写メなし日記

ex.おぼろ

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普段セブで働いている同僚が帰国しているから と、急遽池袋で飲み会になった

13時まで高円寺で予定があるけれど、夜なら良いか
と快諾してしまったせいで、見事に5時間のエクストラタイムが発生してしまった

池袋ぷらついてもパチスロでお金を溶かすのが目に見えているので、1駅先の地元で下車。

前に住んでたアパートを覗きに行く。
当時の部屋はきちんとベランダに洗濯機が置かれて、洗濯物を干す紐もかけられていた。

目の前のアパートの掲げていた「シ      マン」というボロボロの看板は、「シャルマン」という看板に付け替えられていた。

子供の頃、お祭りで山車を引くと無料券が貰えて入りに行った銭湯は、数年前から工事していたけれど、とてもキレイなマンションに変わっていた。



馴染みの店で時間を潰したいと思ったけれど、どこも休業か、夕方からの営業。
当時のナカマ達はきっとまだ寝ている時間だろう。

あの頃は、開店前の昼間だろうがシャッターが閉まっていようがドアを開けば知った顔がもう(まだ)飲んでいて

「ーーーちゃん!遅かったじゃん!」
「今日釣ってきた魚あるよ!たべる?」
「ゲームしよ~!」

暗くなるまで、それから明るくなるまで飲んで喋った。

当時は酒飲みの溜まり場だった店の前には、高校生がたむろしていた。

少しだけ、少しだけ、少しだけ期待してシャッターの閉まった店のドアをこっそり引いてみる



高校生に変な人だと思われないように、こっそり。

ガチャ

っと音がして、

ドキっ

としたけれど、やっぱり開かなかった。


「ーーーちゃん!」

あの声に、そう呼ばれた気がした
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