愛を知らない少年たちの番物語。

あゆみん

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48話 恋敵?

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「「よし、これで完成だ。それにしても、早く爺さんに見せてぇな」

ヨーゼフ爺さんがぎっくり腰で倒れてから一週間。
店は臨時休業となり、俺はというと工房に引きこもるように作業を重ねていた。静かだが、どこか物足りない日々だ。

そんなとき、窓辺に羽音がして、小さな影がとまる。

「ぴー!ぴーぴー!」

ぴーすけだ。今日も変わらず、嘴に小さく光る石を咥えている。
俺が頭を撫でてやると喉を震わせて満足げに鳴き、石だけ置いて飛び去っていく。
毎度のことながら、持ってくる石は妙に綺麗だ。
磨いたわけでもないのに光の質が良い。

それがつい気になった俺は、アイザックにそれとなく聞いてみた。

───────────────────

「──ってことで何かわからないか?」

「お前から来るなんて、やっと俺に懐いたのかと思ったら石のことか」

そう言って、呆れたように額を弾かれる。
とはいえ、面倒くさそうにしながらも場所を教えてくれる。

「ここからそう遠くはないが、そんなに欲しいのか?」

「欲しいというか、知りたいというか、……あわよくば通いたいというか」

「…はぁー、しょうがねぇ。連れてってやる。ただし──俺も一緒だ。」

「え、俺一人でも…」

「治安が悪い場所なんだよ。一人で行かせられるか」

その石場までの道のりは治安が悪いらしく、その顔つきには妥協の余地がなかった。
結局アイザックも同行することで許可が下り、その夜、歩夢にも確認すると珍しく「行きたい」と即答された。
そうして、いつの間にかディランまで同行することになり、結局四人での外出となった。

───────────────────

「相変わらずだな、ここは」

「そうだね、早く行くとしよう」

久しぶりの顔ぶれで治安の悪い街道を進むと、空気の色まで濁って見える気がした。
路地の奥に座り込む人影は皆どこか投げやりで、目だけが異様に光っている。

歩夢は眉間に力を入れ、ディランは視線を絶やさず周囲を警戒している。
その様子に、俺も通り抜けるだけで、肌にひやりとまとわりつくような感覚がした。

「なぁ、あとどれくらいで着く?」

「あとちょっとだ、怖かったら手でもつなぐか?」

そう言って、アイザックが振り返り手を差しだしてきた。
それが、気遣いなのか冗談なのか、絶妙にわからず照れ臭さが勝ってしまい、思わずその手を押し返してしまう。

その時、前方から年季の入った声が響いた。

「アイザック!久しぶりじゃないか!」

そうアイザックに歩み寄ってきたのは、歳を重ねながらも艶やかさがあり、どこか惹かれる雰囲気を漂わせた女性だった。アイザックの反応から顔なじみなのがわかる。

「相変わらず元気そうでよかったよ。よければ寄ってくかい?あたしらのよしみだからちょっとまけとくよ」

「リリー、お前も相変わらずだな。あと、俺はもうそういうのはやらねぇ、好いてるやつを今口説き中なんだ。悪いな」

その女性の場慣れした目つき、言葉の柔らかい押し──一目で“客商売のプロ”だとわかる。
けどアイザックは親し気に話しながらも、迷いなく線を引いた。

「おや、あんなに冷めてた男が好きなやつなんて!あんたにもついに春が来たんかい!」

「あぁ、逃がしたくないんでな」

「随分本気じゃないか。今度ゆっくり話でも聞かせておくれよ」

女性は驚きながらもどこか嬉しそうに、微笑んでいる。
だけど、その直後、今度は若い女性が駆け寄ってきた。

「あ!アイザックさん!」

若い女が勢いよく駆け寄り、いきなり腕にしがみつく。
その仕草には、あざとさと“自分なら許される”という甘えが露骨に混じっていた。

その押し付けがましい匂いに、胸の奥で鈍い苛立ちが膨らむ。

「リリー!アイザックはもう相手がいるんだ。ちょっかいかけてないで部屋に戻りな」

「なんでよリリーさん!せっかく会えたのにっ。──それに相手って誰よ!」

「お前には関係ないことだ。それより、離せ」

「嫌っ!!」

リリーが止めても、女は振りほどき、ひたすらアイザックにしがみつこうとする。

どうしたもんか。知らない苛立ちを落ちつけようと、目をそらすと、少し離れた場所でディランも似たような状況に巻き込まれていた。
見目の良い男はどこでも狙われるらしい。そちらの女もまた、あからさまな態度だ。
不意に横をみると、歩夢も落ち着かない顔をしている。それどころか──これ、怒ってないか?

そのことに少し驚きながらもその光景を傍観していると、女がようやく俺たちの存在に気づき、こちらを見た。
その目が、露骨に「敵」を見つけた獣のように尖る。

「もしかして、あんた?」

舌打ちのような声で吐き捨ててくる。

「どんな手使ったか知らないけど、あんたみたいな貧相な男じゃアイザックさんの相手は務まらないから。分かったら、どっか消えてくれる」

その言葉に、俺の中にも、冷たい怒りが溢れていく。

「さっきからうるせぇな。」

自分でも驚くほど冷めた声をしていた。

「外見だけで値踏みして、勝手に決めつけて……、そういう性格ブスだからアイザックにも振られんだろ」

「は、なにそれ?!」

女の顔が、怒りと羞恥で真っ赤になる。
本音を付かれたことに相当苛立ったのか、その女は急に間合いを詰めてくるやいなや、俺に鋭い爪を思い切り振りかざそうとした。
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