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甘い?同居生活

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洗面台の鏡を見ると、ノーメイクの私の顔が映る。
初めはテツの前でノーメイクの顔を見られることに抵抗があった。
だけど、ずっとメイクしている訳にもいかなくて、お風呂から出た時に顔を隠すように俯いて歩いていた。
それを見たテツに『これからずっと下を向いて生活するのか?美桜の素顔なんて子供の時から見てるし、今もあまり変わらないぞ』と鼻で笑われた。

挙げ句、『前に化粧が剥げた顔見てるし、いちいち変なことに気を遣っていたらストレスが溜まって一緒に生活なんて出来ないだろ。素を見せていいんだよ。別にお前がおならをしたって美桜への気持ちは変わらないし』なんてこっちが恥ずかしくなるようなことまで言われた。
そこまで言われたら開き直るしかないでしょ。

テツだって寝起きはボサボサの頭だし、好き嫌いもあるし、脱いだ服は裏返しだし、一緒に生活するようになってからダメな部分も見た。
それで嫌になるとか、一緒に暮らせないなとか思ったことはない。
テツの然り気無いスキンシップにいつもドキドキさせられてる以外は問題なく生活出来ている。

歯ブラシを取り、歯みがき粉をつけて歯を磨いていると、テツが洗面所にやってきた。
テツも歯磨きをし始めると、必然的に二人並んで歯を磨くことになる。
鏡越しにテツと目が合い、妙に気恥ずかしくなり俯いて歯を磨く。
普通にしていればいいのに、テツのことを意識してますと言わんばかりの態度をとってしまう。

でも、これはテツも悪いんだ。
私に触れてきたかと思うと、次の日には何事もなかったように振る舞う。
この繰り返しで、嫌でもテツのことを意識するようになってしまうんだ。

まんまとテツの作戦にハマっている気がしてならない。
さっさと歯磨きを終わらせて、コップに水を入れてうがいをする。
いつものくせで、うがいをしたあとに鏡を見たら再びテツと目が合う。
もう、そんなに見ないでよ。

「じゃあ、おやすみ」

そそくさとその場を立ち去ろうとしたら、腕を掴まれた。

「もう寝るのか?」

「う、うん」

「そうか。おやすみ」

テツは微笑みながら言うと、歯磨きを再開させた。
私はその顔にドキッとしながら洗面所を出て部屋に向かった。

布団を敷き、寝る準備をする。
テツがベッドも必要だろと言って買おうとしたけど、それはやめてもらった。
布団があればそれを敷いて寝れるので十分だ。
寝るのはいつもより早いけど、目覚ましをセットして布団の中にもぐりこんだ。
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