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新しい職場
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「若いっていいわね。私が言うのもアレだけど、鳴海くんは優良物件よ。仕事は真面目だし女遊びもしている感じではないし、何よりイケメンだからね」
「さすが竹之内さん!もっとプッシュしてくださいよ」
「あら、鳴海くんは私がプッシュしないと自信がないのかしら?」
「そんなことはないですけど、外堀を埋めることも大切かなと思って」
テツは不敵に笑った。
「鳴海くんは策士なのね。これからが楽しみだわ」
竹之内さんは楽しげに笑う。
この会社の人たちはみんなフランクな感じなんだろうか。
楽しそうに話す二人を見ていたらそんな風に思えた。
でも、私は面接のことで頭がいっぱいでそれどころではなかった。
社長室に通され、緊張がピークに達していた。
そんな私を見て、テツがクスリと笑う。
「そんなにカチコチにならなくても大丈夫だよ。普段通りでいいから」
そんなことを言われても無理な話で、普段通りって何?状態だ。
高級感のあるソファに座り、キョロキョロと視線をさまよわせていたら、社長室のドアが開いた。
「おはよう」
快活な声が聞こえ、ショートカットの女性が入ってきた。
五十代ぐらいの年齢だけど、綺麗に年を重ねたキャリアウーマンといった感じだ。
「社長、おはようございます。こちらが以前、話していた夏木美桜さんです」
「初めまして。夏木美桜です。本日はよろしくお願いします」
テツに紹介され、慌ててソファから立ち上がると深々と頭を下げた。
「初めまして。ようこそ、水上デザイン事務所へ。私が社長の水上桜子です」
握手を求められ、私は右手を差し出した。
「どうぞ、座って」
「失礼します」
「早速だけど、履歴書を見せてもらってもいい?」
「はい」
再びソファに座り、バッグから履歴書を取り出して社長に渡した。
ノックの音のあと、社長室のドアが開き竹之内さんがお盆にお茶をのせて入ってきた。
私と社長の前にお茶を置き、「鳴海くんはいらないでしょ」と言い社長室を出た。
履歴書に目を通しながら社長が口を開く。
「夏木さん、名前に桜がつくのね。美しいに桜……素敵な名前ね」
名前を誉められ嬉しくなる。
「私も桜がつくから親近感がわくわ。名前で呼んでもいいかしら?」
「はい、もちろんです」
「よかった。そういえば、この惣菜屋さんのお弁当すごく美味しかったのよ。他の社員にも好評でまた頼もうかって話してたの。美桜さんが働いていたのね」
「そう言っていただき、店の者も喜ぶと思います」
「前の職場を辞めた理由は聞いたわ。美桜さんには不本意だろうけど、何かあってからでは遅いからいい判断をしたと思うわ。まぁ、こちらとしても緑ちゃんが辞めるので次の人材を探さないといけないと思っていたからラッキーだったけどね」
茶目っ気たっぷりに笑った。
テツはそんなことまで話していたのか。
それでも、こちらの事情を知ってもらえていると少し気持ちが楽になった。
「さすが竹之内さん!もっとプッシュしてくださいよ」
「あら、鳴海くんは私がプッシュしないと自信がないのかしら?」
「そんなことはないですけど、外堀を埋めることも大切かなと思って」
テツは不敵に笑った。
「鳴海くんは策士なのね。これからが楽しみだわ」
竹之内さんは楽しげに笑う。
この会社の人たちはみんなフランクな感じなんだろうか。
楽しそうに話す二人を見ていたらそんな風に思えた。
でも、私は面接のことで頭がいっぱいでそれどころではなかった。
社長室に通され、緊張がピークに達していた。
そんな私を見て、テツがクスリと笑う。
「そんなにカチコチにならなくても大丈夫だよ。普段通りでいいから」
そんなことを言われても無理な話で、普段通りって何?状態だ。
高級感のあるソファに座り、キョロキョロと視線をさまよわせていたら、社長室のドアが開いた。
「おはよう」
快活な声が聞こえ、ショートカットの女性が入ってきた。
五十代ぐらいの年齢だけど、綺麗に年を重ねたキャリアウーマンといった感じだ。
「社長、おはようございます。こちらが以前、話していた夏木美桜さんです」
「初めまして。夏木美桜です。本日はよろしくお願いします」
テツに紹介され、慌ててソファから立ち上がると深々と頭を下げた。
「初めまして。ようこそ、水上デザイン事務所へ。私が社長の水上桜子です」
握手を求められ、私は右手を差し出した。
「どうぞ、座って」
「失礼します」
「早速だけど、履歴書を見せてもらってもいい?」
「はい」
再びソファに座り、バッグから履歴書を取り出して社長に渡した。
ノックの音のあと、社長室のドアが開き竹之内さんがお盆にお茶をのせて入ってきた。
私と社長の前にお茶を置き、「鳴海くんはいらないでしょ」と言い社長室を出た。
履歴書に目を通しながら社長が口を開く。
「夏木さん、名前に桜がつくのね。美しいに桜……素敵な名前ね」
名前を誉められ嬉しくなる。
「私も桜がつくから親近感がわくわ。名前で呼んでもいいかしら?」
「はい、もちろんです」
「よかった。そういえば、この惣菜屋さんのお弁当すごく美味しかったのよ。他の社員にも好評でまた頼もうかって話してたの。美桜さんが働いていたのね」
「そう言っていただき、店の者も喜ぶと思います」
「前の職場を辞めた理由は聞いたわ。美桜さんには不本意だろうけど、何かあってからでは遅いからいい判断をしたと思うわ。まぁ、こちらとしても緑ちゃんが辞めるので次の人材を探さないといけないと思っていたからラッキーだったけどね」
茶目っ気たっぷりに笑った。
テツはそんなことまで話していたのか。
それでも、こちらの事情を知ってもらえていると少し気持ちが楽になった。
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