ACTIVE HEROS

FIRST MISSON

早すぎた召集

　山下はここに来るまで、50年以上にもわたり刀鍛冶をしていた。裏社会では名の知れた名匠だったようだ。その為、全国各地の「その筋」の人物から山下への依頼があったのだという。今でこそ真剣を扱うことはあまりないが、山下がまだ30代の頃までは、けっこうな数の刀を打っていたらしい。
　山下はいつしか、依頼者の体格などを見て、主に見合う刀のおおよその検討がつくようになったという。

　色々と話し込む泰三と山下の側で少し時間を持て余していた首藤の元に連絡が入った。ちょうど都市部と山間部の中間にあたる場所の民家付近に「受信者」が現れたという。
　しかし、「受信者」を討伐するメンバーは今もなお不足しており、また既存のメンバーも疲弊しきっている為、今回の任務に新入りの泰三も出動させろという命令だった。
　首藤は、泰三の準備はまだ不十分だという理由でその命令を拒もうとしたが、緊迫した状況であるがゆえに受け入れてはもらえなかった。

「泰三さん、急ですみませんが今から作戦室へ向かわなくてはなりません。任務です。」
首藤は泰三にそう伝えた。
「…そうですか。わかりました。」
泰三は刀や剣術に関する山下との会話に名残惜しそうに答えた。
「では、よろしくお願いします。」
　そう山下に伝えた2人は作戦室へと向かった。

　作戦室の近くまで来た泰三と首藤。入り口付近には泰三と同じ軍服を着たメンバーがまばらに部屋の中へと入っていく。首藤は部屋に入る前に、泰三に大筋の説明を行った。

　2人は部屋は部屋に入り、椅子に座りながら全員が集まるのを少し待った。その後、全員が揃ってから泰三の紹介がはじまった。それから、その場に居合わせたメンバーの紹介はなく、泰三は誰が誰なのかわからないまま、任務の詳しい説明を受けることとなった。

　任務の説明が終わり、現地に向かう前に、少しだけ出発の準備をする時間が与えられた。その間に泰三は、先ほどの会議で気になった人物について首藤に聞くことにした。

　泰三は、この年寄りばかりの集まりの中に、なぜ１人だけそれなりの若さの人間がいるのか気になっていたのだ。