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幼馴染みたちの蛇足
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ギランの言葉にアレックスが納得し、先ずはダグラスと話し合うことで話はまとまった。四人は無事説得できてよかったと胸を撫で下ろす。
改めて五人で食事を取りながら、話を続けた。
「アレックスは、男同士のアレコレは分かるのか?」
サラダを取り分けながら、ダイアーが尋ねた。アレックスは首を横に振って応える。
アレックスは、そこのところは詳しくない。まさかこの年でと思わなくもないが、男と寝るのは初めてで、どちらになるかは分からないが、男を抱くのもまして抱かれるのも初めてというわけだ。当たり前のように不安はあった。
その反応を受けて、ダイアーはうーんと唸る。気が付くとアレックスの前には、取り分けられたサラダが置いてあった。
「そうだ! ワタシの行きつけの店に行ってみるのは? 前に相手した子から話が聞けるかもしれない」
「ダメだ!」
またドンッとテーブルが叩かれて、話が遮られる。食器が余韻で揺れる中、ギランが荒々しく頭を振った。
「アレックスをソウいうトコロへ連れて行くのは、賛同しナイ」
「ワカル。絶対、ディルフ好きに食われるゾ」
ドゥルイットの言うディルフが何かは分からなかったが、二人が自分の身を心配してくれていることだけはアレックスも理解できた。
「オレ様は、話を聞くならブラッドリーとパトリックを薦メル」
ギランは、有無は言わせんとばかりに腕を組み胸を張った。
ブラッドリーとパトリックとは、対超常部隊の隊員であり、超越者と常人の恋人同士だ。しかも同性のパートナーだった。
「特にパトリックから話は聞いておいた方がイイ」
意図を理解したダイアーが、両の手をパシッと合わせた。
「アァそうだな、下側の話はパトリックから聞けばいいか」
その言葉に、ギランは力強く頷いた。同意を得られて満足したのか、今度はフライドチキンへと手を伸ばしていく。
「でも、いくらブラッドリーの体格がいいからって、変身の解けたダグ相手じゃ比較には弱くないか?」
「ソウだな。ブラッドリーは変身しても、普段のダグとそう変わらネエしな」
「パトリックがアレックスより小柄だから、両方で考えれば参考にならなくはないだろうが……」
ダイアーとドゥルイットが頭を捻っているところへ、手が挙がる。
「あー、それならさ」
ちょっと気恥ずかしそうなデズモンドに、幼馴染みたちは首を傾げた。アレックスも、隣に座るギランの影から身を乗り出して覗き見た。
「フラーテルとソロルからも聞いてみたら?」
皆がデズモンドの言葉に疑問を浮かべて、互いに顔を見合わせ合った。ギランもチキンから口を離し怪訝そうに眉を顰めている。
フラーテルとソロルも、対超常部隊の隊員だ。それも超越者である。とても強い特殊な能力を持っているのだが――
「オーガに突っ込まれるのは二人から聞けると思うよ。ボクがよく突っ込んでるから」
その言葉を聞いて、ダイアーが立ち上がろうとする。長い脚がローテーブルに当たって大きく揺れるが、既のところでドゥルイットが抑え込んだ。
「危ネエな」
「ありがとう、ドゥ。せっかくのご飯をひっくり返すところだった」
「既に何度かヒックリ返ってるダロ」
仕方ないなといった様子で、ドゥルイットはテーブルを直す。ダイアーも座り直しながら、料理の位置を整えた。
「アリャ、アレックスが固まっちまったゾ」
アレックスの手にあるスプーンから小さなトマトが転がり落ちた。コロコロ転がるそれを拾いながらドゥルイットが気にかけてくれるものの、当の本人はそれどころではない。
アレックス本人はトマトを落としながら、頭の中で必死に考えていた。もちろん、仕事にかかわることだ。先程まで性的な話をしていたというのに。
――フラーテルとソロルは、双子の夢魔だ。眠っている者に働きかけて、性的な交わりを行い生気を奪うことで生きている種族だ。夢魔の性別は自分で選ぶらしく、場合によっては違う性へと変身できる。男であり、女であり、もちろん以外でもあるのだ。
彼らの能力は主に強力な魅了で、それ以外の能力もとても強いため、政府も軍も厳重に管理観察している種族である。それこそ性交の相手すらも把握しておかなくてはならない。相手をリストで管理している程だ。そのリストにデズモンドは居ないはず。
それに気が付いたアレックスは、冷や汗を垂らしながらデズモンドを見遣った。
「大丈夫、政府の管理局は知っテル知っテル」
デズモンドは他人事の様に笑っている。
「ホントか? 問題ナイならイイが」
「なんであいつらとそういう間柄になったんだよ?」
ドゥルイットとダイアーが訝しげに言う。特にダイアーは頭を振りながら、呆れを含んだ苦い表情をしていた。
「だって、勝手に入ってきたんだよぉ。起きタラまたがってて」
ギランの影でアレックスは額を抑えた。
あの二人はそういうところがある。特に新しい隊員がくると味見をするのだ。アレックスもやられたが、幸いにも前任の隊長に救われて未遂で終わっている。
「皆の所にも来たって言ってたと思うケド」
その言葉にダイアーが頭を掻いた。何かを思い出したらしい。
改めて五人で食事を取りながら、話を続けた。
「アレックスは、男同士のアレコレは分かるのか?」
サラダを取り分けながら、ダイアーが尋ねた。アレックスは首を横に振って応える。
アレックスは、そこのところは詳しくない。まさかこの年でと思わなくもないが、男と寝るのは初めてで、どちらになるかは分からないが、男を抱くのもまして抱かれるのも初めてというわけだ。当たり前のように不安はあった。
その反応を受けて、ダイアーはうーんと唸る。気が付くとアレックスの前には、取り分けられたサラダが置いてあった。
「そうだ! ワタシの行きつけの店に行ってみるのは? 前に相手した子から話が聞けるかもしれない」
「ダメだ!」
またドンッとテーブルが叩かれて、話が遮られる。食器が余韻で揺れる中、ギランが荒々しく頭を振った。
「アレックスをソウいうトコロへ連れて行くのは、賛同しナイ」
「ワカル。絶対、ディルフ好きに食われるゾ」
ドゥルイットの言うディルフが何かは分からなかったが、二人が自分の身を心配してくれていることだけはアレックスも理解できた。
「オレ様は、話を聞くならブラッドリーとパトリックを薦メル」
ギランは、有無は言わせんとばかりに腕を組み胸を張った。
ブラッドリーとパトリックとは、対超常部隊の隊員であり、超越者と常人の恋人同士だ。しかも同性のパートナーだった。
「特にパトリックから話は聞いておいた方がイイ」
意図を理解したダイアーが、両の手をパシッと合わせた。
「アァそうだな、下側の話はパトリックから聞けばいいか」
その言葉に、ギランは力強く頷いた。同意を得られて満足したのか、今度はフライドチキンへと手を伸ばしていく。
「でも、いくらブラッドリーの体格がいいからって、変身の解けたダグ相手じゃ比較には弱くないか?」
「ソウだな。ブラッドリーは変身しても、普段のダグとそう変わらネエしな」
「パトリックがアレックスより小柄だから、両方で考えれば参考にならなくはないだろうが……」
ダイアーとドゥルイットが頭を捻っているところへ、手が挙がる。
「あー、それならさ」
ちょっと気恥ずかしそうなデズモンドに、幼馴染みたちは首を傾げた。アレックスも、隣に座るギランの影から身を乗り出して覗き見た。
「フラーテルとソロルからも聞いてみたら?」
皆がデズモンドの言葉に疑問を浮かべて、互いに顔を見合わせ合った。ギランもチキンから口を離し怪訝そうに眉を顰めている。
フラーテルとソロルも、対超常部隊の隊員だ。それも超越者である。とても強い特殊な能力を持っているのだが――
「オーガに突っ込まれるのは二人から聞けると思うよ。ボクがよく突っ込んでるから」
その言葉を聞いて、ダイアーが立ち上がろうとする。長い脚がローテーブルに当たって大きく揺れるが、既のところでドゥルイットが抑え込んだ。
「危ネエな」
「ありがとう、ドゥ。せっかくのご飯をひっくり返すところだった」
「既に何度かヒックリ返ってるダロ」
仕方ないなといった様子で、ドゥルイットはテーブルを直す。ダイアーも座り直しながら、料理の位置を整えた。
「アリャ、アレックスが固まっちまったゾ」
アレックスの手にあるスプーンから小さなトマトが転がり落ちた。コロコロ転がるそれを拾いながらドゥルイットが気にかけてくれるものの、当の本人はそれどころではない。
アレックス本人はトマトを落としながら、頭の中で必死に考えていた。もちろん、仕事にかかわることだ。先程まで性的な話をしていたというのに。
――フラーテルとソロルは、双子の夢魔だ。眠っている者に働きかけて、性的な交わりを行い生気を奪うことで生きている種族だ。夢魔の性別は自分で選ぶらしく、場合によっては違う性へと変身できる。男であり、女であり、もちろん以外でもあるのだ。
彼らの能力は主に強力な魅了で、それ以外の能力もとても強いため、政府も軍も厳重に管理観察している種族である。それこそ性交の相手すらも把握しておかなくてはならない。相手をリストで管理している程だ。そのリストにデズモンドは居ないはず。
それに気が付いたアレックスは、冷や汗を垂らしながらデズモンドを見遣った。
「大丈夫、政府の管理局は知っテル知っテル」
デズモンドは他人事の様に笑っている。
「ホントか? 問題ナイならイイが」
「なんであいつらとそういう間柄になったんだよ?」
ドゥルイットとダイアーが訝しげに言う。特にダイアーは頭を振りながら、呆れを含んだ苦い表情をしていた。
「だって、勝手に入ってきたんだよぉ。起きタラまたがってて」
ギランの影でアレックスは額を抑えた。
あの二人はそういうところがある。特に新しい隊員がくると味見をするのだ。アレックスもやられたが、幸いにも前任の隊長に救われて未遂で終わっている。
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