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7話 突然の告白
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先日のマスターの言葉に甘えて、今日はマスターの店で飲むことになっている。
それもあってか、店もいつもより早めに閉めたらしい。
約束の時間に店へ向かうと、既に「CLOSE」の札が掛かった扉。
事前に「入っていい」と聞いていたから、俺は恐る恐るその扉を開けた。
「来たわね!ちょっと座って待っててちょうだい」
そういってバタバタと酒とつまみを準備しているマスター。
知り合いだけで飲む会だから、どこか楽しそうだ。
手伝おうと声をかけたが「座ってなさい!」の一言で押し切られてしまった。
ほどなくして、扉のベルがまた鳴る。薫君だ。
普段は会社員として働く彼は、マスターと同じ二十七歳だが、若いのに重要な役職に就いていると以前聞いたことがある。
「遅れてすみません」
「俺達も今着いたところだよ」
そんな感じで、四人の飲み会が始まった。
「初めまして。板橋賢誠と申します」
「やだ、そんな堅苦しく話すのはやめましょ」
「そうですよ。それに俺たち歳下ですし、気にしないでください」
賢に飲み会を提案したら、案外あっさりOKが出た。
まぁ、もともと社交的な賢のことだし、俺のパートナーである薫君にも興味があったのだろう。
──それにしても、マスターの機嫌がいつも以上に良い気がする。
「南さん」
「あ、な、何?」
「飲み物何にします?」
そう薫君に聞かれ、マスターが用意してくれたビール瓶を頼む。
自分でもできるのに、薫君はいつも身の回りのことをよく気にかけてくれる。
けど、最近特にそれが顕著というか、どこか、”甘い”──。
賢はそれを見て、どこか含みのある笑いを浮かべている。なんだか気まずい。
それからは、マスターが出してくれた料理と酒で会話が弾んだ。
賢も楽しそうだし、俺も体調を気にせず皆と過ごせるのが何気に嬉しくてつい酒が進んでしまう。
「南さん、起きて、風邪ひいちゃいますよ」
「潰れたね、南そんな酒強くないから」
「なら奥の部屋で休ませてあげたら? 帰るの難しいでしょ、その状態じゃ」
久しぶりの呑みが楽しくてつい気が抜けた。
意識はあるけど夢うつつで、三人の声が遠くに聞こえる。
ほどなくして、身体がふわりと浮くような浮遊感と、暖かい何かに包まれる感覚。
それに揺れも加わり、余計に睡魔に誘われる。
だが、その揺れる感覚が止むと、どこか知っている柔らかさへ身体が沈み、同時にその温もりが離れていく。
それに俺は思わず瞳を開けた。
「あ、南さん。 大丈夫ですか?気持ち悪いとか──」
薫君だ。それにここは薫君とプレイをするいつもの部屋。
さっきの揺れと温もりは、彼が俺を運んできてくれたせいだろう。
薫君はベッドの端に腰掛け、俺の様子を覗き込んでいる。
「寝てて大丈夫ですよ。 俺水持って──」
そう言って立ち上がろうとする薫君。
だが、それと同時に、”身体が勝手に動いた。”
「ん、南さん?」
酒の残る曖昧な意識のまま、気づけば俺は薫君の袖を掴んでいた。
自分でも理由がわからず、黙って固まる。
「ご、ごめ──」
謝ろうとした途端、薫君が俺を抱き寄せた。
プレイではない、優しい抱擁。
それが妙に照れくさくて、けれど温かくて、俺はその腕に身を預けてしまう。
それが引き金だったのだと思う。
「南さん、嫌だったらセーフワード言ってください」
セーフワード…?って、これからプレイするのか。
そう思った瞬間、コマンドが落とされた。
「”Strip”」
「え……」
そのコマンドに、身体は勝手にシャツのボタンへ指をかける。
ひとつ、またひとつ。
いつもと違う薫君の空気と、どこか一線を越えるようなコマンド。
俺の心臓は一気に煩くなり、頭の中は困惑に染まる。
それから全てのボタンを外し終え、おずおずとブラウスを脱ぐ。
上半身は裸になったけど、ここからどこまで脱ぐべきなのか。
考えに考え、手が宙をさまよう。
「上だけで大丈夫ですよ。今度はベットにRoll」
困惑を察したように薫君が声をかけ、続けざまにコマンドが飛ぶ。
俺はまたも抗うことなく、ベッドを背にして寝そべった。
けど、じっと見つめる薫君の視線に、恥ずかしさがこみ上げ、つい腕で身体を隠す。
そんな俺の腕に、薫君はそっと触れた。
「力抜いてください」
気づかないうちに全身が強張っていたらしい。
ふと、力を抜くと、その瞬間、俺の手は優しく頭の上へ導かれていった。
「薫さん、色白ですね」
「あ、あんまり外にでないから、かな」
そんな軽い会話を交わしても、落ち着くどころか胸がますますざわつく。
薫君は俺の身体をじっくり見つめ、空いた手を腹の上に滑らせた。
「ひっ……」
驚いて声が漏れるが、彼の手は止まらない。
「か、薫君っ…、──」
首から鎖骨、そして胸元へと口づけ、舌を這わす薫君。
その光景があまりにも官能的で見ていることもできず、その初めて与えられる感覚に心臓が跳ね上がり、身を捩って紛らわす。
けど、薫君の体温が逃がさないとばかりに覆いかぶさってきて、自分のものとは思えない声まで漏れそうになる。
しだいにその施される行為がくすぐったいからもどかしいに変わったとき、ふと薫君が顔を上げた。
「南さん、これ苦しそう」
その言葉と同時にある一点に感じた刺激。
驚きにその先に視線を送ると──ズボンの上からでもわかるほど、俺のものが熱をもって痛いほど主張していた。
「あ、……っ」
余りの恥ずかしさに一気に思考が停止する。
「ご、ごめん…! トイレに──」
「Stop」
とにかく身を隠せる場所へ避難しようと思ったのに、即座に静止された。
その甘くも鋭さを持ったコマンドに、針金を通されたように身体が固まる。
そうして服の上からゆっくりと撫でられ、さらに緊張感が増した。
コマンドに逆らえない身体では、薫君の服をただ握ることしかできない。
いつの間にか俺の前をくつろげた薫君は、空気に晒され透明な蜜を溢れさせる俺のものに直接、緩やかな刺激を与え始めた。
「ふふ、震えてる。早く出したいですか?」
その言葉を肯定も否定もせず、俺はただただ与え続けられる刺激に身を震わせ耐えていた。
それを肯定ととったのか徐々にその刺激が強まり、一気に快感を引き上げられた。
「も、むり……ッ」
「嫌ならセーフワードを」
そう言われるけど、言えない。
そこでふと、気づいた。
俺──全然嫌じゃない……。
本当なら恋人とするような行為なのに。今も薫君からされる行為を受け入れてしまっている。
けれど、その理由を考える間もなく、俺は堪えきれず頭が白くなる。
「イクっ……!」
そうして吐き出された欲と、乱れた息だけが部屋に残る。
「南さん、よくできましたね。Good boy」
その一言が冷めやらぬ胸を一層熱くさせた。
だが、次の言葉で、心臓が別の意味で跳ねた。
「南さん、好きです」
「え?」
「俺、──南さんのことが好き」
それもあってか、店もいつもより早めに閉めたらしい。
約束の時間に店へ向かうと、既に「CLOSE」の札が掛かった扉。
事前に「入っていい」と聞いていたから、俺は恐る恐るその扉を開けた。
「来たわね!ちょっと座って待っててちょうだい」
そういってバタバタと酒とつまみを準備しているマスター。
知り合いだけで飲む会だから、どこか楽しそうだ。
手伝おうと声をかけたが「座ってなさい!」の一言で押し切られてしまった。
ほどなくして、扉のベルがまた鳴る。薫君だ。
普段は会社員として働く彼は、マスターと同じ二十七歳だが、若いのに重要な役職に就いていると以前聞いたことがある。
「遅れてすみません」
「俺達も今着いたところだよ」
そんな感じで、四人の飲み会が始まった。
「初めまして。板橋賢誠と申します」
「やだ、そんな堅苦しく話すのはやめましょ」
「そうですよ。それに俺たち歳下ですし、気にしないでください」
賢に飲み会を提案したら、案外あっさりOKが出た。
まぁ、もともと社交的な賢のことだし、俺のパートナーである薫君にも興味があったのだろう。
──それにしても、マスターの機嫌がいつも以上に良い気がする。
「南さん」
「あ、な、何?」
「飲み物何にします?」
そう薫君に聞かれ、マスターが用意してくれたビール瓶を頼む。
自分でもできるのに、薫君はいつも身の回りのことをよく気にかけてくれる。
けど、最近特にそれが顕著というか、どこか、”甘い”──。
賢はそれを見て、どこか含みのある笑いを浮かべている。なんだか気まずい。
それからは、マスターが出してくれた料理と酒で会話が弾んだ。
賢も楽しそうだし、俺も体調を気にせず皆と過ごせるのが何気に嬉しくてつい酒が進んでしまう。
「南さん、起きて、風邪ひいちゃいますよ」
「潰れたね、南そんな酒強くないから」
「なら奥の部屋で休ませてあげたら? 帰るの難しいでしょ、その状態じゃ」
久しぶりの呑みが楽しくてつい気が抜けた。
意識はあるけど夢うつつで、三人の声が遠くに聞こえる。
ほどなくして、身体がふわりと浮くような浮遊感と、暖かい何かに包まれる感覚。
それに揺れも加わり、余計に睡魔に誘われる。
だが、その揺れる感覚が止むと、どこか知っている柔らかさへ身体が沈み、同時にその温もりが離れていく。
それに俺は思わず瞳を開けた。
「あ、南さん。 大丈夫ですか?気持ち悪いとか──」
薫君だ。それにここは薫君とプレイをするいつもの部屋。
さっきの揺れと温もりは、彼が俺を運んできてくれたせいだろう。
薫君はベッドの端に腰掛け、俺の様子を覗き込んでいる。
「寝てて大丈夫ですよ。 俺水持って──」
そう言って立ち上がろうとする薫君。
だが、それと同時に、”身体が勝手に動いた。”
「ん、南さん?」
酒の残る曖昧な意識のまま、気づけば俺は薫君の袖を掴んでいた。
自分でも理由がわからず、黙って固まる。
「ご、ごめ──」
謝ろうとした途端、薫君が俺を抱き寄せた。
プレイではない、優しい抱擁。
それが妙に照れくさくて、けれど温かくて、俺はその腕に身を預けてしまう。
それが引き金だったのだと思う。
「南さん、嫌だったらセーフワード言ってください」
セーフワード…?って、これからプレイするのか。
そう思った瞬間、コマンドが落とされた。
「”Strip”」
「え……」
そのコマンドに、身体は勝手にシャツのボタンへ指をかける。
ひとつ、またひとつ。
いつもと違う薫君の空気と、どこか一線を越えるようなコマンド。
俺の心臓は一気に煩くなり、頭の中は困惑に染まる。
それから全てのボタンを外し終え、おずおずとブラウスを脱ぐ。
上半身は裸になったけど、ここからどこまで脱ぐべきなのか。
考えに考え、手が宙をさまよう。
「上だけで大丈夫ですよ。今度はベットにRoll」
困惑を察したように薫君が声をかけ、続けざまにコマンドが飛ぶ。
俺はまたも抗うことなく、ベッドを背にして寝そべった。
けど、じっと見つめる薫君の視線に、恥ずかしさがこみ上げ、つい腕で身体を隠す。
そんな俺の腕に、薫君はそっと触れた。
「力抜いてください」
気づかないうちに全身が強張っていたらしい。
ふと、力を抜くと、その瞬間、俺の手は優しく頭の上へ導かれていった。
「薫さん、色白ですね」
「あ、あんまり外にでないから、かな」
そんな軽い会話を交わしても、落ち着くどころか胸がますますざわつく。
薫君は俺の身体をじっくり見つめ、空いた手を腹の上に滑らせた。
「ひっ……」
驚いて声が漏れるが、彼の手は止まらない。
「か、薫君っ…、──」
首から鎖骨、そして胸元へと口づけ、舌を這わす薫君。
その光景があまりにも官能的で見ていることもできず、その初めて与えられる感覚に心臓が跳ね上がり、身を捩って紛らわす。
けど、薫君の体温が逃がさないとばかりに覆いかぶさってきて、自分のものとは思えない声まで漏れそうになる。
しだいにその施される行為がくすぐったいからもどかしいに変わったとき、ふと薫君が顔を上げた。
「南さん、これ苦しそう」
その言葉と同時にある一点に感じた刺激。
驚きにその先に視線を送ると──ズボンの上からでもわかるほど、俺のものが熱をもって痛いほど主張していた。
「あ、……っ」
余りの恥ずかしさに一気に思考が停止する。
「ご、ごめん…! トイレに──」
「Stop」
とにかく身を隠せる場所へ避難しようと思ったのに、即座に静止された。
その甘くも鋭さを持ったコマンドに、針金を通されたように身体が固まる。
そうして服の上からゆっくりと撫でられ、さらに緊張感が増した。
コマンドに逆らえない身体では、薫君の服をただ握ることしかできない。
いつの間にか俺の前をくつろげた薫君は、空気に晒され透明な蜜を溢れさせる俺のものに直接、緩やかな刺激を与え始めた。
「ふふ、震えてる。早く出したいですか?」
その言葉を肯定も否定もせず、俺はただただ与え続けられる刺激に身を震わせ耐えていた。
それを肯定ととったのか徐々にその刺激が強まり、一気に快感を引き上げられた。
「も、むり……ッ」
「嫌ならセーフワードを」
そう言われるけど、言えない。
そこでふと、気づいた。
俺──全然嫌じゃない……。
本当なら恋人とするような行為なのに。今も薫君からされる行為を受け入れてしまっている。
けれど、その理由を考える間もなく、俺は堪えきれず頭が白くなる。
「イクっ……!」
そうして吐き出された欲と、乱れた息だけが部屋に残る。
「南さん、よくできましたね。Good boy」
その一言が冷めやらぬ胸を一層熱くさせた。
だが、次の言葉で、心臓が別の意味で跳ねた。
「南さん、好きです」
「え?」
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