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第三章 受け継がれるもの
三章終幕 「その羽を広げ、大きく飛び立つ鴉」 二
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「三人とも卒業おめでとう」
式が終わり、大勢の卒業生とその家族で賑わう校舎前で雑談していたアス達の背後から声がかかる。
三人が振り返るとそこには柔和な面持ちでニッコリ微笑む青年の姿があった。
ドローレンスから家督を引き継いだ現ノエル家当主、ネイハム卿である。
「ネイハム兄様!」
エラルが嬉々とした声を発し、アスとシオンは深く頭を下げた。
「皆、立派だったぞ。それにエラルは最優秀武芸者の賞までもらって、兄さんは鼻が高いよ」
「ありがとう、兄様。本当は首席としての姿を見せられればもっとよかったんだろうけど」
「いやいや、十分だよ。私は勉学も武芸も人より劣っていたからね。エラルの姿はすごく輝いて見えたよ。さてと皆これからどうする予定なんだい?夜の祝賀会まで時間があるところだけど、このまま帰るのなら私の馬車に乗るといい」
「ううん、俺とシオンは色々と用事があるからいいよ。アスはどうする?」
「僕も明日の準備で少し寄るところがあるから歩いて帰ります。・・・ところでエラル、気になっていたんだけど用事って何?僕は手伝わなくていいの?」
「ん?いや、大した用事じゃないからいいよ。アスは俺のことなんか気にせず自分の用事を済ませてきな」
「俺のことなんか気にせずって・・・、一応僕はエラルの従者なんだけど」
「いいから、いいから。あっもうこんな時間だ!兄様、アス、悪いけどもう行くね。シオン行くよ!」
「う、うん。アス、また後でね」
エラルとシオンは何やら慌ただしい様相でその場を足早に去っていった。
「・・・なんか気になるな」
二人の後ろ姿を見送りながらアスが呟く。
「ふふっ、確かに不自然な挙動だったな。まぁエラルがああ言っているんだから気にせずアスはアスの用事を済ませてきなさい」
「・・・あの、ネイハム様」
アスが真面目な表情でネイハム卿の方に体を向けた。
「ん?」
「明後日の旅立ちの件、御快諾いただきありがとうございました。本来ならノエル家の御恩に報いなければならないところなのに。・・・改めて御礼申し上げます」
「ああ、いいさ。前にも言った通りディオニージ兄様からも正心の儀を終えた後はアスの意向を尊重するようにと仰せつかっていたからね。シオンも同様だけど、ノエル家のことは気にせず自分の思った道を進めばいいよ」
「数々の御配慮、本当にありがとうございました」
「そんなかしこまらなくてもいいよ。実のところ、私はアスとシオンには感謝しているんだ。エラルの様子を見れば、アス達と過ごした学校生活がとても充実していたものだったということがよくわかるからさ。・・・さて、私はこれで戻ることにするが夜の祝賀会には遅れないようにな、アスも主役の一人なんだから」
「はい、必ず時間までには戻ります」
ネイハムはうん、とひとつ頷いてから帰路につく。アスはその後ろ姿は感謝の意を込めて深々と頭を下げた。
ネイハムの姿が見えなくなってからしばらくして、アスは一人、校門に向かってゆっくり歩き出す。
先程よりは人が減っているようだったが、それでもまだ校舎前から校門に続く道には歓談にふける多数の卒業生とその家族の姿が見えた。
その横を通り過ぎながら、今日買い揃える予定の旅道具を頭の中で再確認していると急に校門のあたりが騒がしくなった。
何事かと思ったアスの耳に小さくヴィエルニ家がどうのと聞こえた。
ヴィエルニ家という言葉になんとなく気持ちがざわついたアスは、少し早足気味に校門に向かう。
そして、その騒ぎの中心で衛兵に守られながら何かを探すようにキョロキョロと顔を動かす人物を見て驚きの声を上げた。
「ア、アレクシス様!?」
その声によってアスに気付いたアレクシスがニンマリとした表情を見せる。
「ニコラスいたぞ!こっちだ!」
今しがた到着した後続の馬車に大声をかけると、アレクシスはつかつかとアスの方に歩み寄ってきた。
アスがアレクシスと会うのは五年前の一件以来である。以前と違い髭を蓄えているためか、見た目には少し落ち着いた印象を受けた。
周囲にいた学生やその家族からは遠まきに奇異な目線が向けられ、ざわめきもどんどん大きくなる。
最上位貴族である六華筆頭のヴィエルニ家当主が、貴族でもない身分のアスをわざわざ訪ねてきたのであるから、当然といえば当然の反応である。
「まだ帰ってなくてよかった。久しぶりだなアス、大分成長したな」
アレクシスは周りの状況などおかまいなしに話を始める。
「五年前、ドローレンスに言われてアスの引き取りは我慢したが、正心の儀を終えて今日学校も卒業したのだからもういいだろう。アス、俺のところに来い。一緒にジゼルを探すぞ」
あまりにも唐突のことで言葉を失うアスであったが、この相変わらずの強引さに少し懐かしさも感じていた。
アスは少し間を置き、言葉を整理してからゆっくりと口を開いた。
「アレクシス様、久方ぶりにお会いできて光栄にございます。ですが申し訳ございません、僕はヴィエルニ家に行くつもりはありません」
「あ?・・・おいおい、俺はお願いに来たつもりはないぞ。来いと命令しているんだが?」
アレクシスの語気が一気に強くなる。この豹変する様もアスには懐かしく感じられた。
「申し訳ありません、僕は僕の道を行くつもりです。たとえアレクシス様のお言葉であってもそれを変える気はありません」
「道?なんだそれ。いいから来いよ。ジゼルを探すならそれが一番の早道だろう?それともノエル家の従者としてのらりくらりとずっと働くつもりなのか?」
「いえ、明後日にはノエル家を出る予定です」
「なら何の障壁もないじゃないか。明後日迎えを出すからヴィエルニ家に来い!」
怒気を孕むアレクシスの声にもアスは悠然と微笑みを返し首を横に振る
「・・・僕は、鴉になります。鴉として世界を旅しながら、お姉ちゃんを探すつもりです」
父親への尊敬、揺るがない決意、確固たる信念。それらの様々な想いがアスの言葉に力を与え、アレクシスを圧倒する。
「・・・ヴィエルニ家の招待を蹴って、鴉になるというのか?考えられん、正気か?」
「はい、気持ちを変えるつもりは一切ありません」
「アス、俺の気質は知っているだろう?どうすれば最善なのかをじっくり考えた方がいい」
「そうですね。お互い譲れないのであれば、・・・決闘は如何でしょうか?」
「何っ?」
アスは余裕の笑みを崩さずそう言い放つ。
その提案が思いもよらなかったのかアレクシスは呆気にとられ、それから少しして肩を揺らしながら大声で笑った。
「あっはっは!言うようになったなアス、まさかそう来るとは思わなかったぞ」
先程までとは打って変わってアレクシスの表情が朗らかなものになる。
「赦せアス、今のはほんの戯れだ。お前が鴉になるだろうというのは予想していたからな。それにしても決闘とはな」
「恐縮です。こちらこそ非礼をお赦しください」
「構わん。実は今日来たのはアスの門出に相応しい物を渡そうと思ってのことだったんだ。これはアスにとって大切なものになるだろうから、直に渡したくてな」
そう言うとアレクシスは後方に振り返る。そこには上質の生地で編んだ細長い包みを大切そうに抱えたニコラスが立っていた。ニコラスはアスと視線が合うと丁寧に頭を下げた。
アレクシスはニコラスからその包みを受け取り、中から一本の剣を取り出してアスの前に差し出した。
「これは?」
「純紫鋼で鍛え上げたグラディウス型の魔錬刃だ。俺から見ても中々の逸品だと思う」
受け取れという意思表示をするかの如く、アレクシスは手に持った剣を更にぐいっとアスの胸元に突き出す。
「そんな、このような高級品をいただくわけには・・・」
「ヴェルノの剣だ」
断ろうとするアスをアレクシスの言が遮った。
「・・・お父さんの剣?」
「ああ。あいつが志征だったことは知っているのだろう?その時にヴィエルニ家から与えられて使用していたものだ」
父が使っていたものだと聞いたアスの中に、熱い想いが込み上げてくる。その想いがアスの目を仄かに潤ませた。
「ヴェルノは例の駆け落ちの際に、国から賜った鳳の証である神剣と共に、この剣もヴィエルニ家に置いていってな。神剣は鳳にだけ貸与される特別なものだから国に返納したが、この剣はそのまま、ヴィエルニ家の倉庫にずっと眠っていたんだ。これは父の後を追って鴉となるアスにこそ相応しいだろう。さぁ持っていけ」
しばらく剣を見つめながら、父、ヴェルノのことを思い出す。
尊敬する父に少しでも近づきたい。父のような立派な輝葬師になりたい。そう強く願うアスの想いを、成長を、この剣は暖かく見守ってくれる気がした。
アスはそれらの想いを十分に噛み締め、剣を受け取る決心をする。そして、ゆっくりと手を伸ばし、アレクシスから父の剣を受け取った。
その手にずしりと伝わる剣の重みに父の想いを感じた気がした。
「・・・ありがとうございます、アレクシス様」
「ふふふ、中々気の利いた餞別だろ。あと、ジゼルの件も何か分かれば双極分枝を通じて適宜に情報を送るから役立ててくれ」
「数々の心遣い、誠に感謝いたします」
深く頭を下げるアスの肩を、アレクシスがポンと一つ叩く。
「達者でな。たまには顔を出せよ。家内もアスに会いたがっていたからな」
「はい、いずれ必ず」
アスの返答に笑みを浮かべて頷いたアレクシスは、踵を返し自身の馬車に乗り込んだ。
世話を終えたニコラスも一言、失礼いたしますとアスに頭を下げてから後続の馬車に乗り込む。
程なくして馭者のラッパの合図と共に衛兵に守られながら馬車が動き出した。
その馬車を見送るアスは、アレクシスへの感謝の気持ちを込めて、もう一度深く頭を下げた。
式が終わり、大勢の卒業生とその家族で賑わう校舎前で雑談していたアス達の背後から声がかかる。
三人が振り返るとそこには柔和な面持ちでニッコリ微笑む青年の姿があった。
ドローレンスから家督を引き継いだ現ノエル家当主、ネイハム卿である。
「ネイハム兄様!」
エラルが嬉々とした声を発し、アスとシオンは深く頭を下げた。
「皆、立派だったぞ。それにエラルは最優秀武芸者の賞までもらって、兄さんは鼻が高いよ」
「ありがとう、兄様。本当は首席としての姿を見せられればもっとよかったんだろうけど」
「いやいや、十分だよ。私は勉学も武芸も人より劣っていたからね。エラルの姿はすごく輝いて見えたよ。さてと皆これからどうする予定なんだい?夜の祝賀会まで時間があるところだけど、このまま帰るのなら私の馬車に乗るといい」
「ううん、俺とシオンは色々と用事があるからいいよ。アスはどうする?」
「僕も明日の準備で少し寄るところがあるから歩いて帰ります。・・・ところでエラル、気になっていたんだけど用事って何?僕は手伝わなくていいの?」
「ん?いや、大した用事じゃないからいいよ。アスは俺のことなんか気にせず自分の用事を済ませてきな」
「俺のことなんか気にせずって・・・、一応僕はエラルの従者なんだけど」
「いいから、いいから。あっもうこんな時間だ!兄様、アス、悪いけどもう行くね。シオン行くよ!」
「う、うん。アス、また後でね」
エラルとシオンは何やら慌ただしい様相でその場を足早に去っていった。
「・・・なんか気になるな」
二人の後ろ姿を見送りながらアスが呟く。
「ふふっ、確かに不自然な挙動だったな。まぁエラルがああ言っているんだから気にせずアスはアスの用事を済ませてきなさい」
「・・・あの、ネイハム様」
アスが真面目な表情でネイハム卿の方に体を向けた。
「ん?」
「明後日の旅立ちの件、御快諾いただきありがとうございました。本来ならノエル家の御恩に報いなければならないところなのに。・・・改めて御礼申し上げます」
「ああ、いいさ。前にも言った通りディオニージ兄様からも正心の儀を終えた後はアスの意向を尊重するようにと仰せつかっていたからね。シオンも同様だけど、ノエル家のことは気にせず自分の思った道を進めばいいよ」
「数々の御配慮、本当にありがとうございました」
「そんなかしこまらなくてもいいよ。実のところ、私はアスとシオンには感謝しているんだ。エラルの様子を見れば、アス達と過ごした学校生活がとても充実していたものだったということがよくわかるからさ。・・・さて、私はこれで戻ることにするが夜の祝賀会には遅れないようにな、アスも主役の一人なんだから」
「はい、必ず時間までには戻ります」
ネイハムはうん、とひとつ頷いてから帰路につく。アスはその後ろ姿は感謝の意を込めて深々と頭を下げた。
ネイハムの姿が見えなくなってからしばらくして、アスは一人、校門に向かってゆっくり歩き出す。
先程よりは人が減っているようだったが、それでもまだ校舎前から校門に続く道には歓談にふける多数の卒業生とその家族の姿が見えた。
その横を通り過ぎながら、今日買い揃える予定の旅道具を頭の中で再確認していると急に校門のあたりが騒がしくなった。
何事かと思ったアスの耳に小さくヴィエルニ家がどうのと聞こえた。
ヴィエルニ家という言葉になんとなく気持ちがざわついたアスは、少し早足気味に校門に向かう。
そして、その騒ぎの中心で衛兵に守られながら何かを探すようにキョロキョロと顔を動かす人物を見て驚きの声を上げた。
「ア、アレクシス様!?」
その声によってアスに気付いたアレクシスがニンマリとした表情を見せる。
「ニコラスいたぞ!こっちだ!」
今しがた到着した後続の馬車に大声をかけると、アレクシスはつかつかとアスの方に歩み寄ってきた。
アスがアレクシスと会うのは五年前の一件以来である。以前と違い髭を蓄えているためか、見た目には少し落ち着いた印象を受けた。
周囲にいた学生やその家族からは遠まきに奇異な目線が向けられ、ざわめきもどんどん大きくなる。
最上位貴族である六華筆頭のヴィエルニ家当主が、貴族でもない身分のアスをわざわざ訪ねてきたのであるから、当然といえば当然の反応である。
「まだ帰ってなくてよかった。久しぶりだなアス、大分成長したな」
アレクシスは周りの状況などおかまいなしに話を始める。
「五年前、ドローレンスに言われてアスの引き取りは我慢したが、正心の儀を終えて今日学校も卒業したのだからもういいだろう。アス、俺のところに来い。一緒にジゼルを探すぞ」
あまりにも唐突のことで言葉を失うアスであったが、この相変わらずの強引さに少し懐かしさも感じていた。
アスは少し間を置き、言葉を整理してからゆっくりと口を開いた。
「アレクシス様、久方ぶりにお会いできて光栄にございます。ですが申し訳ございません、僕はヴィエルニ家に行くつもりはありません」
「あ?・・・おいおい、俺はお願いに来たつもりはないぞ。来いと命令しているんだが?」
アレクシスの語気が一気に強くなる。この豹変する様もアスには懐かしく感じられた。
「申し訳ありません、僕は僕の道を行くつもりです。たとえアレクシス様のお言葉であってもそれを変える気はありません」
「道?なんだそれ。いいから来いよ。ジゼルを探すならそれが一番の早道だろう?それともノエル家の従者としてのらりくらりとずっと働くつもりなのか?」
「いえ、明後日にはノエル家を出る予定です」
「なら何の障壁もないじゃないか。明後日迎えを出すからヴィエルニ家に来い!」
怒気を孕むアレクシスの声にもアスは悠然と微笑みを返し首を横に振る
「・・・僕は、鴉になります。鴉として世界を旅しながら、お姉ちゃんを探すつもりです」
父親への尊敬、揺るがない決意、確固たる信念。それらの様々な想いがアスの言葉に力を与え、アレクシスを圧倒する。
「・・・ヴィエルニ家の招待を蹴って、鴉になるというのか?考えられん、正気か?」
「はい、気持ちを変えるつもりは一切ありません」
「アス、俺の気質は知っているだろう?どうすれば最善なのかをじっくり考えた方がいい」
「そうですね。お互い譲れないのであれば、・・・決闘は如何でしょうか?」
「何っ?」
アスは余裕の笑みを崩さずそう言い放つ。
その提案が思いもよらなかったのかアレクシスは呆気にとられ、それから少しして肩を揺らしながら大声で笑った。
「あっはっは!言うようになったなアス、まさかそう来るとは思わなかったぞ」
先程までとは打って変わってアレクシスの表情が朗らかなものになる。
「赦せアス、今のはほんの戯れだ。お前が鴉になるだろうというのは予想していたからな。それにしても決闘とはな」
「恐縮です。こちらこそ非礼をお赦しください」
「構わん。実は今日来たのはアスの門出に相応しい物を渡そうと思ってのことだったんだ。これはアスにとって大切なものになるだろうから、直に渡したくてな」
そう言うとアレクシスは後方に振り返る。そこには上質の生地で編んだ細長い包みを大切そうに抱えたニコラスが立っていた。ニコラスはアスと視線が合うと丁寧に頭を下げた。
アレクシスはニコラスからその包みを受け取り、中から一本の剣を取り出してアスの前に差し出した。
「これは?」
「純紫鋼で鍛え上げたグラディウス型の魔錬刃だ。俺から見ても中々の逸品だと思う」
受け取れという意思表示をするかの如く、アレクシスは手に持った剣を更にぐいっとアスの胸元に突き出す。
「そんな、このような高級品をいただくわけには・・・」
「ヴェルノの剣だ」
断ろうとするアスをアレクシスの言が遮った。
「・・・お父さんの剣?」
「ああ。あいつが志征だったことは知っているのだろう?その時にヴィエルニ家から与えられて使用していたものだ」
父が使っていたものだと聞いたアスの中に、熱い想いが込み上げてくる。その想いがアスの目を仄かに潤ませた。
「ヴェルノは例の駆け落ちの際に、国から賜った鳳の証である神剣と共に、この剣もヴィエルニ家に置いていってな。神剣は鳳にだけ貸与される特別なものだから国に返納したが、この剣はそのまま、ヴィエルニ家の倉庫にずっと眠っていたんだ。これは父の後を追って鴉となるアスにこそ相応しいだろう。さぁ持っていけ」
しばらく剣を見つめながら、父、ヴェルノのことを思い出す。
尊敬する父に少しでも近づきたい。父のような立派な輝葬師になりたい。そう強く願うアスの想いを、成長を、この剣は暖かく見守ってくれる気がした。
アスはそれらの想いを十分に噛み締め、剣を受け取る決心をする。そして、ゆっくりと手を伸ばし、アレクシスから父の剣を受け取った。
その手にずしりと伝わる剣の重みに父の想いを感じた気がした。
「・・・ありがとうございます、アレクシス様」
「ふふふ、中々気の利いた餞別だろ。あと、ジゼルの件も何か分かれば双極分枝を通じて適宜に情報を送るから役立ててくれ」
「数々の心遣い、誠に感謝いたします」
深く頭を下げるアスの肩を、アレクシスがポンと一つ叩く。
「達者でな。たまには顔を出せよ。家内もアスに会いたがっていたからな」
「はい、いずれ必ず」
アスの返答に笑みを浮かべて頷いたアレクシスは、踵を返し自身の馬車に乗り込んだ。
世話を終えたニコラスも一言、失礼いたしますとアスに頭を下げてから後続の馬車に乗り込む。
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