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14話 対策

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「まず運命の番に関して少し質問があるんですけど、どうやって運命の番ってわかるんですか?」

「匂いでわかるんだよ。」

「匂い?、匂いでわかるってどういうことですか?」


「運命の番はとてもいい匂いがするんだ。私はそこまで嗅覚のいい種族ではないがリサに出会った瞬間すぐに運命の番だとわかった。龍族や狼族などの嗅覚が優れている種族だと遠く離れていてもわかる者もいると聞く。」

「なるほど、それじゃその匂いが無かったら番だと気付かれないってことですか?」

「そうねぇ、経験したことがないからなんとも言えないのだけど、匂いがしなければ運命の番だとバレる可能性は低いわ。」

「わかりました。その話を聞いた上で少し考えがあります。」

「考え?」

「はい。俺のスキルが隠蔽と錬金術だったのは二人とも確認したと思います。そこでそれを歩夢のことに活かせるんじゃないかと考えました。」

「えーと、どういうことだい?」

「俺もといた世界で銀師って言う仕事をしていたんです。耳飾りや髪飾りとかを作る職業とでも思ってください。
そこで錬金術を使ってうまく作業を効率化できないかなって考えたんです。」

「なるほど、たしかに錬金術を持つ者は武器や家具なんかの工房で働いてる者が多い。よく考えたね。」

「でもそれって歩夢ちゃんのことにどう関係しているの?」

「俺の持つ隠蔽スキルで運命の番を阻害して歩夢を隠すんです。具体的にはその阻害効果を耳飾りに組み込むというものです。それを聞いてみて二人の意見を聞きたいんですがどう思いますか?」


「太一ちゃんよく思いついたわね。
たしかに魔力増強なんかの魔具があるからそれも不可能ではないと思うわ。」

「そうだな。隠蔽スキル自体初めて見たからなんとも言えないができる可能性は十分にあると思う。」


二人がこう言ってくれてるんだ。
失敗するとしてもやってみる価値はある。


「二人ともありがとうございます。
あ、あとこれはお願いになっちゃうんですけど魔法を教えてくれませんか?」


「もちろん!魔法なら得意分野なの!」

「あぁ、腕の見せ所だな。」

「ありがとうございます。」

「…あの、僕もやりたいです。」

「あら!歩夢ちゃんが自発的に何かしたいなんて言うのはじめてね。わたし張り切っちゃうわ。」

そうリサさんは楽しそうに話す。

「よし決まりだな。早速明日から始めてみようか。とりあえず今日はいろんなことがあって疲れたろう。ゆっくり休みなさい。」

「はい!ありがとうございます。明日からよろしくお願いします。おやすみなさい。」

「ぉ、おやすみなさい。」

そうして俺たちは寝床についた。







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