再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~

松本ユミ

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偶然の再会

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「ねぇ、君。ちょっと待って」

周りに人の気配はしない。
もしかして私のことだろうか?
さっきの会社の人からお金はピッタリもらったし、領収書も渡したから特に問題はないはずなんだけど。
振り返ると、先ほど会議室で会った男性がいて目が合う。
やはり私のことを呼び止めていたんだ。
不思議に思いながらも声をかけた。

「あの、何か?」

「……美桜だろ、夏木美桜」

いきなり私の名前を呼ばれ、思わず眉間にシワが寄る。
どうして私のことをこの人が知っているんだろう。
警戒しつつ口を開く。

「そうですけど、あなたは?」

「俺のこと、忘れたのか?」

「えっと……」

誰だろう。
忘れたのかと言われ、困惑する。
目鼻立ちの整った端正な顔で、艶やかな黒髪は緩くパーマをかけているように見える。
長身で濃紺のスーツを身にまとい、人目を引くような容姿の人だ。
その辺のアイドルも顔負けのイケメンで王子様みたいだ。
こんな格好いい人が私の知り合いの中にいただろうか。
学生時代は高校も短大も女子ばかりで、あまり男性に免疫がある方ではない。
悲しいかな、今までの人生で男性との接点はほとんどないに等しい。
だから、記憶の糸を辿ってみたものの、思い当たる人物がいない。

「マジで分からないのか?」

何も言えないでいたら、目の前の男性は不機嫌な表情で私を見る。
そんな顔されたら覚えていない私が悪いみたいなんだけど。
そもそも、ここまでのイケメンだったら一度見ていたら忘れないと思う。
ギブアップとばかりに謝罪した。

「すみません」

目の前の男性は大きくため息をついた。
そして、グッと私との距離を詰めてきて自分の名前を口にした。

「鳴海哲平」

えっ、今何て?
ナルミテッペイ?

その名前には聞き覚えがあった。
でも、その存在は私の中で封印した人物の名前。
出来れば二度と会いたくなかった人だ。
私は顔をひきつらせながら一歩後ずさった。

「その顔は思い出したみたいだな。約十二年振りの再会……になるのかな」

そう言って不敵な笑みを浮かべる姿を見て私は目眩がした。

鳴海哲平、私の幼なじみだ。
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