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FIRST MISSON
山猫と耳の聞こえない男
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「彼は佐村君と言ってな。生まれつき耳が聞こえないそうだ。そのかわり、かなりの努力をしてきたのだろう。頭が良く知識も豊富だ。このJi-Gという組織において、思考能力の落ちた我々のようなものではなく、彼こそが新しいシステムや武器の開発、そして作戦を立てるのに最適な人物だ。何より耳が聞こえないおかげで、受信者になる心配もない。」
泰三の質問に首藤はそう答えた。首藤は更に続けた。
「しかし最近のテクノロジーは本当に凄い。先ほどの会議でも、我々の声が佐村君の使っているデバイスに文字として表示される。精度も問題ないと聞いている。佐村君はそうやって我々の言葉を認識し、逆に言葉を伝える時は文字を音声に変えて我々に伝える。とにかく佐村君とのコミュニケーションはなかなか慣れないとは思うのですが、どうかよろしく頼みます。」
そう話す首藤に、泰三は別の質問を投げかけた。
「では、私のちょうど向かいに座っていた、短髪で、がたいの良い本物の軍人のような雰囲気の方は?」
「ああ、彼は山根さんだ。周りからは山猫と呼ばれている。元は自衛官でな。その時からのあだ名らしい。聞くところによれば、遠距離からの射撃が得意らしくてな。かつてはその手の世界大会でも、何度が賞金をもらっていたそうだ。少し取っつきにくいところもあるようですが、うまくやってください。」
泰三は再び別の人物について質問をしようと思ったが、そろそろ集合しないといけない時間だったので辞めた。今回は車での出動だと言うことだったので、ひとまず駐車場へと向かった。
泰三は、このJi-Gに来るまで1体の受信者を倒していた為、あまり緊張することもなく、プレッシャーもさほど感じていなかった。
1人でもやれたことを今度は複数人でやるのだからと、余裕すら感じていた。
「よう!あんたか?さっき来たばかりなのにもう出動か?やっぱりワシとは違って、腕のある人間は一味も二味も違うな!ぶわはは!」
ムラのあるエンジン音と共に、聞き覚えのある、そして聞きたくない声がやってきた。泰三はこの車には乗りたくないと思ったが、出発の時間が来てしまった。泰三は、いち早く降りられるよう、一番最後にシワシワの運転する車に乗り込んだ。
泰三の質問に首藤はそう答えた。首藤は更に続けた。
「しかし最近のテクノロジーは本当に凄い。先ほどの会議でも、我々の声が佐村君の使っているデバイスに文字として表示される。精度も問題ないと聞いている。佐村君はそうやって我々の言葉を認識し、逆に言葉を伝える時は文字を音声に変えて我々に伝える。とにかく佐村君とのコミュニケーションはなかなか慣れないとは思うのですが、どうかよろしく頼みます。」
そう話す首藤に、泰三は別の質問を投げかけた。
「では、私のちょうど向かいに座っていた、短髪で、がたいの良い本物の軍人のような雰囲気の方は?」
「ああ、彼は山根さんだ。周りからは山猫と呼ばれている。元は自衛官でな。その時からのあだ名らしい。聞くところによれば、遠距離からの射撃が得意らしくてな。かつてはその手の世界大会でも、何度が賞金をもらっていたそうだ。少し取っつきにくいところもあるようですが、うまくやってください。」
泰三は再び別の人物について質問をしようと思ったが、そろそろ集合しないといけない時間だったので辞めた。今回は車での出動だと言うことだったので、ひとまず駐車場へと向かった。
泰三は、このJi-Gに来るまで1体の受信者を倒していた為、あまり緊張することもなく、プレッシャーもさほど感じていなかった。
1人でもやれたことを今度は複数人でやるのだからと、余裕すら感じていた。
「よう!あんたか?さっき来たばかりなのにもう出動か?やっぱりワシとは違って、腕のある人間は一味も二味も違うな!ぶわはは!」
ムラのあるエンジン音と共に、聞き覚えのある、そして聞きたくない声がやってきた。泰三はこの車には乗りたくないと思ったが、出発の時間が来てしまった。泰三は、いち早く降りられるよう、一番最後にシワシワの運転する車に乗り込んだ。
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