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第7話
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「レオ・フォン・パリセクト殿下。あなた様との婚約を破棄したいと考えております」
王城で開かれている学園卒業のパーティー会場で、女性の声が会場を支配する。
オーケストラの演奏がバックで流れているのにも関わらず、その声は会場にいる人の耳に届いてしまった。
会場内で先ほどまでの賑わいは消え去り、演奏の音だけが鳴り響く。
集まった貴族たちは息をひそめ、話の行き先を見守っている。
やはりこうなってしまうか。
顔がにやけるのを抑えるのが大変だ。
「わかった。婚約破棄の申し入れを受け入れるよ。ミラ嬢はどうするんだ?」
クリスの腕に抱き着いている姿からその答えはわかっているが、これは聞いておきたい。
ミラの口から聞きたい。
取り消しがきかない言葉を。
「私は隣にいるクリス様のことをお慕いしております。そのまま婚約して結婚するつもりです」
ありがとう。
その言葉が聞きたかったんだ。
隠しているはずの笑みがこぼれてしまう。
なんでこんなに単純なのだろうか。
弱っているところに異性が優しくするとコロッと落ちてしまうものなのか?
人間の感情は思っているよりも単純に作られているのかもしれない。
それに婚約?結婚?面白すぎるからやめてほしい。
こんなにも綺麗に舞ってくれるとは……癖になってしまうではないか。
周りの貴族は驚き、小声で隣の人と話ししているが。
「クリス。お前も同じ気持ちか?」
「いえ、私はただレオ殿下の指示によりミラ嬢の相談にのっていただけです」
「そうか。ミラ嬢はもう僕の婚約者ではない。その指示は取り消そう」
「はっ」
そういうとクリスはミラの腕から逃れ、僕の隣に立つ。
僕は今どんな表情をしているだろうか。
悪魔のように見えているかな?
ちゃんと笑みを隠せているだろうか?
「そ、そんな。お付き合いもしていたじゃない」
ミラは貴族令嬢にはそぐわぬ大声をあげる。
「なんのことを仰っているのかわかりません」
表情を変えることもなく淡々とクリスは告げる。
ミラは泣き崩れるように床へと座りこんでしまった。
あー、哀れだ。
「皆の者に伝えねばならぬことがある」
静まりかえっていた会場に威厳のある声が響き渡る。
僕の父、ネスト王国の王の声だ。
「今日をもち、第一王子であるロスト・フォン・パリセクトを王族から除籍とする。そして、そこにいるレオ・フォン・パリセクトを王位継承権第一位とし、次期王として扱うものとする」
今まで静観を貫いていた貴族は王の言葉で驚愕の表情を見せている。
声に出さないだけの貴族の矜持は持ち合わせているようだが。
心の中では、どれだけの叫びが聞こえるのだろうか。
僕から離れていった人々を見るが、どれも顔を青ざめ、絶望に染まっている。
親と違い、子供の方は内心を隠せていない。
汗を流し、ぶつぶつとつぶやいている者。
声を抑えきれず荒げている者。
僕は一回嘘をついただけ、君たちからいなくなったんだよ?
友を大切にしようね。
ミラを見ると、もう人前で見せる顔をしていない。
嘘よ。と何回も嘆いているようだが。
これは嘘じゃないよ。
僕が嘘をついたのは一回だけ。
それに踊らされて、周りが勝手に僕の手のひらの上で綺麗に舞ってくれていただけだ。
実に見ごたえがある人間ショーだったよ。
王の隣に立ち、会場を見渡していく。
絶望を浮かべている顔、信じていたと顔を明らめている友の顔。
それを見渡しながら僕は言う。
「これからもよろしくね」
ただ、友に伝えるためだけの優しい声で。
王城で開かれている学園卒業のパーティー会場で、女性の声が会場を支配する。
オーケストラの演奏がバックで流れているのにも関わらず、その声は会場にいる人の耳に届いてしまった。
会場内で先ほどまでの賑わいは消え去り、演奏の音だけが鳴り響く。
集まった貴族たちは息をひそめ、話の行き先を見守っている。
やはりこうなってしまうか。
顔がにやけるのを抑えるのが大変だ。
「わかった。婚約破棄の申し入れを受け入れるよ。ミラ嬢はどうするんだ?」
クリスの腕に抱き着いている姿からその答えはわかっているが、これは聞いておきたい。
ミラの口から聞きたい。
取り消しがきかない言葉を。
「私は隣にいるクリス様のことをお慕いしております。そのまま婚約して結婚するつもりです」
ありがとう。
その言葉が聞きたかったんだ。
隠しているはずの笑みがこぼれてしまう。
なんでこんなに単純なのだろうか。
弱っているところに異性が優しくするとコロッと落ちてしまうものなのか?
人間の感情は思っているよりも単純に作られているのかもしれない。
それに婚約?結婚?面白すぎるからやめてほしい。
こんなにも綺麗に舞ってくれるとは……癖になってしまうではないか。
周りの貴族は驚き、小声で隣の人と話ししているが。
「クリス。お前も同じ気持ちか?」
「いえ、私はただレオ殿下の指示によりミラ嬢の相談にのっていただけです」
「そうか。ミラ嬢はもう僕の婚約者ではない。その指示は取り消そう」
「はっ」
そういうとクリスはミラの腕から逃れ、僕の隣に立つ。
僕は今どんな表情をしているだろうか。
悪魔のように見えているかな?
ちゃんと笑みを隠せているだろうか?
「そ、そんな。お付き合いもしていたじゃない」
ミラは貴族令嬢にはそぐわぬ大声をあげる。
「なんのことを仰っているのかわかりません」
表情を変えることもなく淡々とクリスは告げる。
ミラは泣き崩れるように床へと座りこんでしまった。
あー、哀れだ。
「皆の者に伝えねばならぬことがある」
静まりかえっていた会場に威厳のある声が響き渡る。
僕の父、ネスト王国の王の声だ。
「今日をもち、第一王子であるロスト・フォン・パリセクトを王族から除籍とする。そして、そこにいるレオ・フォン・パリセクトを王位継承権第一位とし、次期王として扱うものとする」
今まで静観を貫いていた貴族は王の言葉で驚愕の表情を見せている。
声に出さないだけの貴族の矜持は持ち合わせているようだが。
心の中では、どれだけの叫びが聞こえるのだろうか。
僕から離れていった人々を見るが、どれも顔を青ざめ、絶望に染まっている。
親と違い、子供の方は内心を隠せていない。
汗を流し、ぶつぶつとつぶやいている者。
声を抑えきれず荒げている者。
僕は一回嘘をついただけ、君たちからいなくなったんだよ?
友を大切にしようね。
ミラを見ると、もう人前で見せる顔をしていない。
嘘よ。と何回も嘆いているようだが。
これは嘘じゃないよ。
僕が嘘をついたのは一回だけ。
それに踊らされて、周りが勝手に僕の手のひらの上で綺麗に舞ってくれていただけだ。
実に見ごたえがある人間ショーだったよ。
王の隣に立ち、会場を見渡していく。
絶望を浮かべている顔、信じていたと顔を明らめている友の顔。
それを見渡しながら僕は言う。
「これからもよろしくね」
ただ、友に伝えるためだけの優しい声で。
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