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第四章 星天燃ゆる雪の都
序幕 「戦に至る因子」 三
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ユフムダルから東、溶けた雪でぬかるんだ土が所々に露出する平原を月明かりだけを頼りに4km程進んだところでシクステンは足を止めた。
そこは平原の中にあって、直径2m程度の大きめの岩が五、六個点在する場所だった。
何気なく眺めればただの岩とも思われるが、注視して見ればその配置はやや不自然ともいえるように規則的に並んでいることが分かる。
シクステンはその中の一つの岩に手をかざす。
岩と大地が接するあたりにはシクステン達の額に現れた黒の紋に類似する紋が刻まれていた。
「シクステンだ。誰かいるか?」
一瞬ザザッというノイズ音が走ると岩の上部に淡い光を放つ輝核によく似た光球が現れた。その光球から女性の声で応答があった。
「こちらはビセンテだ。どうした?」
その声を聞いたシクステンが軽く舌打ちをする。今の状況においては一番話したくない相手だった。
とはいえ、相手を選り好みしている状況でもないため、そのまま話を始める。
「緊急事態だ。つい先ほどユフムダルのオグルスピア城内にて、アリオン共がオリジナルでかつS級サイズの震重系魔元石を入手したことを確認した。潜入の際に会敵したため、共に潜入したウィルマが足止めで残り、俺一人が報告のためにここに戻ってきた。今から星刃を持ってウィルマの救出に行く。俺のは自分で出すが、ウィルマの分について星刃解放許可をくれ!」
光球はただ静かに淡い光を放つ。少しの沈黙の後、再びビセンテと名乗った女性が声を発した。
「・・・お前、頭に虫でも湧いているのか?怒りを通り越して呆れるというが、本当なんだな。星刃不携帯で勝手に敵地へ潜入したってだけでもあり得ないのに、更に敵に見つかった挙句にウィルマは置き去りにして逃げ帰ってきただと?そのうえ次は星刃を持ってノコノコとまた敵地に行くって、・・・最早、馬鹿馬鹿しすぎてお前と話すのも嫌になるよ」
冷淡な声を放つ光球に向かってシクステンは苦虫を噛むような表情をして押し黙る。
今回の件が失態であったことは十分わかってはいることだったが、この女はいちいちその傷口をえぐるような言い方をするから嫌だった。
「とりあえず魔元石の件はこちらで対処を考える。ウィルマは囚われているようなら切り捨てだ。お前は追っ手をまいたんならとっとと本拠に戻ってこい、以上だ」
追っ手という言葉にハッとしたシクステンはビセンテの指示に対しても口をつぐむ。
「・・・お前、まさかだが、追っ手の想定もせずにここまで逃げてきたのか?もしそうなら信じられんくらいの阿呆だな。ちゃんと追っ手を処理してから戻れよ。無理ならもうそのままそこで死ね!」
吐き捨てるような言葉と共にブツっと音声が途絶え、光球は霧散した。
「くそ!そんな言い方しなくてもいいだろ!それにウィルマを切り捨てるって、・・・ふざけるな!」
シクステンが怒りに任せて岩を蹴り上げた。その打撃音が虚しく響く。
だが、追っ手に関してはビセンテの言うことは最もである。
しばらく肩で息をしながら怒りがおさまるのを待ち、それからシクステンは目を閉じて集中した。
「・・・二人だな。流石にこんなところが拠点とは思えないから様子見してるってところか」
シクステンは目を開けると再び岩に手を掲げた。
「アリエルを解放だ」
その声に応じて岩に刻まれた紋が仄かに発行すると、続いて大地に円形の紋様が浮かび上がり、紋の中央から柄を上向きにした一本の剣が天に向かって突き出た。
シクステンが剣を大地から引き抜き、抜刀しながら振り返り漆黒の刀身を有する剣を構える。
額には再び黒い紋が浮かび上がり、シクステンから発せられた膨大な魔力が剣に注入されていく。
「出てこい!ここで相手になる!」
シクステンの声が闇夜に響く中、しばらくしてから追っ手の二人、ランデルとミリアがシクステンの前に姿を現した。
「お仲間のところまで案内してくれるとありがたかったが、そこまで上手くはいかないか」
「いや、このような場所があったということを知っただけでも一先ずは収穫だ。こいつを処理したら人をかけて、ここら辺一体をくまなく調査しよう」
二人は剣を抜刀し、魔力を込めながら悠然とシクステンに歩み寄る。
「・・・神剣持ちか。あんたらも鳳ってやつなのか?」
シクステンの問いにミリアが不愉快そうな表情をした。
「その質問に何の意味があるか知らんがここまで来ておしゃべりをするつもりは毛頭ない!」
ミリアが駆け出し一気に間合いを詰めて、一閃、剣を横に斬り払う。
凄まじい速度の斬撃をシクステンが漆黒の剣で受け止めると、その衝撃で大地が震えた。
「はは、ちゃんと質問に答えろよ。そういうのは失礼らしいぞ!」
すかさずシクステンがミリアの足元に火球を放る。火球が大地に着弾すると一瞬で大きな火柱を生んだ。
回避のため、後方に跳んだミリアを着地前にシクステンが剣を払いながら追撃する。
今度はミリアがその剣を受ける形となり再び大きな衝撃が発生する。
宙で剣を受けたミリアはその威力に押され後方に大きく吹き飛ばされた。
受け身を取りながら着地したミリアにシクステンが間髪入れず風の刃を放つ。
その風の刃をフォローに入ったランデルが神剣に込めた魔力で叩いて相殺した。
「ミリア、あの剣・・・」
「ああ、神剣の一撃を受けてもびくともしない。神剣相当と考えた方がいいな」
「そうだな。それに複数系統の魔操か・・・。ミリア!油断せず連携して全力でいくぞ!」
颯爽とランデルが渾身の力を込めて斬りかかり、それをシクステンが受ける。その隙にミリアがシクステンの背後に周り、前後を挟んだ。志征が得意とする戦いの形である。
そこからは一方的な展開となった。
ミリアとランデルが正面と背後から矢継ぎ早に強烈な攻撃を放ち、防戦することで手一杯となったシクステンの体に無数の切り傷をつけていく。
鳳二名を相手にしていることを考えれば、シクステンは善戦したといえるだろう。
だが、効果的な反撃をすることも叶わず、ついにミリアによって剣を握る利き腕が切り飛ばされた。
「ぐぅ!くそっ」
激痛と共に大量の血を流す右腕を抑えながらシクステンはその場に膝をつく。
鋭い目で二人を睨みつけるも既に勝負は決していたこともあってか、鳳の二人が切先を下げる姿がその目に映った。
「・・・俺達を相手によくもったもんだ。正直、一対一なら結果は分からなかったな」
「そうだな。敵とはいえその実力は賞賛に値する。さてと・・・」
ミリアは熱火の魔力で火を起こすとシクステンの出血した腕の断面を焼いた。
「ぐあぁぁ!」
「静かにしろ。止血してやってるんだからありがたいと思え」
「やっぱ、連れて帰るのか?」
「当然だ。こいつには色々聞きたいこともあるからな。拷問にかけて色々吐いてもらうつもりだ。むしろ連れて帰らない選択肢を思い浮かべることの方が不思議なんだが?」
「まぁそうだが。・・・運ぶのは俺、だよな?」
「当然だ」
「だよな」
ランデルはシクステンを一瞥してから面倒くさそうにため息を吐いた。
「万が一にも逃げられないように足の腱も切らせてもらう。安心しろちゃんと止血もしてやる。・・・ランデル、処置に少し時間がかかるからその間に軽くさっきの岩の調査でもしててくれないか」
「へーへー、かしこまりましたよっと」
頭をかきながらランデルが岩の方に向かって歩きだす中、ミリアはゆっくりと丁寧にシクステンの足を抑え付ける。
最早この期に及んでは抵抗してもどうにもならない状況であることを理解していたシクステンは無抵抗でただ目を閉じた。
「ふむ、いい心掛けだ」
直後、不快な感触と共に足に激痛が走った。
「ぐぅっぐくっ」
シクステンは苦悶の表情を浮かべつつも、歯を食いしばって痛みに耐える。
そんな中、突如、ランデルが調査しようとした岩の上部に光球が現れた。
「な、なんだ!?」
突然の異変に、ランデルが臨戦体勢で剣を構える。光球からは女性の声が発せられた。
「やれやれだな。万が一に備えて魔力の充填を開始しておいたよかったよ」
「女の声!?何者だ!」
「シクステン!そこは『放棄』だ!意味は分かるな!」
ランデルの問いかけに一切答えることなく、光球は闇夜に響き渡る声を放つ。
「まじかよ、相変わらず無茶苦茶な女だ」
シクステンが顔をしかめながらそうこぼすと、異様な気配を感じたのかミリアがシクステンの胸ぐらを掴み怒鳴る。
「おい!今のはどういう意味だ!?答えろ!」
「・・・慌てなくても、すぐに分かるさ」
シクステンの言葉通り、すぐに変化は訪れた。
大地が唸りをあげて振動し周囲にあった岩がそれぞれ発光を始める。一帯は凝縮された高濃度の魔力に包み込まれた。
「マズい!ランデルこの場を離れろ」
ミリアとランデルが退避のために駆け出した瞬間、二人に強い魔力の荷重がかかりその足が止まる。
焦った表情で振り返ったミリアが、シクステンの行動を視認して愕然とした。
芋虫のように大地に這いつくばって二人を見据えるシクステンの手から、紫の光を帯びた震重系の魔力が放たれていたのだ。
「はは、二人とも逃がさないよ。まぁとりあえず、・・・くらっとけ」
瞬間、全てが真っ白に染まる程の強烈な閃光がほとばしり、雷鳴を凌ぐ程の轟音と共に高濃度の魔力が付近一帯を飲み込みながら大きく爆発した。
爆発の後、大地にはその凄まじい威力を物語るかのような直径五十メートル程の大きな窪みだけが残る。
爆発に巻き込まれた三名の姿は見あたらない。
しばらくの間、窪みの周辺にはそこかしこで燻る火の煙が漂っていたが、闇夜の中を静かに降り注ぐ細かな雪によって、その火も次第に熱を失っていった。
そこは平原の中にあって、直径2m程度の大きめの岩が五、六個点在する場所だった。
何気なく眺めればただの岩とも思われるが、注視して見ればその配置はやや不自然ともいえるように規則的に並んでいることが分かる。
シクステンはその中の一つの岩に手をかざす。
岩と大地が接するあたりにはシクステン達の額に現れた黒の紋に類似する紋が刻まれていた。
「シクステンだ。誰かいるか?」
一瞬ザザッというノイズ音が走ると岩の上部に淡い光を放つ輝核によく似た光球が現れた。その光球から女性の声で応答があった。
「こちらはビセンテだ。どうした?」
その声を聞いたシクステンが軽く舌打ちをする。今の状況においては一番話したくない相手だった。
とはいえ、相手を選り好みしている状況でもないため、そのまま話を始める。
「緊急事態だ。つい先ほどユフムダルのオグルスピア城内にて、アリオン共がオリジナルでかつS級サイズの震重系魔元石を入手したことを確認した。潜入の際に会敵したため、共に潜入したウィルマが足止めで残り、俺一人が報告のためにここに戻ってきた。今から星刃を持ってウィルマの救出に行く。俺のは自分で出すが、ウィルマの分について星刃解放許可をくれ!」
光球はただ静かに淡い光を放つ。少しの沈黙の後、再びビセンテと名乗った女性が声を発した。
「・・・お前、頭に虫でも湧いているのか?怒りを通り越して呆れるというが、本当なんだな。星刃不携帯で勝手に敵地へ潜入したってだけでもあり得ないのに、更に敵に見つかった挙句にウィルマは置き去りにして逃げ帰ってきただと?そのうえ次は星刃を持ってノコノコとまた敵地に行くって、・・・最早、馬鹿馬鹿しすぎてお前と話すのも嫌になるよ」
冷淡な声を放つ光球に向かってシクステンは苦虫を噛むような表情をして押し黙る。
今回の件が失態であったことは十分わかってはいることだったが、この女はいちいちその傷口をえぐるような言い方をするから嫌だった。
「とりあえず魔元石の件はこちらで対処を考える。ウィルマは囚われているようなら切り捨てだ。お前は追っ手をまいたんならとっとと本拠に戻ってこい、以上だ」
追っ手という言葉にハッとしたシクステンはビセンテの指示に対しても口をつぐむ。
「・・・お前、まさかだが、追っ手の想定もせずにここまで逃げてきたのか?もしそうなら信じられんくらいの阿呆だな。ちゃんと追っ手を処理してから戻れよ。無理ならもうそのままそこで死ね!」
吐き捨てるような言葉と共にブツっと音声が途絶え、光球は霧散した。
「くそ!そんな言い方しなくてもいいだろ!それにウィルマを切り捨てるって、・・・ふざけるな!」
シクステンが怒りに任せて岩を蹴り上げた。その打撃音が虚しく響く。
だが、追っ手に関してはビセンテの言うことは最もである。
しばらく肩で息をしながら怒りがおさまるのを待ち、それからシクステンは目を閉じて集中した。
「・・・二人だな。流石にこんなところが拠点とは思えないから様子見してるってところか」
シクステンは目を開けると再び岩に手を掲げた。
「アリエルを解放だ」
その声に応じて岩に刻まれた紋が仄かに発行すると、続いて大地に円形の紋様が浮かび上がり、紋の中央から柄を上向きにした一本の剣が天に向かって突き出た。
シクステンが剣を大地から引き抜き、抜刀しながら振り返り漆黒の刀身を有する剣を構える。
額には再び黒い紋が浮かび上がり、シクステンから発せられた膨大な魔力が剣に注入されていく。
「出てこい!ここで相手になる!」
シクステンの声が闇夜に響く中、しばらくしてから追っ手の二人、ランデルとミリアがシクステンの前に姿を現した。
「お仲間のところまで案内してくれるとありがたかったが、そこまで上手くはいかないか」
「いや、このような場所があったということを知っただけでも一先ずは収穫だ。こいつを処理したら人をかけて、ここら辺一体をくまなく調査しよう」
二人は剣を抜刀し、魔力を込めながら悠然とシクステンに歩み寄る。
「・・・神剣持ちか。あんたらも鳳ってやつなのか?」
シクステンの問いにミリアが不愉快そうな表情をした。
「その質問に何の意味があるか知らんがここまで来ておしゃべりをするつもりは毛頭ない!」
ミリアが駆け出し一気に間合いを詰めて、一閃、剣を横に斬り払う。
凄まじい速度の斬撃をシクステンが漆黒の剣で受け止めると、その衝撃で大地が震えた。
「はは、ちゃんと質問に答えろよ。そういうのは失礼らしいぞ!」
すかさずシクステンがミリアの足元に火球を放る。火球が大地に着弾すると一瞬で大きな火柱を生んだ。
回避のため、後方に跳んだミリアを着地前にシクステンが剣を払いながら追撃する。
今度はミリアがその剣を受ける形となり再び大きな衝撃が発生する。
宙で剣を受けたミリアはその威力に押され後方に大きく吹き飛ばされた。
受け身を取りながら着地したミリアにシクステンが間髪入れず風の刃を放つ。
その風の刃をフォローに入ったランデルが神剣に込めた魔力で叩いて相殺した。
「ミリア、あの剣・・・」
「ああ、神剣の一撃を受けてもびくともしない。神剣相当と考えた方がいいな」
「そうだな。それに複数系統の魔操か・・・。ミリア!油断せず連携して全力でいくぞ!」
颯爽とランデルが渾身の力を込めて斬りかかり、それをシクステンが受ける。その隙にミリアがシクステンの背後に周り、前後を挟んだ。志征が得意とする戦いの形である。
そこからは一方的な展開となった。
ミリアとランデルが正面と背後から矢継ぎ早に強烈な攻撃を放ち、防戦することで手一杯となったシクステンの体に無数の切り傷をつけていく。
鳳二名を相手にしていることを考えれば、シクステンは善戦したといえるだろう。
だが、効果的な反撃をすることも叶わず、ついにミリアによって剣を握る利き腕が切り飛ばされた。
「ぐぅ!くそっ」
激痛と共に大量の血を流す右腕を抑えながらシクステンはその場に膝をつく。
鋭い目で二人を睨みつけるも既に勝負は決していたこともあってか、鳳の二人が切先を下げる姿がその目に映った。
「・・・俺達を相手によくもったもんだ。正直、一対一なら結果は分からなかったな」
「そうだな。敵とはいえその実力は賞賛に値する。さてと・・・」
ミリアは熱火の魔力で火を起こすとシクステンの出血した腕の断面を焼いた。
「ぐあぁぁ!」
「静かにしろ。止血してやってるんだからありがたいと思え」
「やっぱ、連れて帰るのか?」
「当然だ。こいつには色々聞きたいこともあるからな。拷問にかけて色々吐いてもらうつもりだ。むしろ連れて帰らない選択肢を思い浮かべることの方が不思議なんだが?」
「まぁそうだが。・・・運ぶのは俺、だよな?」
「当然だ」
「だよな」
ランデルはシクステンを一瞥してから面倒くさそうにため息を吐いた。
「万が一にも逃げられないように足の腱も切らせてもらう。安心しろちゃんと止血もしてやる。・・・ランデル、処置に少し時間がかかるからその間に軽くさっきの岩の調査でもしててくれないか」
「へーへー、かしこまりましたよっと」
頭をかきながらランデルが岩の方に向かって歩きだす中、ミリアはゆっくりと丁寧にシクステンの足を抑え付ける。
最早この期に及んでは抵抗してもどうにもならない状況であることを理解していたシクステンは無抵抗でただ目を閉じた。
「ふむ、いい心掛けだ」
直後、不快な感触と共に足に激痛が走った。
「ぐぅっぐくっ」
シクステンは苦悶の表情を浮かべつつも、歯を食いしばって痛みに耐える。
そんな中、突如、ランデルが調査しようとした岩の上部に光球が現れた。
「な、なんだ!?」
突然の異変に、ランデルが臨戦体勢で剣を構える。光球からは女性の声が発せられた。
「やれやれだな。万が一に備えて魔力の充填を開始しておいたよかったよ」
「女の声!?何者だ!」
「シクステン!そこは『放棄』だ!意味は分かるな!」
ランデルの問いかけに一切答えることなく、光球は闇夜に響き渡る声を放つ。
「まじかよ、相変わらず無茶苦茶な女だ」
シクステンが顔をしかめながらそうこぼすと、異様な気配を感じたのかミリアがシクステンの胸ぐらを掴み怒鳴る。
「おい!今のはどういう意味だ!?答えろ!」
「・・・慌てなくても、すぐに分かるさ」
シクステンの言葉通り、すぐに変化は訪れた。
大地が唸りをあげて振動し周囲にあった岩がそれぞれ発光を始める。一帯は凝縮された高濃度の魔力に包み込まれた。
「マズい!ランデルこの場を離れろ」
ミリアとランデルが退避のために駆け出した瞬間、二人に強い魔力の荷重がかかりその足が止まる。
焦った表情で振り返ったミリアが、シクステンの行動を視認して愕然とした。
芋虫のように大地に這いつくばって二人を見据えるシクステンの手から、紫の光を帯びた震重系の魔力が放たれていたのだ。
「はは、二人とも逃がさないよ。まぁとりあえず、・・・くらっとけ」
瞬間、全てが真っ白に染まる程の強烈な閃光がほとばしり、雷鳴を凌ぐ程の轟音と共に高濃度の魔力が付近一帯を飲み込みながら大きく爆発した。
爆発の後、大地にはその凄まじい威力を物語るかのような直径五十メートル程の大きな窪みだけが残る。
爆発に巻き込まれた三名の姿は見あたらない。
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