「化け猫」

夢幻

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化け猫 二話 完

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窓をカリカリする音に、花梨は二階の窓を開ける


「にゃぁ~」と鳴き、スルッと入ってくる


「雪乃、もう寝る所だったわよ。もう少し、早く帰ってきなさいよ。今日は遅かったわね」

猫は花梨の腕に飛びつき、

少女は、抱き止める白い猫を

片手で猫を抱き、窓を閉める
そして、少女はクルッと回り窓に背を向ける


部屋はベッドに机クローゼット、
オレンジのシャーベットトーンの壁紙に
森の木々のような濃いグリーンの本棚の横に
猫柄のバックにが下にあって、
バッグから「化け猫の作り方」と
書かれている本の背表紙が見える


「ん?なんか火薬の匂いがするわね、大丈夫?花火でも投げつけられたの?でも、焦げてないわね?」
と花梨は、猫の脇を両手で持ち、
猫はダラーんと手足を伸ばしていて
花梨は色んな方向から見る


「???火薬の匂いするけど、どこ歩いてきたの」
と両脇を抱いたまま、
猫に顔を近づけて言い、
猫はごろごろ音を立て、ニャンと鳴き
(この間の男達を退治してきましたよ)

そして、絨毯に降りた


花梨は思う、老猫のさくらを見て 
(歳にしては元気と思うけど、猫って歳取ってもこうなの?1日寝てる話聞くけど?なんか結構外行くけど?図書館で「化け猫の作り方」の本があって、面白そうで借りて7箇条見たけど、6個当て嵌まったのよね、笑っちゃたけどw)


化け猫になる素養のある七か条

一、家と外の行き来を自由してる

ニ、猫まんま

三、毎晩一緒に寝る

四、一緒にいると、猫がいつも自分を見てる

五、夜起きると、猫も起きている

六、いつも、大好きよと猫に言う(毎日)

七、猫に心配をかけない


「火薬の匂い、気にする事ない?大丈夫かな、
今猫誘拐流行っているって聞いたし」

そんな事を言い、
うーんどうしようかなって感じで、

花梨はちょっと部屋の中を片付け、

30分後、

自分の部屋の電気を消してベッドに入った


猫は、
花梨の足元の布団の上で丸くなっていた
自分が、花梨に拾われた日の事を思い出している
花梨へのお礼ができて嬉しくて、
自分の拾われた日の事を思い出していた
寝つきのいい花梨の寝息を聞きながら

布団がホワんと暖かい
今日布団干したんだママさんと
幸せな温かい気持ちになりながら



雨の降る春の日に、

この家の庭に、

塀越えでポンと投げ入れられた

地面に落ちて痛くて、ニャーニャー鳴いた

冷たい泥が付いて、ニャーニャー鳴いた

寒かった。

地面も泥も雨も冷たく寒かった


泥の入った目で、気色は霞んで見えた

みんなと離れたのも怖かった

みんなと、袋の中に入っていた

狭かったけど、暖かかった

そこから、急に掴まれてポンと投げられて

車の発進する音が遠ざかっていって

木の回りの茂みに、体を寄せた

どんどん暗くなってきて、雨も止まなかった

体が痛くて、動く気にもなれなかった

ガラガラと音がした

音と声で、女の子が家から出てきたことがわかった

自分に近付いて来た

草やビショビショと泥水を踏む音がした

私は、ずっと鳴いていた

ニャーニャーと

ガサガサと、草を掻き分ける音がした

鳴く事を止められなかった、怖くて

ポンとほかるように
人間に投げられコトが怖かったから

少しづつ後退していた私は、木に体があたり

ジッと、緊張していた

突然、しゃがんだ女の子が

私を持ち上げ「猫がいる、子猫が」と

大きい人間に私を見せて、今に至る


今もこうして色々悲しい事を思い出すけど、

でも、こうして思い出していられるのは、

私が花梨のそばにいるから

花梨が、私をそばに置いてくれてるから


あの時、怖くてニャーニャー鳴いていた

でも、もしかして助けてくれると

期待して鳴いていたのか、

よく、わからない

よく、思い出せない


毎日過ごす内に、

恩返しがしたいと思うようになって十年過ぎ、

何もできなかったな、そばいるだけだった

死期間近でもう無理かなと思っていたら、

ある日化け猫となって、

健康で元気になっていて寿命が伸びていた!


老体なのに元気!


人間ならお婆ちゃんなのに、

化け猫になると

二十歳のお姉さん姿になるから、びっくり!


化け猫になってから、すこぶる快調

寿命、何年伸びたのかわからない10年?20年?
化け猫の寿命は、100年?


寿命が伸び

ご主人様を色んな危険から守りたいと切に思った


心配だった、もう長くないなと思っても

老体で眠るばかりだったけど、

外の散歩だけは行っていた 

塀の上や屋根の上を渡り繋いで

その日は、

ちょっと遠出して

花鈴が帰ってくるのに出くわした

お友達と話ながら、学校から帰ってくる所だった


塀の上にいる私には、気づかないようだった


楽しそうな声で、

その時バンが、

花梨達にキューっと近づいて止まった

その瞬間、驚いた花鈴のご友人が、

咄嗟に大声出し、

ご主人様を引っ張り、

門邸のないすぐ近くの家のドア叩き反応がなく

持っていた学生鞄を、

庭の窓ガラスに投げつけ、

ガッシャーンと大きな響く音、

派手にガラスを割った音だった。


男達は、大きな音に驚き、

すぐにバンに乗り込み、車で退散


実行力のあるご友人に感謝したわ

女子なのに、ガラス窓割って

その場で警察に連絡して、

花鈴が帰ってくるのは遅かった

ガラスを割ってしまった家は

その時留守だったようで

ガラスは、ご友人の家と折半で払ったらしい



私も一緒にいたかったけど

体が辛くなってきて

花鈴達、もう大丈夫だし

花鈴のご友人のおかげで警察来るしで

安心して帰ってきた

動けなかった自分に腹を立てながら


ご主人様、ちょっとwトロくて

今後を心配したわ


また、
自分が情けなくて、情けなくて

なんの役にも立たないって


バンパーの数字も匂いも記憶してたけど

死期間近い私では


老体で動けなかった事に

この体ではそばにいても、なんの役にも立たないと


前だったら、

飛びついて噛みついて、

引っ掻く事もできたのに、

体が重くて、男達に飛びつけなかった


折角の恩返しのチャンスに

今までのお礼が何もできなかった

これからも、危険な事があるかと思うと

死期間近の私にはと思うと、悲しくて悔しくて

本当にショックだった

毎日、毎日その事ばかり考えていた

シクシクと


おうちの子にしてくれたのに

左脚も直してもらったのに


あの時、庭に投げ入れられた時に

私の左足は骨折していた

翌日病院で、脚を固定してもらった
(ママさん、パパさんに感謝したわ、のちね)
(あの時は、キャー板くっつけるって思った)
(板取って、動けるし痛くなくて理解したわ)


治ってから

家の外を散歩する度に、塀を屋根を歩いては、

自分が何処から来たのか、

わかる限り見て歩いて回った

記憶は曖昧でわからなくて、

その内探すのは断念したけど、

だけど、高台にある公園に行ったり、

他の高い場所から街を一望できる場所から、

何処と思っては眺めていた
(最初の頃は、私と同じで庭のある家で、
結構近くじゃないかなって思っていた)
(普通に捨てるよりはと思ったとは思う)

もう、記憶の中にしかない風景
(袋に入っていたから家の外の景色を見た訳じゃない)
(でも、家の中の匂いは覚えていたる)
(車に乗っていた時間を考えると)


でも、それらしい猫はいなくて
わかるわけないとも思った
(記憶の中の風景は、どんどん曖昧になっていく)

一緒にいたのは兄弟達

彼らは、何処にと思う..

紙の袋にぎゅうぎゅうに入っていた
窮屈だけど暖かった
急に捕まれて、寒くて怖かった
みんなと離されて、怖かった

もう微かにしか、匂いの記憶がなくて
さみしかった、花鈴がいても


その匂いの記憶も
花鈴を襲った車のナンバーと

男達の匂いを忘れないようにと、

ずっとそこに集中してて、

兄弟達の匂いは遠のいてしまった

微かに残っていたモノが

もう、無いに近かった

記憶の底を、どんなにさらっても


あの頃は、
匂いを忘れてないうちにと思っていた

猫だから、行ける範囲もそこまで遠くなくて

大事にしてくれる花鈴を置いて、

家を出て探しにいけなかった

帰らないのが続くから

ご主人様と、離れるのも怖かった



けど、化け猫になって色々なモノが明瞭になり



化け猫になってパワーとスピードがでて

簡単にひっと飛びができるようになって

また、たまには探してみようかなと思う

怖くて近づけなかった人間



猫仲間達が、
人間に捕まったと言う話を聞いても
ナニもできなかったけど

パチンコ玉、ボウガンのマト

連れてかれて殺されてる話


けど、
これからは猫狩りしてるのを見つけて
反撃するの


化け猫になった今、なんでもできる

とても、嬉しい


ただ
・・・なんで白い毛なみの私が、

癖毛の巻き毛になるのが不思議だけど

「こち亀」のアニメ、

ウェスタン・ハットを被ったお姉さん姿を

花梨がネットで見ていたのが

印象に残っていたせいかなとも思う


彼女に似てる私

近況で印象に残っているモノ影響する?と思った


化け猫の仲間もできて
一緒に、ご主人様の仇が取れた


これが本当の「キャッツ・アイ」と思った

「これで、色んな事件解決よ」

と化け猫は、眠りに落ちた



化け猫 完


あとがき
お付き合い頂きまして、ありがとうございます😸
「蛇女郎」へと続きます
「蛇女郎」は、また別の女の子と蛇のお話
その前に、化け猫と蛇の活劇が少しあります
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