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第四章 星天燃ゆる雪の都
五幕 「邂逅」 五
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「と、まぁそんなところだ。信じてもらえたかな?」
リアスが先程かざした手を下ろし、ニヤリと笑みを浮かべる。
「それでもにわかには信じられんのう・・・」
皆が呆気に取られる中、モードレッドが顎髭をさすりながら大きく息を吐いた。
「ふふ、まぁいいさ。敵対する俺たちの言葉を鵜呑みにできない気持ちもわからなくはないからな。だが、星の意思は十分感じてもらえただろう」
リアスの言う通りであった。言葉で否定しようとしてもアスの心と体が星の意思を事実だと認めてしまっている。それと同時になぜこの星がここまでアスたちの存在を忌み嫌うのかという疑問も湧き上がっていた。
「・・・星はなぜ僕たちを排除しようとしているのだろうか?」
アスが呟くように抱いた疑問を口に出すと、その声が聞こえていたようでリアスが応じる。
「ん?それを四つめの質問とするか?」
アスは少し考える素振りを見せてから首を横に振った。
「いや、やめておく。聞いたところで星の意思を変える術が分からなければ意味がないし、おそらくだが、あなた達もその術を知らないだろう」
リアスのまゆがピクリと動く。
「なぜそう思う?」
「僕たち人類を滅ぼそうとするのは星の意思によるものだと言ったからだ。裏を返せば、それはあなた達の意思じゃないということになる。おそらく星の意思を変える術があるのならあなた達が真っ先に実行したいんじゃないか?それでも実行しないとなると、あなたたちは現状、星の意思を変える術を持ち合わせていないということになるだろう」
アスの意図を聞いたリアスが笑みをこぼす。
「なるほどな。ふふ、確かにそういう発想もあるか。まぁそれについてはノーコメントということにしておこう。それで、後二つの質問はどうする?時間も長くなってきたから端的なものでお願いしたいが」
リアスが質問を促すと、アスがそのまま続けて発言する。
「・・・しばらくユフムダルに近づくなと言った真意を聞きたい。みんなもそれでいい?」
モードレッド、レン、シオンの三人が構わないと頷きを返す中、エラルだけは腕を組んで考え込む様相を見せた。
「エラルは?」
「うーん、それで構わない・・・かな。だけど最後の質問は俺からさせてほしい」
「何を聞くつもりなの?」
「リアスがセレンティート国の王位継承者なのかどうか、だ。悪いけどこれだけはどうしても確認しておきたい」
元セレンティート国の三煌でエルダワイスの六華でもあったノエル家、その血を引くエラルにとって、リアスがセレンティート国の王位継承者であるのかどうかは当然確認したいことだったであろう。
その強い意思を感じさせるエラルの眼差しを受けてアスは静かに頷いた。他の三名も異論はない様子である。
その様子を見ていたリアスが不思議そうに首を傾げる。
「俺が王位継承者かどうか?もしかして、お前たちは何も気づいていないのか?」
「どういう意味だ?」
明らかに何かを知っている素振りを見せるリアスに対してアスの語気が若干強くなる。
「いや、なんでもない。・・・今言った二つの質問に答えてこの場はお開きにしよう」
「駄目だ!知っていることがあるなら話せ!」
「断る。話せる範囲だけしか話さない、これ以上の譲歩もないと言ったろう?無理を通すというなら不本意だがお前たちの命をもらう」
「くっ!」
リアスの冷徹な言葉によって、圧倒的不利な立場であったことを再認識させられたアスは苦虫を噛むような表情で押し黙った。
「よし。では王位継承者かどうかから答えよう。俺はセレンティート国の王位継承者ではない。ただし、お前たちの王と同様の力を持ってはいるがな」
「おい、リアス、それは流石に喋りすぎじゃないか!?」
ここまで黙っていたビセンテが突然割って入るがリアスは穏やかな表情を浮かべて首を横に振った。
「いいさ、今の俺たちにとっては最早瑣末的なことだ。そうだろ?」
「・・・確かにそうかもしれないが、それでも!」
「ふふ、もう最後の質問だからビセンテは黙って成り行きを見守ってくれ」
そう言われたビセンテは目を伏せ再び口をつぐんだ。
「最後はユフムダルのことだな。・・・俺たちは近くユフムダルへ大規模な攻撃を仕掛けるつもりでいる」
「えっ!?」
それを聞いたアスたちの空気は一気に緊迫したものへと変わる。
「さっきも言ったがジゼルが大切にしたいと言ったアスは俺にとっても大切な存在だ。だからその攻撃にお前を巻き込みたくない。近づくなと言ったのはただそれだけのことだよ。・・・まぁ偶然とはいえ、このタイミングでシクステンが奇跡的にお前をここへ引き連れてきたのは本当に良かった。ユフムダルを攻撃する際に、もしかしたらお前がユフムダルにいて巻き込まれるかもという僅かな可能性を懸念していたからな」
そう言うとリアスはゆっくりと席を立ち上がる。
「話は以上だ。今からホゾの道の形を変えてお前にお願いした輝葬を行う遺体の場所まで一本道にする。そこで輝葬を終えたらシクステンの剣を大地に突き立てろ。それが確認できたらここにきた時と同じように光の魔球で入り口まで送り届ける」
リアスは体を翻すと広間奥の扉に向かって歩き出した。その後ろをビセンテとシクステンが続く。
「ま、待て!」
アスが慌ててその後ろを追おうとするがモードレッドがそれを制した。
「もうよいじゃろうて。ここは一旦引こう」
ふと、リアスがその足を止めてアスに再び視線を向ける。
「そうそう、言い忘れたていたがホゾの道を荒らすなと言った件だが、ホゾの道はお前たちアリオンにとっても重要な場所になるから、間違っても破壊とかするなよ」
そう言い残すとリアス達は広間奥の扉の中へ姿を消した。
すぐに洞窟の岩肌が軟体生物のように歪み始め、リアスが去った扉を塞ぐとともに、アスたちが来た道をも塞ぐ。代わりに広間側面に円筒状の通路が現れた。
「ここを進めということじゃろうな。さぁ皆、先に進もう」
モードレッドに促され、アスたち一行は新たに出来た道に向かって歩き始めた。
リアスが先程かざした手を下ろし、ニヤリと笑みを浮かべる。
「それでもにわかには信じられんのう・・・」
皆が呆気に取られる中、モードレッドが顎髭をさすりながら大きく息を吐いた。
「ふふ、まぁいいさ。敵対する俺たちの言葉を鵜呑みにできない気持ちもわからなくはないからな。だが、星の意思は十分感じてもらえただろう」
リアスの言う通りであった。言葉で否定しようとしてもアスの心と体が星の意思を事実だと認めてしまっている。それと同時になぜこの星がここまでアスたちの存在を忌み嫌うのかという疑問も湧き上がっていた。
「・・・星はなぜ僕たちを排除しようとしているのだろうか?」
アスが呟くように抱いた疑問を口に出すと、その声が聞こえていたようでリアスが応じる。
「ん?それを四つめの質問とするか?」
アスは少し考える素振りを見せてから首を横に振った。
「いや、やめておく。聞いたところで星の意思を変える術が分からなければ意味がないし、おそらくだが、あなた達もその術を知らないだろう」
リアスのまゆがピクリと動く。
「なぜそう思う?」
「僕たち人類を滅ぼそうとするのは星の意思によるものだと言ったからだ。裏を返せば、それはあなた達の意思じゃないということになる。おそらく星の意思を変える術があるのならあなた達が真っ先に実行したいんじゃないか?それでも実行しないとなると、あなたたちは現状、星の意思を変える術を持ち合わせていないということになるだろう」
アスの意図を聞いたリアスが笑みをこぼす。
「なるほどな。ふふ、確かにそういう発想もあるか。まぁそれについてはノーコメントということにしておこう。それで、後二つの質問はどうする?時間も長くなってきたから端的なものでお願いしたいが」
リアスが質問を促すと、アスがそのまま続けて発言する。
「・・・しばらくユフムダルに近づくなと言った真意を聞きたい。みんなもそれでいい?」
モードレッド、レン、シオンの三人が構わないと頷きを返す中、エラルだけは腕を組んで考え込む様相を見せた。
「エラルは?」
「うーん、それで構わない・・・かな。だけど最後の質問は俺からさせてほしい」
「何を聞くつもりなの?」
「リアスがセレンティート国の王位継承者なのかどうか、だ。悪いけどこれだけはどうしても確認しておきたい」
元セレンティート国の三煌でエルダワイスの六華でもあったノエル家、その血を引くエラルにとって、リアスがセレンティート国の王位継承者であるのかどうかは当然確認したいことだったであろう。
その強い意思を感じさせるエラルの眼差しを受けてアスは静かに頷いた。他の三名も異論はない様子である。
その様子を見ていたリアスが不思議そうに首を傾げる。
「俺が王位継承者かどうか?もしかして、お前たちは何も気づいていないのか?」
「どういう意味だ?」
明らかに何かを知っている素振りを見せるリアスに対してアスの語気が若干強くなる。
「いや、なんでもない。・・・今言った二つの質問に答えてこの場はお開きにしよう」
「駄目だ!知っていることがあるなら話せ!」
「断る。話せる範囲だけしか話さない、これ以上の譲歩もないと言ったろう?無理を通すというなら不本意だがお前たちの命をもらう」
「くっ!」
リアスの冷徹な言葉によって、圧倒的不利な立場であったことを再認識させられたアスは苦虫を噛むような表情で押し黙った。
「よし。では王位継承者かどうかから答えよう。俺はセレンティート国の王位継承者ではない。ただし、お前たちの王と同様の力を持ってはいるがな」
「おい、リアス、それは流石に喋りすぎじゃないか!?」
ここまで黙っていたビセンテが突然割って入るがリアスは穏やかな表情を浮かべて首を横に振った。
「いいさ、今の俺たちにとっては最早瑣末的なことだ。そうだろ?」
「・・・確かにそうかもしれないが、それでも!」
「ふふ、もう最後の質問だからビセンテは黙って成り行きを見守ってくれ」
そう言われたビセンテは目を伏せ再び口をつぐんだ。
「最後はユフムダルのことだな。・・・俺たちは近くユフムダルへ大規模な攻撃を仕掛けるつもりでいる」
「えっ!?」
それを聞いたアスたちの空気は一気に緊迫したものへと変わる。
「さっきも言ったがジゼルが大切にしたいと言ったアスは俺にとっても大切な存在だ。だからその攻撃にお前を巻き込みたくない。近づくなと言ったのはただそれだけのことだよ。・・・まぁ偶然とはいえ、このタイミングでシクステンが奇跡的にお前をここへ引き連れてきたのは本当に良かった。ユフムダルを攻撃する際に、もしかしたらお前がユフムダルにいて巻き込まれるかもという僅かな可能性を懸念していたからな」
そう言うとリアスはゆっくりと席を立ち上がる。
「話は以上だ。今からホゾの道の形を変えてお前にお願いした輝葬を行う遺体の場所まで一本道にする。そこで輝葬を終えたらシクステンの剣を大地に突き立てろ。それが確認できたらここにきた時と同じように光の魔球で入り口まで送り届ける」
リアスは体を翻すと広間奥の扉に向かって歩き出した。その後ろをビセンテとシクステンが続く。
「ま、待て!」
アスが慌ててその後ろを追おうとするがモードレッドがそれを制した。
「もうよいじゃろうて。ここは一旦引こう」
ふと、リアスがその足を止めてアスに再び視線を向ける。
「そうそう、言い忘れたていたがホゾの道を荒らすなと言った件だが、ホゾの道はお前たちアリオンにとっても重要な場所になるから、間違っても破壊とかするなよ」
そう言い残すとリアス達は広間奥の扉の中へ姿を消した。
すぐに洞窟の岩肌が軟体生物のように歪み始め、リアスが去った扉を塞ぐとともに、アスたちが来た道をも塞ぐ。代わりに広間側面に円筒状の通路が現れた。
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