「化け猫」

夢幻

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「蛇女郎」3 ☁️

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境内のほぼ中央の参道の場所から、ぐるっと回りを見渡す

私が、やってくるとでも思うのだろうか

手水から離れた場所の木々や草の茂み等、雑草をかきわけ探している
念入りだ、私は緑色で見つけにくいと思っているようだ

いつものように、地面に絵を描いたりケンケンパッをしない、探して疲れてはしゃがみこんで座ったりしては、また立って探し始める

「可愛いい」と言われて気分が悪くない訳ではないが、姿は見せなかった


2日目、階段を上がってきてタッタッタッ、タッと一直線に賽銭箱の中をのぞく、拝殿の屋根を見上げる。ガランガランとなる鈴も、ぐるっと上を見渡す

一晩、一生懸命考えたらしい

そして、むむっとした顔で昨日と一通り同じ場所を探している
やはり目につく場所と思うらしい

女の子は、鳥居から少し離れた木影のあるベンチに座る。流石に疲れたようで、結構座っていて、風はそよそよと吹いている


女の子は、ゆっくりとベンチから離れ、境内の真ん中参道に立って、ぐるっと境内を見回し

「明日出てきてね、明日見つけるからね。一緒に遊ぼうね」
と大きな声を、体一杯に張り上げる


いつも思う、神社の境内は明るい


境内に降り注ぐ陽光が、
地面の白い砂、白い参道、拝殿の白い壁に、
カッと反射し眩しくみせ、境内の神性な気をさらに白く明るく見える


3日目、女の子がいつものように遊びもせず
探し回ってあまりにしょぼんとしているので、鳥居近くの伸びた木の枝からシャーシャー音を立てた
🌱
女の子は、キョロキョロ見渡し、考え込んでは見渡し、音のする方に近づき、木の上の枝にいる私を見つけた

彼女の3倍以上高さのある枝にいる、私を見つけた

「わぁ、いた。見つけた。いなくなっちゃたのかと思った。よかったぁ。枝にいたらわかんなぁい。声出してくれてありがとう」
目いっぱい開いて、私を素敵なモノでも見るかのように弾んだ声で言う
「カッコいい」キラキラした感じで言う

私は、頭をスッと木の枝から下に下げた。
高さは彼女の3倍の所、長い体を少し下げたからといっても彼女には届かない
私は、下げた頭からスルッと下に着地
女の子は、わぁっと喜び拍手をした



続く→
「蛇女郎」4
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