「化け猫」

夢幻

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「蛇女郎」4 ☁️

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そんなある日
「わたしの名前、かりんって言うの。名前なんて言うの?」
「... 」念は送らなかった。
私に名前はない、生物として人間がつけた名前があるだけ、蛇と言う。蛇でも、なんでもいいですよと思っていた

「葉っぱと同じ色だよね。みどり、みどり色だけどミドリ????」
私をジッと見る見る、ジッと見る

真剣に一生懸命、どうしようと私を見てて可愛いかった。私を何度も見て

「なんか、違うよね」、んーと悩んでる

 (適当でいいのに)と思う

「適当じゃダメ!あおば、あおばにしよう。葉っぱのこと、あおばって言うんだよ、おじいちゃん言ってた」

(えっ)て思った。
(聞こえるのか?たまたまか?感がいいのか?)と、んーと思う

「はざくらって言葉もあるって言ってた。葉っぱ。でも、はざくらて感じしない」

(そうだね)と思う

「あおば、あおばでいいかな」、かりんはジッと私をみる

ふーん、いいよって感じで頭を縦に振ってみた

かりんは、ぱぁーと喜んだ顔をして
「あおばに、決定!」と弾んだ声で言った

私は、『あおば』とかりんに呼ばれるようになった

私も、この日から女の子をかりんと言うようになった

かりんは、神社に来ては、私に今日あったことを喋ったり、地面に石で私を見て描く。絵は大きかったり、小さかったり、細かったり、太かったり、色んな私を描いた

私は、女の子のモデルもしていた

また、ある時はシュルシュルとかりんが一方的に追いかける鬼ごっこをしていた時

「あ、そのまま、そのままでいて!影が長い。描く!描きたい」と言って、

かりんは石で私の長い影をなぞり、今迄にない長い大きい私を、地面に描いた


翌日には、大半は消えてしまう石で描いた砂の絵。大体週4、5日来るかりん。3日の時もある

最初の頃は次の日消えてしまう砂の絵に、何も思わなかったが、来ない日もあって、絵が描かれる事はなく、だんだんと次の日には薄くなって消えてしまう地面に書かれた絵を見ると、少し残念な気持ちを思うようになっていて

私は、かりんが来るのが待ち遠しくなっていった

かりんが来るのを待つ場所も変わっていった

鳥居近くの木の枝や、ベンチの背もたれと花鈴が階段を登って来るのが見える所に身を置いて待っていたり、時には驚かそうと鳥居の横棒の所に居て、かりんの目の前にシャッと着地したりしていた

そして、かりんが帰る迄、遊ぶ日々だった


続く→
「蛇女郎」5
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