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18話 精霊との契約 side歩夢
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気づかないふりをしていたけれど、本当は知っていた。
太一兄ちゃんが、最近無理をして夜遅くまで作業していたことを。
だから、少しでも兄ちゃんの力になりたくて、リサさんに編み物を教えてもらって、こっそりプレゼントを作っていた——その矢先だった。
今日、兄ちゃんは奴隷商人に捕まって、売られそうになった。
それだけで胸が締めつけられたのに、まさか優ちゃんがこの世界で“生きてるかもしれない”なんて。
みんなは僕を不安にさせないように隠していたみたいだけど、聞こえてしまった。
聞こえて、しまったんだ。
そこで僕は決めた。
太一兄ちゃんを守れるくらい強くなる。
もし本当に優兄ちゃんが生きているなら、今度は僕が助ける。
二人とも、守りたい。
そんなとき、ちょうど良くある人物がやってきた。
「あゆむ~、おなかすいた~。なんかちょうだ~い」
「メルエム……」
僕は太一兄ちゃんにも、ベンさんたちにも秘密にしていることがある。
それは——”精霊と話せる”ということ。
つい最近知ったばかりだけど、精霊いわく“話ができる人間なんて三百年ぶり”なんだとか。
僕自身、実感は湧かない。
「…ねぇメルエム、《契約》について教えてほしい」
「やっと聞く気になったんだね歩夢! 僕、感激! 口説き続けた甲斐があった~!」
メルエムは出会ったときから、契約しよう契約しようと、熱心に言ってきていた。
彼いわく、僕の魔力は“とびきり美味しい”らしく、独り占めしたいらしい。
契約を結ぶと精霊魔法が使えるようになるらしいけど、詳しい仕組みはまだ知らない。
「じゃあ説明するよ! 僕ら精霊と契約できるのは、精霊と会話できる者だけ。これは知ってるよね?」
「うん」
「契約を結ぶと、その精霊の魔法を全部使えるようになる。僕の属性は水を応用した氷魔法だから、僕と契約すれば歩夢も全部扱える! しかも僕は上位精霊だから、水魔法の適性を強化してあげられるよ。じゃんじゃん使ってね!」
「メルエムって……すごいんだね」
「やっと気づいたの!? 歩夢ったら!」
「でも、そんなに強い魔法が使えるなら……代償もあるよね?」
メルエムは少し黙り、それから優しい声で言った。
「歩夢は聡いね。魔力の味も好みだし、ほんとにタイプだよ。そうだね、単刀直入に言うと——精霊魔法を使えば使うほど、歩夢の寿命は減る」
やっぱり。
強い力には、それ相応の代償があるんだ。
「質問してもいい?」
「もちろん!」
「契約しても……精霊魔法を使わなければ、寿命は減らない?」
「その通り! 使わなければ大丈夫。けど、一度結んだ契約は解消できない。さて、どうする?」
僕は少しだけ、胸の奥に浮かんだ迷いを噛みしめた。
でもすぐに答えは出た。
「……僕、いままで太一兄ちゃんにも優ちゃんにも守ってもらってばかりだった。今度は僕が守りたい。二人も、ベンさんも、リサさんも。みんなを守れるなら……寿命が減るのなんて怖くない。
メルエム、僕に力を貸してくれる?」
「ふふ……歩夢はほんと可愛いね。任せて。じゃあ契約を始めるよ」
うなずくと、メルエムが小さな体を寄せ、額をそっと僕の額へ当てた。
その瞬間、彼が静かに詠唱を紡ぎはじめる。
「我が名はメルエム。落ち人であり、精霊の愛し子・八雲歩夢に仕えし者。我は望まれる限り力を貸し、この身が尽きるまで汝に仕えることを誓う——」
詠唱が終わった途端、体が急に重くなり、まぶたが勝手に落ちてくる。
「おやすみ、歩夢。僕の主」
その言葉を最後に、僕は深い眠りへ沈んだ。
太一兄ちゃんが、最近無理をして夜遅くまで作業していたことを。
だから、少しでも兄ちゃんの力になりたくて、リサさんに編み物を教えてもらって、こっそりプレゼントを作っていた——その矢先だった。
今日、兄ちゃんは奴隷商人に捕まって、売られそうになった。
それだけで胸が締めつけられたのに、まさか優ちゃんがこの世界で“生きてるかもしれない”なんて。
みんなは僕を不安にさせないように隠していたみたいだけど、聞こえてしまった。
聞こえて、しまったんだ。
そこで僕は決めた。
太一兄ちゃんを守れるくらい強くなる。
もし本当に優兄ちゃんが生きているなら、今度は僕が助ける。
二人とも、守りたい。
そんなとき、ちょうど良くある人物がやってきた。
「あゆむ~、おなかすいた~。なんかちょうだ~い」
「メルエム……」
僕は太一兄ちゃんにも、ベンさんたちにも秘密にしていることがある。
それは——”精霊と話せる”ということ。
つい最近知ったばかりだけど、精霊いわく“話ができる人間なんて三百年ぶり”なんだとか。
僕自身、実感は湧かない。
「…ねぇメルエム、《契約》について教えてほしい」
「やっと聞く気になったんだね歩夢! 僕、感激! 口説き続けた甲斐があった~!」
メルエムは出会ったときから、契約しよう契約しようと、熱心に言ってきていた。
彼いわく、僕の魔力は“とびきり美味しい”らしく、独り占めしたいらしい。
契約を結ぶと精霊魔法が使えるようになるらしいけど、詳しい仕組みはまだ知らない。
「じゃあ説明するよ! 僕ら精霊と契約できるのは、精霊と会話できる者だけ。これは知ってるよね?」
「うん」
「契約を結ぶと、その精霊の魔法を全部使えるようになる。僕の属性は水を応用した氷魔法だから、僕と契約すれば歩夢も全部扱える! しかも僕は上位精霊だから、水魔法の適性を強化してあげられるよ。じゃんじゃん使ってね!」
「メルエムって……すごいんだね」
「やっと気づいたの!? 歩夢ったら!」
「でも、そんなに強い魔法が使えるなら……代償もあるよね?」
メルエムは少し黙り、それから優しい声で言った。
「歩夢は聡いね。魔力の味も好みだし、ほんとにタイプだよ。そうだね、単刀直入に言うと——精霊魔法を使えば使うほど、歩夢の寿命は減る」
やっぱり。
強い力には、それ相応の代償があるんだ。
「質問してもいい?」
「もちろん!」
「契約しても……精霊魔法を使わなければ、寿命は減らない?」
「その通り! 使わなければ大丈夫。けど、一度結んだ契約は解消できない。さて、どうする?」
僕は少しだけ、胸の奥に浮かんだ迷いを噛みしめた。
でもすぐに答えは出た。
「……僕、いままで太一兄ちゃんにも優ちゃんにも守ってもらってばかりだった。今度は僕が守りたい。二人も、ベンさんも、リサさんも。みんなを守れるなら……寿命が減るのなんて怖くない。
メルエム、僕に力を貸してくれる?」
「ふふ……歩夢はほんと可愛いね。任せて。じゃあ契約を始めるよ」
うなずくと、メルエムが小さな体を寄せ、額をそっと僕の額へ当てた。
その瞬間、彼が静かに詠唱を紡ぎはじめる。
「我が名はメルエム。落ち人であり、精霊の愛し子・八雲歩夢に仕えし者。我は望まれる限り力を貸し、この身が尽きるまで汝に仕えることを誓う——」
詠唱が終わった途端、体が急に重くなり、まぶたが勝手に落ちてくる。
「おやすみ、歩夢。僕の主」
その言葉を最後に、僕は深い眠りへ沈んだ。
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