからだ。

情報漏れは自分達を滅ぼす、

些細なことにも配慮は必要だ。

ちなみに愁も同じ格好、髪型。

かわいくいうといわゆる、おそろっち。

二人いることで不気味感がさらにますが

これは結構役に立つ、見バレしにくいし。

なんて、考えながら歩いていたら前を歩いていた愁が止まった。

私は後ろから愁に声をかける。

「ここ?」

「ここしかないよね」

店の看板を見ると

blueとかかれている、みためは暗くバーのようだ。

咲也のいっていた情報と一致していたのでたぶんここだろう。

「入る?」

ときくと、愁は私の後ろに身を寄越した。

そして私の後ろからいう。

「入るとしても、琉生からだよね」

「ま?」

「ま」

愁と一緒だと想定できたことだ。

ったく、

私は扉にてを伸ばした。

カランカラーン。

「いらっしゃいませー」

ドアの音とバーテンダーの声が聞こえた。

周りをみると

客は誰もいない、、。

私はバーテンダーの目の前のカウンターに座った。

愁も私のとなりに座る。

バーテンダーはグラスを吹きながら私たちに声をかけた。

「お初のお客様ですか?」

私はとびきり低い声でいう。

「酒じゃなくて情報を買いにきた」

バーテンダーはふいていたグラスをコトリとおいた。

「なるほど。なんの情報でしょう」

やはりここはバーでもあり、情報屋でもあるようだ。

私は聞きたかった情報を口にする。

「立花組について」

「立花組がどうかしました?」

「ヤク、流してる噂とか知らない?」

バーテンダーは少し黙ってから口を開いた。

「……、ここのバーは情報はお金で買わないんです。」

咲也の情報の通りだ。

お金で売っているやつや店も多いがこの店はそうではないらしい。

だとしたら、対価はーーー

「知ってる。こっちも情報を渡す」

バーテンダーのもっている情報と同価の情報だ。

バーテンダーはカウンターにてを伸ばした。

カウンターは私たちの座っている席に切り込みが入っていたようできれいに半分に割れた。

そしてバーテンダーが酒を作っていた方へ開かれた。

バーテンダーと私たちを遮るものはなにもない。

バーテンダーは少し口角をあげていった。

「奥へどーぞ」

私と愁はバーテンダーのいたところへいった。

するとバーテンダーの後ろにあった酒の棚も半分に開いた。

それが扉になっていたようだ。

奥って、、この奥か、、

すごいな、、

と思いつつ、奥へと入っていった。







無事情報を聞いて、

バーテンダーにも秘密を漏らさないように釘を指しておいてバーを出た。

まぁ、保証はしてくれなかった。

私たちの情報を知りたがっていて、かつ対価ももっているやつには渡すと言われた。

情報屋は情報を売りにしているからそんなもんだ。

私たちの情報を調べるやつなんていないだろう。

だって私たちがここにいるなんてこと知ってるやつなんていないんだから。

私たちが聞いた情報は、今ヤクを流している噂があるヤクザについてだ。

答えはある。だった。

風間組の下に昔からついている、連峰組というのがあって、そいつらがヤクを仕入れて流しているらしくこのことをききにくるやつが私たちの他にもいるらしい。

ヤクが流れていることは東京でも広がっている内容らしい。

でこちらが渡した情報は、

日本一のヤクザ神代組に東京からヤクが流れてきたことで神代組は怒っており、こちらに探りを入れている。

という、自分達の情報だ。

これは自分達とことだと絶対にバレないからできることである。

これはじぶんたちのちからを過信しているわけではない、

自分達がバレない努力をすればいいだけのことであって

自分達ですむのなら自分達のことをいって情報をえたほうがいいからだ。

実際この情報は価値があるだろう。

なにせ、日本一のヤクザが東京のヤクザを潰そうとしていることを知れるから。

聞かれなければ洩らさないと情報屋のバーテンダーはいっていたし、

大丈夫だろう。

とりあえず、

私はくぐっと背伸びをした。

「今日は終わりだね」

「一日長いよね」

「だね」

私たちは夜のやみへと身を投じた。








真っ暗な部屋に人影が4つ。

ぎぎぃーっとドアがあいて入ってきたのはまどかだった。

まどかはツカツカと四人の人影に近づいていった。

そのまま声をあげる。

「ちょっとなによ、

あんたたちから呼ぶなんて」

四人のうちの一人、篝はにっこり笑っていった。

「まどかにちょっと話しあってねぇー」

そのかおを見て怪訝そうにかおをしかめるまどか。

「健はいや」

「ひっどいなぁー」

頬をぶすっとしてふてくされた篝のとなりで金田が優しくいう。

「俺だったらいい?」

まどかはめんどくさそうにいった。

「律、、誰でもいいわよ。早くして」

金田は「ありがとう」といって話し始める。

「まどかが、最近仲いい子いるじゃん?」

「るいと?」

そういうと篝が横から声をあげる。

「るいとちゃんだっけ?地味な子」

まどかは篝を睨み付けた。

「この!地味じゃないわよ!!」

バカにしたように篝ははなしつづける。

「そーなの?」

友達をバカにされたように感じて怒った。

「あんた!るいとの髪の下見たことないの?

あれは化粧してないんじゃない、しないの」

その怒りも篝には効いていないようだ。

「ふーん」

何が言いたいのかわからないまどかはしばらく篝を見て思い付いたようにいった。

「はっ!あんたまさか、抱く気?」

篝は「あははは」と笑っていった。
 
「違うよーいまのところは、、

ただ、今日流星くんとヤってたんだよねぇ」

流星、、?

思いもよらない人物の登場にまどかはおどろく。

「え」

金田がやさしくまどかに聞く。

「昼休みなんだけど、、

るいとちゃんなにかいってた?」

昼、、。

「昼食べる人がいるって、、、」

ここで篝がまた嫌みをいうように口を出す。

「へぇー、まどか以外に友達いるんだぁー」

まどかは?となった、ちょっと待って。

「え、でも、、、

私とずっと一緒にいるし、

流星さんと話してるの見たことない……

てか、流星さんどころか私以外としゃべってるの見たことない、、

んだけど」

篝はニヤリと笑った。

「おっかしーね笑」

「、、、なによ」

「んーん、ねー、まどか」

「なに」

「るいとちゃん、紹介してよ」

こういうことを頼まれたのははじめてだ。

るいとは大切な友達だからこそーー

「っ、なにするのよ」

簡単に教えるわけにはいかない。

しかし篝は何をするとか言わずにいった。

「べっつにー、仲良くなりたいだーけ」

抱きたいとか、恋人にしたいとかだったらこいつらはいうはず。

欲望を隠さないことは知ってる。

なら、、こいつらは、、なにもしない?

しかも今気になってるのは篝と金田だけっぽいし、、

美王が気になってないなら、、

どうせ、イエスというまで返してもらえないだろうし、、

私がいれば、守れる。

それに、、るいとのあの事を聞いたら、、

「っっ、わかったわよ」

うなずくしかない。

「あーれ、やけに素直じゃーん、」

まどかは渋々いった。

「あんたたちの中じゃ健が一番タイプなんだって」

篝がすっとっきょんな声をあげた。

「え」

まどかはもう一度いう。

「だーかーらー!

あんたがタイプだって、

いってたの!!」

篝は驚きを隠せないようで何回も聞いてくる。

「本気でいってたの?」

うるさくなってきたまどかはぴしゃりといった。

「しらない!」

篝は混乱していた。

明らかにおかしい。

なにがって俺がタイプだっていったことだ。

僕は、かわいい系で通してるけど

性格が悪いことは目に見えてわかるし、評判もある。

僕がタイプなんてやつ、いる?

いるならとんだMか変態だ。

しかもまわりには怪物級のイケメンしかいないのに

そんななかでも、、おれ?

「ふふ、」

俺は思わず笑みがこぼれた。

俺が気になっちゃうなんて、、

僕はるいとちゃんのこもますます気になっちゃったぁ。

篝は一人にやりと笑った。



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