愛を知らない少年たちの番物語。

あゆみん

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7話 ギルド

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「それじゃ、行ってくるよ」

「気をつけていってらっしゃい。太一君、歩夢君も無理はしちゃダメよ。何かあったらすぐベンに言いなさいね」

リサさんは優しく見送ってくれる。

「気をつけて行ってきます」
「…行ってきます」

出かける前、ベンさんからここは都心から離れていると聞いたが、どんな街なのか想像もつかない。
それでも、未知の場所に向かうワクワク感が胸を満たす。

一方、歩夢はまだ少し緊張しているようだ。肩がこわばり、力が入っている。

「歩夢、何か心配なこととか、気になることがあったら、すぐ兄ちゃんに言えよ?」

歩夢は小さく頷いた。

暫く歩くと、人通りが徐々に増え、街の入り口らしき門にたどり着いた。
門の前には騎士のような人物が立ち、一人一人身元を確認している。
順番が回ってくると、ベンさんが身分証を差し出し、町を訪れた目的を簡単に説明した。

「ご苦労様。まずこれが身分証で、街へはこの子たちの身分証発行と養子申請をしにきた」

「左様でしたか!確認がとれましたので通っていただいて大丈夫です。お気をつけて!」

こうして、俺たちは無事に門を通過できた。ほっと胸をなでおろす。

「改めて、ようこそ二人とも。ここが私たちの住む街、ノウゼンカズラだよ」

ベンさんの声に導かれ、俺たちは息を呑む。

「うわぁ……、綺麗──」

思わず言葉が漏れるのも無理はない。町全体が輝いて見えたのだ。
光そのものが放たれているわけではないが、日本では見ない景色に、自然と見惚れてしまう。

「さぁ、早速ギルドへ行こうか」

街中には気になる店が次々と現れるが、今日の目的は身分証の発行だ。
今度またゆっくり見に来よう、と心に決める。

そうしてキョロキョロしているうちに、ギルドへ到着した。
扉をくぐると、逞しい男たちが数多く立っていて、俺たちなんか、一捻りにされそうなほど身体が大きい。

それに、なんか見られている気がする。
やっぱり落ち人は珍しい存在なんだろうか。

隣を見ると、歩夢の肩が微かに震えている。
大勢の野郎どもに囲まれ、歩夢からすれば怖いのも当然だろう。

どんな手続きをするかわからないけど、とにかく早く済ませて家へ戻りたい。
ベンさんも俺たちの様子を気遣ってか、早く終わらせて、家で休もうと提案してくれた。

「こんにちは。本日はどのようなご用件でしょうか?」

「今日はこの子たちの身分証を発行しに来たんだが、お願いできるだろうか?」

「かしこまりました。少々お待ちください」

そう言って受付のお姉さんはどこかへ行き、しばらくして手に水晶のようなものを持って戻ってきた。

「これからこちらの水晶で、タグに登録する基本情報を読み取ります。その際、魔力の適性やスキルもわかりますので、今後の職業などに活かしてください。なお、タグ自体が身分証となりますので、無くさないようご注意ください。何か質問はございますか?」

「一つ、いいですか?」

「何でしょう?」

「その基本情報って、他の人にも開示されますか?」

万が一、見られてはいけないことが書かれていたら、リサさんやベンさんに迷惑をかける可能性を考え、俺は慎重になる。

「心配いりません。登録時に情報が他者に開示されることはありません。また、タグに登録された情報も、自分が許可した人物にしか見えないよう設定可能です」

お姉さんの説明に、一つ息を吐き安心する。
もし追加で疑問があれば、あとは家に戻ってからにベンさんに確認すればいい。

「では、質問がなければ登録を始めます。一人ずつ手をかざしてください」

その指示に従い、俺たちは一人ずつ手をかざし、タグの登録を済ませた。

俺にはどんなスキルがあるんだろう…銀師として役立つものなら嬉しいんだけど──。

何はともあれ、身分証の発行と養子申請を無事に終えた俺たちは、お礼を述べてギルドを後にした。

───────────────────

【side*冒険者たち】

太一たちがギルドを去った後、ギルド内はちょっとした騒ぎとなっていた。

「おい、あの子たち見たか!」

「おう、見たぜ。久しぶりに落ち人を見たな」

「だな。あれは可愛すぎる…」

「片方は可愛らしい顔、もう片方は整った綺麗な顔立ちで、どっちもすごく目立つな」

「だなだな!しかもあの綺麗な落ち人さん、ツンとした雰囲気がなんとも魅力的だぜ」

「いや、それを言うなら、小動物みたいにプルプル震えてる方も良い味出してるぞ」

「ありゃ、すぐ食われちまいそうだな」

「いやいや、あのベンさんが保護者だから手を出したら最後だ」

「ベンさんが保護者ってことは、リサさんも一緒か」

「あの二人が揃ったら、大抵の奴は太刀打ちできないだろうな。下手したら命が危ない」

「あの子たちも運が良かったな。あの二人が保護者なら心配はなさそうだ」

そうして、瞬く間に二人の愛らしい落ち人の噂が街へと広まった。

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