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第一章 輝葬師
三幕 「脅威の影」 四
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朝食を終えて準備を整えると、三人は相変わらずの暑さを耐えながら街道を進み、お昼を少し過ぎたくらいにハマサ村に到着した。
村は主要都市を結ぶ街道に沿うように構築されており、東西に細長い形をしていた。
主要都市の丁度中間に位置していることもあって人通りも多く、村とはいいながらもその規模はかなり大きかった。
目的のリーベルマンの家は村の西端にあるため、東側から来たアス達は西に向かって更に村内の道を進む。
しばらく歩くと、村の広場に出た。
中央には井戸があり、その周りには村人が休憩や寄り合い等で利用するための木でできたベンチが数本置かれていた。
以前、捜索の依頼を受けるために村へ来た時はそれなりに利用者がいて活気があったが、今日はそこを利用する村人はまばらで、代わりに広場に面した村の集会所らしき建物の前に三十人程度の人が集まっていた。
「なんかあったのかな?」
ジゼルが興味津々の様子で、その集団がいる集会所の方へ近づいて行く。
やれやれといった表情でヴェルノがその後に続くと、アスも父の後ろを追いかけた。
集会所の前では腰に剣を帯びた兵士風の女性と老人が向き合って何かを話しており、集まっている人達はそれぞれ腕を組んだり、険しい顔をしたりと物々しい雰囲気を放ちながら、二人のやりとりを静かに見守っていた。
アス達は、皆の邪魔にならないように、集まっている人達の少し後ろで様子を窺うことにした。
何を話しているかまではアス達には聞こえなかったが、遠目に老人が女性の喋る内容に小さくうんうんと頷いている様子が見えた。
しばらくすると話が終わったようで、老人は深々と女性に一礼してから、集まっていた人達の中央まで歩を進める。
「フレアの討伐は昨日完了したそうじゃ」
老人の声は小さいながらもよく通った。
その言葉を聞いた周りの人達は、大きく息を吐き安堵の表情を浮かべた。
中には女性に向かって頭を下げたり、ありがとうございますと感謝の言葉を発する者もいた。
女性はそれらの声に頷いて応じるが、なぜか少し複雑そうな表情をしている。
集団の中央にいる老人の顔も心から喜んでいる風には見えなかった。
「何かあったのですか?」
その様子を見た一人の青年が不思議に思ったようで、老人に尋ねた。
「どうやら討伐の最中に隊長さんが大怪我をしたらしくて、王都に搬送されたそうなんや。ほら、あの気さくで優しかった若い兄ちゃんや。ほんで、とりあえず副長さんだけが隊の荷物回収も兼ねて報告に来てくれたらしい」
「えっ!?」
「まさか、そんな・・・」
集まった人達がどよめき、先ほどまでの喜びの雰囲気は一転して、重苦しくなった。
「大丈夫ですよね?助かりますよね!?」
先ほどの青年が女性に駆け寄り、悲痛な声で問いかけた。
「どうなるかは、正直分からない」
首を横に振り無念そうにつぶやいた女性のその表情、その口調から、状態はかなり深刻であることが窺えた。
青年はがっくりと肩を落とし、その様子を見た皆も一様に落胆の色を見せた。
女性は項垂れる青年の肩をポンと叩くと、その横をぬけ、集まった人達の輪に歩み寄る。
そして、凛とした表情で皆の顔を見渡した。
「我々は皆の安全な暮らしのために命を賭して危険と戦うことを使命としており、その使命のために命を落とす可能性があることは常に覚悟している。だから皆が気に病む必要はない」
女性の声は強く、気高く、それでいてどこか優しさを感じさせるものであった。
「ありがとうございます。住民を代表して感謝を申し上げます。そして、・・・隊長さんの回復を心からお祈りいたします」
老人が女性に深々と頭を下げると、集まった人達も改めて口々に感謝と回復を祈る言葉を言いながら老人に倣って深々と頭を下げた。
「皆の気持ちは嬉しく思う。皆の想い、私が必ず隊長に伝えておこう」
女性は皆から賜った言葉を心に刻み込むかのように胸に手を当てて一呼吸おくと、ゆっくりと、かつ見惚れるほどに美しい所作で皆に対して敬礼をした。
「短い間だったが、皆には色々世話になった。ありがとう」
女性がそう言ってから敬礼を解くと、一人の青年が前に出た。
「副長さん、これから集会所に置いてある隊の荷物をまとめて裏手の馬車に乗せるんでしょう?俺、手伝いますよ!」
集会所前に集まった人達の内、数人の若者がその言葉に同調し前に出る。
「そうか、それは助かる。皆のその言葉、ありがたく頂戴するよ」
女性は微笑を浮かべながら会釈すると、手伝いを申し出た青年達と共に集会所に入っていった。他の者はその様子を見送ってから自然と散会した。
「討伐隊の人だったみたいね」
一連のやりとりを見たジゼルが口を開いた。
「うん、やっぱりフレアは討伐されてたみたいだね。でも討伐隊の隊長さんが怪我をしたって」
アスは先ほどの女性が入っていった集会所を眺めた。
「そうだな。どんな人だったのかは分からないが、先ほどのやりとりを見る限りではかなり信頼されていたんだろう。助かるといいが。・・・さぁ寄り道は終わりだ。リーベルマンの家に向かおう」
三人は再び、村の西側に向かって歩き始めた。
村は主要都市を結ぶ街道に沿うように構築されており、東西に細長い形をしていた。
主要都市の丁度中間に位置していることもあって人通りも多く、村とはいいながらもその規模はかなり大きかった。
目的のリーベルマンの家は村の西端にあるため、東側から来たアス達は西に向かって更に村内の道を進む。
しばらく歩くと、村の広場に出た。
中央には井戸があり、その周りには村人が休憩や寄り合い等で利用するための木でできたベンチが数本置かれていた。
以前、捜索の依頼を受けるために村へ来た時はそれなりに利用者がいて活気があったが、今日はそこを利用する村人はまばらで、代わりに広場に面した村の集会所らしき建物の前に三十人程度の人が集まっていた。
「なんかあったのかな?」
ジゼルが興味津々の様子で、その集団がいる集会所の方へ近づいて行く。
やれやれといった表情でヴェルノがその後に続くと、アスも父の後ろを追いかけた。
集会所の前では腰に剣を帯びた兵士風の女性と老人が向き合って何かを話しており、集まっている人達はそれぞれ腕を組んだり、険しい顔をしたりと物々しい雰囲気を放ちながら、二人のやりとりを静かに見守っていた。
アス達は、皆の邪魔にならないように、集まっている人達の少し後ろで様子を窺うことにした。
何を話しているかまではアス達には聞こえなかったが、遠目に老人が女性の喋る内容に小さくうんうんと頷いている様子が見えた。
しばらくすると話が終わったようで、老人は深々と女性に一礼してから、集まっていた人達の中央まで歩を進める。
「フレアの討伐は昨日完了したそうじゃ」
老人の声は小さいながらもよく通った。
その言葉を聞いた周りの人達は、大きく息を吐き安堵の表情を浮かべた。
中には女性に向かって頭を下げたり、ありがとうございますと感謝の言葉を発する者もいた。
女性はそれらの声に頷いて応じるが、なぜか少し複雑そうな表情をしている。
集団の中央にいる老人の顔も心から喜んでいる風には見えなかった。
「何かあったのですか?」
その様子を見た一人の青年が不思議に思ったようで、老人に尋ねた。
「どうやら討伐の最中に隊長さんが大怪我をしたらしくて、王都に搬送されたそうなんや。ほら、あの気さくで優しかった若い兄ちゃんや。ほんで、とりあえず副長さんだけが隊の荷物回収も兼ねて報告に来てくれたらしい」
「えっ!?」
「まさか、そんな・・・」
集まった人達がどよめき、先ほどまでの喜びの雰囲気は一転して、重苦しくなった。
「大丈夫ですよね?助かりますよね!?」
先ほどの青年が女性に駆け寄り、悲痛な声で問いかけた。
「どうなるかは、正直分からない」
首を横に振り無念そうにつぶやいた女性のその表情、その口調から、状態はかなり深刻であることが窺えた。
青年はがっくりと肩を落とし、その様子を見た皆も一様に落胆の色を見せた。
女性は項垂れる青年の肩をポンと叩くと、その横をぬけ、集まった人達の輪に歩み寄る。
そして、凛とした表情で皆の顔を見渡した。
「我々は皆の安全な暮らしのために命を賭して危険と戦うことを使命としており、その使命のために命を落とす可能性があることは常に覚悟している。だから皆が気に病む必要はない」
女性の声は強く、気高く、それでいてどこか優しさを感じさせるものであった。
「ありがとうございます。住民を代表して感謝を申し上げます。そして、・・・隊長さんの回復を心からお祈りいたします」
老人が女性に深々と頭を下げると、集まった人達も改めて口々に感謝と回復を祈る言葉を言いながら老人に倣って深々と頭を下げた。
「皆の気持ちは嬉しく思う。皆の想い、私が必ず隊長に伝えておこう」
女性は皆から賜った言葉を心に刻み込むかのように胸に手を当てて一呼吸おくと、ゆっくりと、かつ見惚れるほどに美しい所作で皆に対して敬礼をした。
「短い間だったが、皆には色々世話になった。ありがとう」
女性がそう言ってから敬礼を解くと、一人の青年が前に出た。
「副長さん、これから集会所に置いてある隊の荷物をまとめて裏手の馬車に乗せるんでしょう?俺、手伝いますよ!」
集会所前に集まった人達の内、数人の若者がその言葉に同調し前に出る。
「そうか、それは助かる。皆のその言葉、ありがたく頂戴するよ」
女性は微笑を浮かべながら会釈すると、手伝いを申し出た青年達と共に集会所に入っていった。他の者はその様子を見送ってから自然と散会した。
「討伐隊の人だったみたいね」
一連のやりとりを見たジゼルが口を開いた。
「うん、やっぱりフレアは討伐されてたみたいだね。でも討伐隊の隊長さんが怪我をしたって」
アスは先ほどの女性が入っていった集会所を眺めた。
「そうだな。どんな人だったのかは分からないが、先ほどのやりとりを見る限りではかなり信頼されていたんだろう。助かるといいが。・・・さぁ寄り道は終わりだ。リーベルマンの家に向かおう」
三人は再び、村の西側に向かって歩き始めた。
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