愛を知らない少年たちの番物語。

あゆみん

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16話 性奴隷

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ガチャガチャ。

何の音だ……?
どこかで聞いたような、嫌な金属音。

ガチャガチャ。

その音が強く響くたび、沈んでいた意識が引きずり上げられていく。

目を開けた瞬間、胸が冷たくなる。
自分の首と手首に鎖がついていて、すべてが檻の中心に向かって張られていた。

なんだよ、これ……。

必死で振りほどこうとしても、鎖はびくともしない。

「おー、やっとお目覚めか。ちょうどいい、次はお前の出番だぞ。大物釣り上げてくれよな、ハハッ」

声の主は変なマスクで顔のほとんどが隠れていて、手には鞭。
距離を置いてもわかる、どうしようもなく“やばい奴”の空気。

「それでは皆さんっ! 本日の目玉商品でございます! どうぞご覧ください!」

掛け声と同時に、檻の前が一気に明るくなった。
眩しさより先に、周りから湧くどよめきが耳を刺す。
体の奥がざわついて、頭がついていかない。

「こちら、落ち人の青年! 貴重なレア商品です! さあ!いかがでしょうか!」

「1200!」

「1420。」

「俺は1600だ!」

数字だけが勝手に積み上がっていく。
…どうすればいい?
魔法を使おうとしても力が入らない。
視界もぼやけて頭がぼんやりしている。何か飲まされた…?

ドンッ、ドン!

「4500ゴールドで落札! おめでとうございます!」

その掛け声に自然と身体が震えた。

スタッフらしき男が鎖を乱暴に引っ張る。
その際、逃げようと抵抗したのが相手を刺激してしまい、思いっきり床に叩きつけられた。
額を伝う生ぬるい感覚、頭の端が切れたらしい。

俺は意識も眩む中、何もできない自分に悔し涙を浮かべた。
その瞬間だった。

ドォゴォオオオォン‼︎

壁が吹き飛んだような轟音。
粉塵の中から聞こえた声は、聞き慣れたはずなのに別人みたいだった。

「おい貴様ら。──私の息子に、何をしてるんだ」

そこに立っていたのは、怒りを隠そうともしないベンさん。
見たことのない顔。周囲に圧をかけながら、攻撃魔法を放つ。

俺、勝手にはぐれて……迷惑ばっかり……助けに来てくれたのに……ごめん…なさ──。

意識が、また遠のいていった。

───────────────────

side 騎士団

「うわ、なんだこの惨劇……」

現場には、泡を吹く貴族らしき連中や、両腕を折られた調教師らしき男が転がっていた。
壁も天井も崩れていて、まるで嵐が通過したあとの建物だ。

「どっかのバカ共が、あのベンさんの義息子に手ぇ出したらしい。命知らずにもほどがある」

「元魔術師団長だろ? 敵うわけないじゃん。下手したらこの区画ごと吹っ飛ぶ人だぞ……」

「被害者の義息子くんは、ベンさんが抱えて帰ったよ」

「俺、正直ちびるかと思った……あの威圧はヤバい……」

「それより、その子大丈夫か?」

「媚薬盛られてたらしい。身体はしばらくきついだろうな」

「早く元気になるといいけどな」

───────────────────
side ベン

奴隷商が街に紛れ込んでいたとは……。
手遅れになる前に助けられてよかったが、太一くんの様子はひどく辛そうだった。媚薬の影響だろう。

「ただいま」

「おかえりなさ──って、どうしたのっ!?」

「太一兄ちゃん……!」

「少しトラブルがあった。街に奴隷商がいて、一瞬はぐれた隙に…すまない」

「とにかく休ませましょう!」

太一くんを横抱きのままベッドへ下ろした瞬間、彼がうっすらと目を開けた。

「太一くん、聞こえるか。助けるのが遅くなってしまってすまない」

「……いいえ……も、もとは……俺が……はぐれて……っ、ごめ、なさい……」

涙を流しながら、息も続かない状態で謝ってきた。

「理由があったんだろう。後でちゃんと聞く。今は休みなさい」

そう言って、太一くんに魔法をかけ、静かに眠らせた。
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