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「蛇女郎」
「蛇女郎」10 ☁️
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かりんの両親に、もう捨てなさといわれたモノは沢山あるが、可能な限り残して押し入れに入れてある
かりんの親には呆れられたが...
ぬり絵も着せ替えもスケッチブックも、かりんが戻ってきた時に無かった悲しい気持ちになると思う
景色も色々変わっている
かりんの両親も、見た目が変わった
いつ戻ってくるかわからなかったにしても...
十年、こんなに長くなるとは思わなかった
だけど、ぬいぐるみや人形は部屋に置いてある
かりんが幼稚園の頃の物だから、かりんの今の年齢にはあってない、少々汚い
かりんの友人が来てベッド本棚にぬいぐるみや人形を見て「まだ、そんな物持ってるの」と言われる
まあ、今風でないし見た目が薄汚い
私は家にいる時は、ぬいぐるみを常に待っていた
持っていた方が、かりんが目が覚めるのではと期待と、大事にしている様子を見せてかりんの両親も捨てなさい新しいの買ってあげるからと言っている物を、勝手に捨てないだろうと思っていた
それは功を奏しただろう
小三の時、かりんの母親が
「かりん、その兎さんだいぶ汚れているから、一回クリーニングにだしましょう。きれいにしてもらいましょう」と言われ、確かに最初見た頃より汚れているとは思ったので、承諾をした
「私も一緒にクリーニングに行く」と言った
母親は信用されてないと思ったらしいが、一緒に兎をクリーニングに出しにいき、1週間後母親が
「兎ちゃん、クリーニングすんだわよ」
と渡してくれた
「ぜんぜん、キレイになってない」と言った時、かりんの母親は苦笑していた
「どうして、クリーニングに出したよね」
「一緒に、出しに行ったわね」
兎のぬいぐるみを見て驚く私に、遠慮して何も言わなかった
クリーニングに出しても取れない程の汚れ??
相当汚れていたと自分でも思うし、出したよね、出したと思うと自問自答していた。一緒に行って、母親とぬいぐるみを出した記憶がちゃんとあると何度も頭の中で確認をしていた
「兎、感触がパリっとしてる。固い」
かりんの母親は、あっと言う顔をした
ぬいぐるみは、以前の柔らかい感触がなく私には、それもショックだった
泣きそうな顔をしていたと思う
かりんの好きな兎を、台無しにしてしまった気持ちだった。クリーニングに出して汚れが取れず、以前のような柔らかな感触が無い事は、ショックと同時に私に色々な事を理解させた
まあ、それ位汚れの落ちないぬいぐるみが、かりんの部屋に置いてある訳で、かりんの友人達がそう言うのも当然で...
続く→
「蛇女郎」11
かりんの親には呆れられたが...
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