VRMMOの最強魔眼士~視力極振りの最弱職~

A4si

文字の大きさ
7 / 23

06.セット

しおりを挟む
 もう一回だけあのゲームをしてみよう!……となったはいいのだが、肝心の藤真が外出しており、案内&セッティング要員がいない。
 母さんもいるにはいるが、あの人は絶対機械に聡くない。父さんの方が職業的に信頼できそうだが、生憎と休日出勤中だ。
 さて、どうしたものか。
 普通に考えれば藤真か父さんを待てばいいのだが、せっかくやる気になったんだから今やりたい。
 ゲームってそんなもんだと思う。

 うーむ……。
 唸っていると、唐突にインターホンが鳴らされた。

「はいはいはい……」

 母さんがパタパタと駆けていく。

「はーい。あっ、祐奈ちゃん?」

『あ、ご無沙汰してます。ちょっとお菓子作り過ぎちゃって、お裾分けしに来たんですけど……』

「え、ありがとう!ちょっとそっち行くわね」

『あ、はい』

 祐奈ちゃんとは、俺が小学校の時から母親ぐるみの付き合いで仲良くさせてもらってる女の子……いや、同い年だし女子か?
 ……まぁいいや。とりあえず幼馴染ってやつだ。

 別に幼馴染だからと言って特段仲が良い訳でも無く、男子と女子の線引きがされていると思う。
 小学校の頃は祐奈ちゃん呼びでなんとも思ってなかったのだが、中学校でなんか小っ恥ずかしくなって苗字の日野さん呼びに。
 そっから向こうのお母さんと一緒じゃない限りはずっと日野さん呼びだ。
 まぁつまり、幼馴染だからと言って特別よく話す訳でもないのである。
 クラスの女子よりちょっと接点多いかなぐらい?
 いとことかはとこみたいな感じだと思う。

 それで、家が近いのもあって時々こんな風に差し入れしてくれるのだ。
 まぁ、お菓子類だったら大体が母さんの胃袋に行くんだけどな。俺ら男衆は別に甘党じゃないので。

 さて、結局最初に戻るんだが、もう誰か帰ってくるまでどうしようもないという結論に至った。ので、その間の暇をどうにかして潰すしかない。
 出来ることといえば、寝るか音楽聴くかテレビかラジオ聴くか寝るかぐらいしかないので、ここは迷わず寝る一択である。
 音楽やらなんやら聴こうが、どうせ寝てしまうのでもう素直に寝ることにする。
 それが一番安定で賢い。

 今座っている絨毯の周囲を手探りで確認し、寝転べるスペースを確保する。
 さて、寝るか。と身をかがめる――

「──ねぇ、何してるの?」

「うわっ!?」

 突然聞こえてきた声に驚き、寝転がろうとした姿勢そのままにコケる。

「誰っ!?」

「あ、え……そっか、目……私だよ、日野祐奈。君の幼馴染」

「あ、なんだ日野さんか……。珍しいな?家に入ってくるの」

「うん、久々にお邪魔しちゃった。蓮くんと会うのも久しぶりだね?」

「中学からだから……半年ぶりくらい?」

「かな。ここに来てはいたんだけどねー」

「確かに、お裾分けは結構頻繁だったなぁ」

「あはは……レシピとか見てやると大体4とか6人前できちゃうんだもん……」

 日野さんはバツが悪そうに呟く。

「い、今更かもだけど、毎回のお裾分けで母さん喜んでるからさ、出来ればでいいけどこれからも持ってきてくれたら嬉しい、な?」

 何とかフォローしようとしてミスった気がしなくも無いが、言っていることは紛れもない本心である。

「ホント?なら良かった。……あの、お菓子とかって蓮くんも食べてるの?」

「うん、ちょっとだけ貰ってる。全部美味しかったよ」

「そう?なら良かった」

「……」

 やばい、会話が止まった。
 今までどんな感じで話してたっけ。距離感が分かんねぇ……!

「あの、今さっき何してたの?」

 うわ、ありがとう!こんな俺でも会話続けようとしてくれて!
 あ、早く返さなければ。

「えっ、あ、寝ようとしてた……」

 突然のことで驚いたのか、さっきしようとしたことをなんの捻りもなく口に出してしまう。
 えっ、おいバカ!何会話終わらせようとしてんだよ!?

「えーっと、そのぉ……あっ、え、オアリブってゲーム知ってる?」

 脳裏に思いついた話題をそのまま提供し、場を無理矢理繋いだ。
 言って気づいた。
 俺、オアリブモグリだ。
 何を言われても空気が地獄になる……!
 終わったぁぁあー!
 どっちに転がっても終わりだぁぁあー‼

「オアリブ?……蓮くんオアリブ知ってるの!?」

「うわっ!?」

 突然肩をガッと掴まれた。

「あ、ごめん……それで、オアリブ知ってるの……?」

「う、うん……」

 び、びっくりした……。
 心臓バクバク言ってる……。

「へ、へぇー…………あの、えっとね、それ私もやっててさ……良かったらでいいんだけど、一緒にやらない?」

「──へ?」

 この人今なんて言った?
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~

仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。 ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。 ガチャ好きすぎて書いてしまった。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...